助成金申請前に確認しておきたいポイント

2021.06.01

助成金申請のポイントを解説する女性

助成金は、国や自治体などの機関が事業主に支給するお金です。働きやすい会社づくりに取り組み、申請条件に当てはまる事業者であれば助成金が支給されます。融資などと異なり返済の義務はありません。

助成金を活用したいけれど「うちの会社は当てはまるのか」「どこに相談すればいいの?」などとお困りの方のために、主な助成金についてわかりやすく解説します。

助成金とは 

助成金の定義を辞書で引くイメージ

助成金とは、「働く人」と「職場環境の整備」のために用意されているお金です。さまざまな目的に応じて複数の助成金制度が作られています。助成金を主に管轄するのは厚生労働省で、ハローワークなどが窓口となっています。中小企業への助成はより手厚くなっていることもあり、賢く利用する事業主も増えています。

事業を営むならぜひ知っておきたい助成金には、次のようなものがあります。

まず従業員の新たな採用や雇用機会の増大などに用意されているのが、雇用関係の助成金です。就職が困難となりがちな高齢者や障害者などを雇用した場合の「特定求職者雇用開発助成金」や「トライアル雇用助成金」など、対象の異なるさまざまな種類の助成金があります。

人材の採用後は、社員のキャリアアップを支援する「人材開発支援助成金」が活用できます。

これは会社の人材育成を支援する助成金です。正規雇用の従業員に対して、専門知識や技能を習得させている事業主を支援するための制度です。非正規や有期の労働者を正規雇用に転換した場合の助成金として、「キャリアアップ助成金」もあります。

そして社員の定着を図り、長く働いてもらうためには、仕事と家庭の両立ができる職場づくりが大切です。「両立支援等助成金」は、仕事をしながら育児や介護などを行う従業員を積極的に支援する事業主や、女性の活躍推進に取り組む事業主に支給される助成金です。

売り上げなどが大幅に落ちた場合にも雇用維持を図り、休業等行った場合には、「雇用調整助成金」が利用できます。

この助成金は、社員の雇用を守ろうと努力する事業主に、休業手当などの一部を助成するものです。支給の要件も、緩和されて使いやすくなっています。

助成金の受給条件とは

助成金について調べものをするための書籍イメージ

助成金は、支援として「もらえる」お金です。支給されたお金を後日返す必要はありません。ただし対象となる措置や取り組みを行った後に申請するので、入金は後日となります。また助成金は10万円単位、多くても100万円程度というのが一般的です。一律でなく状況に応じて計算されるものもあります。

助成金のメリットは、申請の条件を満たせば原則として対象となるすべての事業主に支給されることです。補助金のように短い公募期間で一斉に応募するのではなく、対象期間や申請期間はケースにより異なります。制度は通年で利用できるものが一般的ですが、予算に達したなどの理由で終了となる場合もあります。

事業主の要件

助成金受給に必要な事業主の条件イメージ

雇用に関する助成金の受給には、労働保険料(雇用保険料や労災保険料)をしっかりと納めていることが前提です。そのほか事業主に対する主な共通要件は次のとおりです。

  • 雇用保険の適用事業所(事業主)であること
  • 助成金の支給審査に協力すること
  • 申請期間内に申請を行うこと

上記の共通要件については、普通に会社やお店を経営している方ならほぼ問題なく満たせるものです。ただし雇用に関する助成金は、雇用を守ることが目的です。そのため、申請日までの一定期間に会社都合での解雇者などを出した場合は不支給となったり助成率が下がったりするので注意が必要です。

また支給審査では、法律で作成が義務づけられている労務管理などの書類や帳簿の提出を求められます。出勤簿や労働者名簿、賃金台帳、就業規則などは整備しておきましょう。

不支給要件

助成金は要件さえ当てはまれば誰もが申請できますが、不支給となることもあります。雇用関係の助成金を受給できないのは、次のようなケースです。

助成金不支給のイメージ
  • 支給申請以前3年以内に不正受給の事実があった
  • 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について、申請事業主らの中に不正受給に関与した者がいる
  • 支給申請日を含む年度の前年度より前のいずれかの保険年度で労働保険料の未納がある
  • 支給申請日の前日までの1年間に、労働関係法令の違反があった
  • 性風俗関連の事業を営んでいる
  • 事業主や役員などに暴力団との関わりがある
  • 支給申請日、もしくは支給決定日の時点で倒産している
  • 不正受給が発覚した際の事業主名の公表などについて同意していない

