【知らないと損する!?】中小企業が活用できる助成金

2021.03.10

2023.08.01

中小企業向けの助成金情報

新型コロナはほぼ収束したものの、経営が回復していなかったり、国際情勢の変化により悪影響を受けたりしている中小企業は数多くあります。

国は、そのような状況でも従業員の雇用の維持あるいは増加に努める中小企業を支援するべく、複数の助成金制度を設けています。

こうした制度を知っているのと知っていないのとでは、経営に大きな影響があることも。どのような制度があるのか、常に情報を把握することが重要です。

この記事では、中小企業が活用できるおすすめの助成金【2023年版】を紹介。助成金の活用メリット、補助金などとの違いや注意点も解説するので参考にしてください。

助成金の基礎知識

まずは、助成金とは何か、「補助金」との違いは何かをおさらいします。

そもそも助成金とは?

助成金とは国や地方自治体から交付される支援金の1つです。借り入れとは違い、後で返済する必要がないものです。

支給要件を満たす必要はあるものの、受給できる確率が高いというのも特徴と言えます。ただし、支給は必要な書類を提出し審査に通った後にされるもので、お金がすぐ手に入るわけではないことには注意が必要です。

厚生労働省による助成金には、大きく分けて雇用関係の助成金と労働条件等に関する助成金の2種類があります。

雇用関連の助成金 雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上など
労働条件等に関する助成金 職場環境の改善、生産性向上への取り組みなど

いずれも、雇用保険料が支給の原資となっています。そのため、労働保険への未加入や保険料の未払いがあると受給はできません。

助成金の対象者要件と手続きの流れ

雇用関連の助成金に共通する、対象となる事業主の要件と手続きの流れを見ておきましょう。

対象となる事業主の要件

雇用関連の助成金を申請するには、事業主や対象者、取り組みに関しての要件を満たす必要があります。対象者などの要件は各助成金で異なりますが、事業主の場合は主に次のような共通要件があります。

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • 支給申請期間内に必要書類を添付して支給申請を行う
  • 支給審査に協力する
  • 過去3年間に助成金の不正受給がない
  • 2年間以上労働保険料の滞納がない
  • 過去1年以内に労働関連法規に違反していない

助成金の支給後に要件を満たさないと判明した場合には、返還などを求められます。

支給申請期間と手続きの流れ

支給申請は、申請期間内に行わなくてはなりません。その期間は、支給要件を満たすための取り組みが終了して申請が可能になった日から2カ月以内です。

手続きの流れは次の通りです。

  • 1)実施計画を申請
  • 2)計画に沿った取り組みの実施
  • 3)支給申請
  • 4)審査に通れば受給

計画の申請や支給申請先は、事業所を管轄するハローワーク等です。取り組みに労働者の雇い入れが含まれる場合は、ハローワーク等の紹介を受けることが必要です。

助成金と補助金の違いとは?

助成金とよく似た制度に、補助金があります。

明確な定義はありませんが、経済産業省などが行う支援制度には「補助金」、厚生労働省の制度には「助成金」という名称が多く使われています。

厚労省の助成金は雇用の促進・維持や労働環境の改善などが対象である一方、経産省の補助金は研究開発や新規事業・サービスの導入などが対象となっています。

企業向けの補助金は、助成金より受給が困難なものも多いのも特徴です。補助金は、まず事業計画が「採択」されなくてはなりません。採択されたら取り組みを実施し事業報告書を提出しますが、不備があれば減額や採択取消になる可能性もあります。

助成金の場合は、支給要件や不支給要件が細かく設定されていますが、それを満たせば受給することができます(ただし、予算の都合上早期終了となることもあります)。

中小企業が助成金を活用する5つのメリット

中小企業の助成金のメリット

助成金には大きく5つのメリットがあります。

  • 要件を満たせば高い確率で受給可能
  • 「支給」されるものであり返済不要
  • 支給額が50万円、100万円単位のものもある
  • 使途が自由
  • 金融機関などへの信用度が高まる

それぞれ具体的に見ていきましょう。

要件を満たせば高い確率で受給可能

助成金を受給し喜ぶ女性

助成金のメリットの1つは、支給要件さえ満たせば高い確率で受給できることです。

厚労省が助成金制度を設ける大きな目的は、雇用の促進・維持、労働環境の改善など、労働者を守ることです。そのため、その目的に適う取り組みを企業がしてくれればよく、支給要件を満たしていれば高い確率で支給される仕組みになっているのです。

