雇用調整助成金は令和4年3月まで延長!ただし限度額引き下げあり

2021.12.21

雇用調整助成金の延長内容

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により特例措置が行われている雇用調整助成金。再三の延長が行われる中、令和3年11月に令和4年3月までの延期予定が発表されました。

本格的な施行には厚生労働省令の改正などが必要となり、まだ予定の段階ではありますが、内容は公表されています。大きな変更点は、助成金の支給限度額が引き下げられること、業況特例の場合の生産指標の比較対象期が拡張されたこと、場合によっては業況の再確認が必要になったことです。

この記事では、その変更点について厚生労働省による最新情報をもとに解説します。

最新の雇用調整助成金の助成率と助成額

雇調金の延長について解説する人

冒頭でも述べた通り3月までの延長が決まった雇用調整助成金ですが、助成の内容については変更があるので注意が必要です。4月以降の措置については、2月末ごろに発表される予定です。

直近での変更内容や申請期間などについて見ておきましょう。

現在の特例措置の内容(令和3年12月まで)

助成の内容については、令和3年5月の延長時に改正が行われ、その内容が12月末まで適用されています。その際には主に支給要件や助成額の算定方法が変更されました。

それを踏まえた12月末までの原則的な支給要件や助成内容は次のとおりです。

項目 特例の要件
対象事業主 新型コロナウイルス感染症で事業に影響を受けた事業主
対象労働者 雇用保険被保険者
(被保険者でない人にも同内容の助成あり※)
生産指標要件 1カ月で前年同月の5%以上減少
助成率 【解雇等がない場合】
中小企業 10分の9
大企業  4分の3 
【上記以外】
中小企業 5分の4
大企業  3分の2
日額限度額 原則       13,500円
業況・地域特例 15,000円
支給限度日数 1年100日、3年150日
+対象期間中に受給した日数
短時間休業要件 一斉休業でない場合も対象となり得る
休業規模要件 中小企業 40分の1
大企業  30分の1
教育訓練助成率 【解雇等がない場合】
中小企業 10分の9
大企業  4分の3
【上記以外】
中小企業  5分の4
大企業   3分の2
教育訓練加算額 中小企業 2,400円
大企業  1,800円
出向期間要件 1カ月以上1年以内

従来の制度では事前に雇用維持に関する計画届の提出が必要ですが、特例では提出しなくてよくなっています。クーリングオフ(1年)や、対象従業員に必要だった6カ月の雇用保険加入期間の条件も撤廃されています。

表内の※印、雇用保険の被保険者でないパートなどの従業員に対しては、「緊急雇用安定助成金」が適用されます。

上記の原則的な助成に上乗せで、業況に関する特例(業況特例)と特定地域に対する特例(地域特例)もあります。

業況特例は、売上などの生産指標が特に減少した事業主に対して適用されます。地域特例は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象となっている地域で、休業や時短営業などの協力をした事業主が適用になります。業況特例・地域特例の助成率や支給額などについては次の項で紹介します。

延長となった令和4年1月~3月分の助成内容

雇用調整助成金の延長に伴う変更点

令和4年1月~3月分は、原則的な支給限度額が減額されます。また、3月の支給限度額は1月・2月の2カ月間の限度額より低く設定されています。

原則的な措置の助成率と支給限度額

企業規模 項目 令和3年5月~12月 令和4年1月・2月 令和4年3月
中小企業 助成率 5分の4
(解雇等なしは10分の9)
変更なし 変更なし
限度額 13,500円 11,000円 9,000円
大企業 助成率 3分の2
(解雇等なしは4分の3)
変更なし 変更なし
限度額 13,500円 11,000円 9,000円

解雇等(事業主都合による解雇や特定理由離職者、特定受給資格者など)があった場合については、12月までは「令和2年1月24日以降に該当事例があったかどうか」と、「判定基礎期間の末日時点の従業員の数が各月末平均の5分の4以上かどうか」で助成率が決まります。

令和4年1月以降は、従業員数については同じで、令和3年1月8日以降に該当事例があったかどうかで判断されます。

地域特例・業況特例について

地域特例と業況特例については、助成率・支給限度額ともに変更はありません。

企業規模 項目 令和3年5月~12月 令和4年1月・2月 令和4年3月
中小企業・大企業とも 助成率 5分の4
(解雇等なしは10分の10)
限度額 15,000円

ただし業況特例が適用されるかどうかの指標となる生産性の比較月のみ緩和されます。
令和4年1月~3月は、3年前同期も比較対象となります。

判定基礎期間の初日 生産指標
令和3年12月まで 最近3カ月の月平均値が
前年または前々年の同期比で30%以上減少
令和4年1月1日以降 最近3カ月の月平均値が
前年、前々年または3年前の同期比で30%以上減少

ただ、令和3年12月までに業況確認が済んでいる事業主について、判定基礎期間の初日が令和4年1月1日以降となる場合には、その段階での業況の再確認を行わなくてはいけません。

申請可能期間について

雇用調整助成金の申請期間

助成金の特例措置は期間延長となりましたが、申請可能期間は従来と同じです。

支給申請は、休業開始後の判定基礎期間(賃金締切日の翌日から、その次の賃金締切日までの1カ月)ごとに行います。申請の期限は、判定基礎期間の最後の日の翌日から2カ月以内です。