1個目の項目については、平成31年4月以降に雇用関係助成金の不正受給による不支給決定や支給決定の取消を受けた場合、当該決定日から5年を経過していない事業主は不支給となります。

助成金申請の流れ

助成金申請の流れを説明する女性

助成金の申請にはさまざまな書類が必要です。しかも申請書類や帳票は法令に基づいて作成することが義務づけられているため、日ごろの労務管理が正しく行われているかが重要です。

助成金の申請に当たっては「面倒くさい」「わかりにくい」という本音も聞かれますが、申請の流れをしっかりと理解しておけば、受給の可能性は確実に高くなります。ここではトライアル雇用助成金を例に、申請の流れを簡単に解説します。

トライアル雇用助成金申請の流れ

トライアル雇用助成金のイメージ

トライアル雇用助成金は、求職者を一定期間(原則3カ月間)採用した場合に支給される助成金です。求職者にとっては就職のチャンスが広がり、事業主にとっては助成金をもらいながら、求職者の適性を見極められるメリットがあります。

トライアル雇用助成金申請の流れは次のとおりです。

  • 1)ハローワークに求職者の募集を申し込む
  • 2)対象者をハローワーク等の紹介により有期雇用(原則3カ月)で雇い入れる
  • 3)ハローワークに「実施計画書」を提出する(トライアル雇用開始日から2週間以内)
  • 4)ハローワークへ支給申請書を提出する(申請期限あり)

求人募集の際、ハローワークの窓口に「トライアル雇用求人」としての募集だということと、助成金の受給を希望する旨を伝えます。

トライアル雇用を開始したら、2週間以内に実施計画書を出します。その際は雇用契約書など労働条件が確認できる書類を添付する必要があります。

雇用後、トライアル雇用終了日の翌日から起算して2カ月以内にハローワークに支給申請書類を提出します。申請期限を過ぎると助成金を受給できなくなるので注意が必要です。

トライアル雇用では、対象者1名につき月額で最大4万円(最長3カ月間)が支給されます。対象者がひとり親の場合は、いずれも1人あたり月額5万円(最長3カ月間)が支給されます。

社労士を利用するメリット

助成金を確実に受給するためには、労務管理を正しく行い、申請書や添付資料を決められた期間内に提出しなければなりません。専門的な知識が必要となる場合もあるため、日常の業務に忙しい事業主が手続きをすることは大きな負担でもあります。助成金の申請にあたっては知識や経験を豊富に持った専門家に依頼したほうがメリットは多いです。

社会保険労務士に依頼できること

社労士への依頼OKのイメージ

社会保険労務士(社労士)は、社会保険や労働関連に関する法律のスペシャリストです。雇用保険を財源とする助成金の申請業務は、社労士の独占業務として認められています。

社労士には、労働保険や社会保険に関する書類の作成をはじめ、就業規則や各種規定の作成や変更、人事や労務管理のコンサルティングなどを依頼することができます。もちろん新型コロナウイルスの影響にともなう助成金の申請にあたっても、力強い味方になります。

社会保険労務士を利用するメリット

社労士に依頼するメリットのイメージ

助成金の提出書類の作成は、法的な知識や専門用語の理解も必要で、非常に手間がかかります。また添付書類として何が必要なのかもわかりにくいです。しかしその点も、労務の専門家である社会保険労務士に依頼することでスムーズに申請・受給することができます。

助成金申請ならBricks&UKにおまかせ 

助成金受給のゴールイメージ

助成金は、働く人の待遇や職場環境を良くするために国や支援機関が支給するお金です。対象によって異なる助成金の種類は多く申請が通る可能性も高いので、事業主にはお得な制度といえます。

書類作成の面倒や手間の多さから申請を見送ろうとする企業もありますが、ぜひ頼っていただきたいのが労務のスペシャリストである社会保険労務士です。

当社Bricks&UKでは、豊富な知識と経験を持つ社労士が助成金の受給を全面サポート。わずらわしい書類作成から提出まで、申請業務をスピーディーかつ確実に行います。

「助成金って我が社ももらえるのかな?」と迷ったら、ぜひお気軽にお問い合わせください。無料相談も受け付けております。

監修者からのコメント 助成金をもらうために労務環境を整備しなければならないと考え、なかなか重い腰が上がらない経営者様もいらっしゃるかと思います。 労務環境の整備をすることで、人材の定着、モチベーション向上など企業にとってプラスとなる要素は大きく、かつ助成金ももらえれば一石二鳥です。 弊社では就業規則の整備、人事評価制度の作成支援も行っております。 お気軽にお問い合わせください。

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労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。

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