融資などと異なり返済する必要がない

助成金はお金を貸すのではなく給付する制度です。融資のようにお金を返す必要がありません。

それぞれの助成金の対象となる取り組みを行った事業主に対し、それにかかった費用の全額あるいは一部が助成される仕組みです。「返済」という概念はありません。

50万円・100万円単位の助成金もある

助成金には、50万円、100万円といった少額の単位で受け取れるものもあります。

支給額が少額な助成金は、必要な取り組みも短期間で済むものだったり、取り組みに多額の費用を必要としないものだったりします。

助成金は後払いのため、受給より前に自社が費用を捻出できなくてはなりません。少額な単位の助成金なら、多額の資金がなくても受給できる可能性があります。

支給されたら使い道は自由

助成金の受給で喜ぶ女性

公庫や銀行などからの融資は、返済が必要なだけでなく使い道も設備資金や運転資金に限られていることがほとんどです。

しかし助成金には使途の制限がありません。何に使うかの申告や報告も不要です。設備投資はもちろん、融資の返済に充てたり、社員への教育訓練などに充てたりすることも可能です。

資金繰りの役に立つことはもちろん、事業拡大や社員のモチベーションアップにもつなげられます。

金融機関などからの信用度が高まる

助成金を受給するメリット

助成金が受給できた事実を伝えることで、金融機関など外部からの自社の信用度が高まります。そうなれば、融資審査に通る可能性も高まります。

というのも、助成金の受給には、労働保険料の未納がない・労働法への違反がないなど、各種法令の遵守が前提です。また、さまざまな提出書類が必要なほか、堅実な計画の策定と実行など、誠実な企業活動が求められます。

企業の信用度を測るのは難しいですが、助成金という公的制度の審査に通ったとなれば、融資担当者からの印象もよくなります。

中小企業が今すぐ活用できる助成金【2023年版】

今すぐ使える助成金チェック

ではいよいよ、中小企業がすぐにでも活用したい雇用関係助成金【2023年版】を見ていきます。いずれも申請する企業が多くおすすめの助成金です。

  • トライアル雇用助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 人材確保等支援助成金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 両立支援等助成金

どんな時に使える助成金か、順に説明していきます。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金の対象となる従業員

トライアル雇用助成金とは、一般的に就職が困難とされている人を、試用期間を設けて雇うことで対象となる助成金です。

対象労働者によって次のようなコースに分かれており、支給額や支給対象の期間も異なります。

コース名対象労働者支給額・支給期間
一般トライアルコース離職・転職を繰り返す者等対象者1人あたり最大月額4万円
(母子家庭の母や父子家庭の父の場合は5万円)
最長3カ月分
障害者トライアルコース障害者【精神障害者の場合】
雇用開始後3カ月間:対象者1人あたり最大月額8万円
(4カ月以降は4万円)
【精神障害者以外の場合】
対象者1人あたり最大月額4万円、最長3カ月分
障害者短時間トライアルコース短時間労働の精神(発達)障害者対象者1人あたり最大月額4万円
最長12カ月分
若年・女性建設労働者トライアルコース若年者または女性を建設技能労働者として雇用対象者1人あたり最大月額4万円
最長3カ月分

なお、トライアル雇用期間が終わった後も引き続き常用雇用した場合には、特定求職者雇用開発助成金の一部を受給できます。

また、支給申請手続きにおいて、支給申請書提出前には、トライアル雇用開始日から2週間以内に「トライアル雇用実施計画書」をハローワーク等に提出する必要があります。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、要件を満たす対象労働者を継続雇用労働者として雇い入れる事業主に対して助成される制度です。

この助成金には、対象労働者によって次の5つのコースがあります。

コース名対象労働者支給額
特定就職困難者コース母子家庭の母等
60歳~64歳の高年齢者
身体・知的・精神障害者
下表1に記載
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース発達障害者、難治性疾患患者下表2に記載
障害者初回雇用コース中小企業主が(身体・知的・精神)障害者を初めて雇入れた場合1企業あたり120万円
就職氷河期世代雇用実現コース正規雇用機会を逃した等によるキャリア不足で正規雇用就業が困難な者1人当たり60万円※
助成期間は1年
生活保護受給者等雇用開発コース自治体からハローワークに就労支援要請のあった生活保護受給者等下表3に記載
※大企業は50万円