たとえば賃金締切日が毎月20日の場合、12/21~1/20分の休業についての申請期限は3月20日まで。期限を1日でも過ぎれば受給はできません。

ただ、連続する判定基礎期間を3期分までまとめ、あわせて1つの期間として申請することもできます。また、期限を過ぎてしまった場合でも、理由書を提出すれば支給対象となる可能性もあります。理由は新型コロナウイルスの影響によるものに限ります。

今後の延長などの予定

これまで、雇用調整助成金の延長措置は状況を見て小刻みに行われてきました。

ちなみにこれまではこのような期間で延長が行われています。

  • 令和 2年 4月1日~ 令和 3年 4月30日
  • 令和 3年 5月1日~ 令和 3年 6月30日
  • 令和 3年 7月1日~ 令和 3年 9月30日
  • 令和 3年10月1日~ 令和 3年11月30日
  • 令和 3年12月1日~ 令和 3年12月31日
  • 令和 4年 1月1日~ 令和 4年 3月31日

今回は3月までの延長予定ですが、2月末までには4月以降の動向も決められる予定です。

雇用調整助成金を申請する際の注意点

雇用調整助成金申請の注意点を解説する人

長引くコロナ禍で、雇用調整助成金は数多くの企業に活用されています。厚労省の発表によれば、令和3年11月末の時点で累計約533万件以上の申請があり、約525万件が支給決定を受けています。

しかし申請と支給の件数が同じでないということは、申請しても受給できないケースも実際にあるということです。助成金の申請をスムーズかつ正しく行うために、次の点に注意してください。

申請書類は最新のものを準備

支給要件などが変更になった場合、申請に必要な書類やその記載内容にも変更となるものがあります。要件などが変更となれば、記載すべき事項も変わるからです。

決まった様式があるものは厚生労働省の公式サイトでダウンロードできるようになっています。申請する際は、常に最新のものをダウンロードするようにしてください。

休業等の期間が長い場合には特に、前回の申請で使ったのと同じ様式では申請できない可能性が高いです。場合によって、適切な様式での再提出か、内容を補足して再提出となってしまいます。

添付書類についても、追加で必要となるものがあったり、逆に不要になったものがあったりする可能性があります。自社の申請内容に則した書類を用意し、不備のないように申請しましょう。

申請期限に余裕を持って申請

提出書類に不備があった場合には、申請をし直すなどの必要があります。期限ギリギリに申請し、書類の再提出に間に合わない、ということのないよう気を付けましょう。

雇用調整助成金は、期間の終了後にまとめて申請するのではなく、1カ月単位の賃金締切期間(これを判定基礎期間と呼びます)ごとに申請しなくてはなりません。

特に、前述のように複数月の判定基礎期間をまとめて申請する(3期まで可能)場合には、期限切れとなるおそれもあるので十分に注意をしてください。

不正受給は失うものも大きい

雇用調整助成金は事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を救済し、雇用を維持するための助成金です。しかし、従業員数の水増しや休業の偽装によって不正に助成金を受給する、あるいはしようとするケースが多発し、問題となっています。

そういった不正は、立ち入り検査によって発覚する場合もあれば、従業員などによる告発で明るみとなる場合もあります。

不正受給の事実は、厚生労働省の公式サイトで公表されるほか、テレビや新聞などで報道されることもあります。手口や動機が悪質と見なされれば、刑事告発されてしまう可能性もあるのです。

そうなれば、不正に受け取った助成金の全額返還はもちろん、課徴金が科されるだけでなく、しばらくの間は他の助成金の申請もできなくなります。事業主本人や会社は社会からの信頼を失い、従業員からの信頼も失うでしょう。一時の利益のために安易な考えで事実と異なる申請をすることは、絶対に避けるべきです。

助成金申請は社労士への依頼が得策

助成金申請を依頼した社労士と事業主の握手

雇用調整助成金は、助成内容を一部変更して令和4年3月まで延長されることがほぼ決まりました。

しかし助成金の申請には必要となる取り組みや提出書類が多く、スケジュールの管理もしなくてはなりません。ただでさえ忙しい業務の間を縫ってこうした手続きに手間をかけるのは難しいという会社も多いでしょう。

申請手続きの負担をできるだけなくすには、助成金申請に詳しい社会保険労務士(社労士)に依頼するのが一番の方法です。

社労士なら労務の専門知識があり、複数の企業の助成金申請にも関わっているのでノウハウも得ています。もちろん、最新情報も常に把握しています。
何より助成金の申請にかかる書類の作成や申請手続きの代行は社会保険労務士の独占業務であり、他の人物が請け負うことは禁止されています。

当サイトの運営会社である社会保険労務士事務所 Bricks&UKは、正当な手続きで雇用調整助成金をスムーズに受け取るお手伝いをいたします。申請のために整備が必要な就業規則の無料診断なども行っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

監修者からのコメント 長引く助成金の受給で申請に慣れてきたこともあり、また書類の使い回し等で事実と異なる申請をしてしまったという声も最近聞かれます。 制度は定期的に見直しされており、要件もその都度変わることから、前回と同じで良いとは限りません。 常に最新の情報をチェックして、間違いのないように申請をしなければなりません。 Bricks&UKでは、雇用調整助成金の申請サポートを行っております。 制度の改正内容等、お気軽にご相談ください。

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