「生涯現役コース」と「被災者雇用開発コース」は、令和4年度末で廃止されました。

助成金の支給額や助成期間は、対象労働者や企業規模の種別により違いがあります。なお、支給額は雇い入れた労働者1人あたりの金額です。

表1 特定就職困難者コース

労働者の種別支給額助成期間
高齢者・母子家庭の母等中小企業:60万円
大企業:50万円
短時間労働者(中小企業):40万円
短時間労働者(大企業):30万円
1年
障害者等中小企業:120万円
大企業:50万円
短時間労働者(中小企業):80万円
短時間労働者(大企業):30万円
中小企業:2年
大企業:1年
重度障害者等中小企業:240万円
大企業:100万円
短時間労働者(中小企業):80万円
短時間労働者(大企業):30万円
中小企業:3年
大企業:1年6カ月
短時間労働者(中小企業):2年
短時間労働者(大企業):1年

表2 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

1週間の所定労働時間支給額助成期間
30時間以上中小企業:120万円
大企業:50万円
中小企業:2年
大企業:1年
20時間以上30時間未満中小企業:80万円
大企業:30万円
中小企業:2年
大企業:1年

表3 生活保護受給者等雇用開発コース

1週間の所定労働時間支給額助成期間
30時間以上中小企業:60万円
大企業:50万円
1年
20時間以上30時間未満中小企業:40万円
大企業:30万円
1年

いずれのコースも中小企業への助成が手厚くなっています。

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金の対象となるメンター制度

人材確保等支援助成金は、労働者の雇用環境の整備を図る雇用関係整備等関係の助成金の1つです。離職の防止など人材確保への取り組みを行い、支給要件を満たした場合に助成されます。

対象事業主や事業内容によって、7つのコースが用意されています。

コース名対象事業主助成対象
雇用管理制度助成コース
※受付中止中
一般事業主
(短時間正社員制度のみ保育事業主に限定)
雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度)の導入により従業員の離職率の低下を図る事業
介護福祉機器助成コース介護事業主介護福祉機器導入により介護離職者の離職率の低下を図る事業
中小企業団体助成コース都道府県知事に改善計画の認定を受けた事業主団体人材確保・労働者の職場定着への支援事業
人事評価改善等助成コース
※受付中止中
一般事業主人事評価制度(生産性向上に資する能力評価を含む)の整備、定期昇給等のみによらない賃金制度の導入により生産性向上、賃金アップ、離職率低下を図る事業
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)建設業の事業主または事業主団体若年・女性の建設労働者の入職・定着を図る事業
作業宿舎等設置助成コース(建設分野)建設業の元方の中小事業主施工管理する建設工事現場での女性建設労働者専用の施設の賃借事業
外国人労働者就労環境整備助成コース外国人労働者を雇用する事業主外国人労働者のための就労環境の整備(就業規則の多言語化など)により外国人労働者の職場定着を図る事業

雇用管理制度助成コースと人事評価改善等助成コースは、令和4年4月1日より整備計画の受付を中止しています(令和5年度も引き続き休止中)。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、契約社員・パート・派遣社員などの有期雇用労働者を対象に、キャリアアップに関する制度を導入する事業主を助成する制度です。

何を行うかによって、次のようなコースがあります。

コース名助成対象
正社員化コース正規雇用労働者への転換・直接雇用
賃金規定等改訂コース賃金規定等の増額改訂による賃金の引上げ
賃金規定等共通化コース正規雇用労働者と共通の賃金規定等の導入
賞与・退職金制度導入コース有期雇用労働者等を対象に賞与または退職金制度の導入、および支給または積立の実施
短縮時間労働者 労働時間延長コース有期雇用労働者などへの所定労働時間延長および社会保険への加入

もっとも多く活用されているのは正社員化コースです。コースの設定や内容は改正されることも多いので、最新情報を確認することが大切です。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、業務に関する従業員の能力を向上させる目的で、教育訓練等を実施する事業主を助成しています。

助成対象の事業によって、次の7種類のコースがあります。

コース名対象事業主助成対象
特定訓練コース事業主・事業主団体等人材育成支援コース 事業主・事業主団体等 ・ 人材育成訓練:10時間以上のOFF-JT訓練(職務に関連した知識・技能の習得を目的とした訓練)
・認定実習併用職業訓練:中核人材の育成のため厚生労働大臣の認定を受けたOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
・有期実習型訓練:非正規雇用労働者の正社員化を目指して実施されるOJT・OFF-JTを組み合わせた訓練
教育訓練休暇等付与コース一般事業主事業主による有給教育訓練等制度の導入と、従業員による当該休暇の取得および訓練の受講
建設労働者認定訓練コース建設業の中小事業主・
中小事業主団体
建設労働者への訓練
建設労働者技能実習コース建設業の事業主・
事業主団体
建設労働者への技能実習
障害者職業能力開発コース 一般事業主障害者への職業能力開発訓練
人への投資促進コース一般事業主デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、および定額制訓練(サブスクリプション型)
事業展開等リスキリング支援コース一般事業主新規事業の立ち上げなどに伴い、新たな分野で必要となる知識や技能を習得させるための訓練

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、従業員が仕事と家庭を両立できるよう支援する取り組みを行った事業主を対象としています。

助成対象の事業によって、次の6種類のコースの助成金が利用できます。

コース名対象事業主助成対象
出生時両立支援コース
【子育てパパ支援助成金】
一般事業主男性の育児休業・育児目的休暇取得を行いやすい職場風土作りの取り組み
介護離職防止支援コース中小企業事業主仕事と介護の両立支援の取り組み
(介護支援プランの策定・介護休業の取得・職場復帰を円滑にするための取り組み)
育児休業等支援コース中小企業事業主育休復帰支援プラン・代替要員確保・職場復帰支援
介護離職防止支援コース(新型ウイルス感染症対応特例)中小企業事業主新型コロナウイルス感染症への対応として、介護のための有休制度の設置、介護を行う従業員が休みやすい環境の整備
育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例)一般事業主小学校等の臨時休校などにより子どもの世話をする従業員を対象とした有休制度および両立支援制度の整備
不妊治療両立支援コース中小企業事業主不妊治療と仕事との両立のための職場環境の整備、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度の設置

助成金についての注意点

助成金について注意すべきこと

助成金の申請をするにはいくつか注意点があります。ここでは、助成金の注意点をいくつかご紹介します。

  • 労働法令に違反していたり、助成金の財源である労働保険料を滞納していたりする場合は助成金の支給対象外
  • 助成金は、対象事業に関して事業主が要した費用のうち対象経費について後払いの形で受け取るものであり、事前に実施計画書などの作成、申請、審査が必要
  • 受給要件を満たさず、偽装した書類で受給したり、受給を試みたりすると不正受給となり、刑事罰を含めた処罰や社会的ペナルティを受ける

このように、助成金を受給するにはハードルが高く、中小企業では特にそこに人材や時間を割くことが難しい企業も多いのが現状です。

そこで積極的に活用したいのが、助成金の専門家である社会保険労務士のサポートです。体制整備に関するアドバイスを受けるなどして、自社に適した助成金を確実に受け取りましょう。

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助成金受給成功のイメージ

この記事では、中小企業が活用できる助成金について、おすすめの理由やメリット、中小企業が今すぐ使える助成金(2023年版)、助成金の注意点などをお伝えしてきました。

多種多様な助成金がある中、どの助成金が利用できるのか、受給要件は何なのか、といったことから、状況によって変化する要件や期限についての情報など、すべてを把握して手続きをすることは非常に困難です。

こうした課題を解決するためには、中小企業の各種助成金の申請手続にも詳しい、経験豊富な社会保険労務士に依頼するのがおすすめです。

監修者からのコメント 本稿で紹介した助成金は中小企業で多く活用されている助成金です。 言い方を変えれば、ほとんどの中小企業が受給することができる可能性のある助成金です。 助成金の申請要件は毎年変更があり、常に最新の情報をチェックしておく必要があります。 弊社では最新の助成金情報をご提案させていただく、助成金顧問のサービスも行っております。 お気軽にお問い合わせください。

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