会社にも社員にもメリット!子育て支援助成金を活用しよう

2022.02.25

これからの時代、子育ては女性だけでなく、男性も積極的に関わることがますます当たり前となっていくでしょう。そんな時代の流れに合わせて、最近では男性の子育てを支援する制度も整備されています。

子育てパパ支援助成金」はその代表的な例です。

能力のある女性に長く活躍してもらうためにも、子育てをする社員への理解や支援は今や必須事項です。就職先を探す人たちの中にも、会社に子育て支援制度があるかどうかを重視する人は多く、支援制度があることが企業のイメージアップにもつながります。

この記事では、子育てをする社員を応援する中小企業が受け取れる助成金の種類や金額、申請の際のポイントなどを解説していきます。

知っていますか?子育てパパ支援助成金

子育てをするパパ

従来の子育て支援と異なり、「男性の育児」への支援を目的として作られたのが、いわゆる「子育てパパ支援助成金」です。

正確には、「両立支援等助成金」の「出生時両立支援コース」という名称で、男性従業員が育児休業や育児目的休暇を取得した場合に、事業主に支給されます。

出生時両立支援コースの支給要件

支給を受けるには、複数の要件があります。
まず重要なのは、育児休業、育児目的休暇ともに、男性従業員が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土、つまり制度や雰囲気づくりをすることです。

具体的には、男性の育休取得に関する管理職への研修の実施、育休や育児目的休暇の制度の周知や取得を促す呼びかけなどが当てはまります。

育児休業にかかる支給要件

育休取得の場合は、取得期間などについても条件があります。

項目 助成金の支給要件
休業取得期間 連続5日以上
休業に含まれるべき所定労働日の日数 9日以上。ただし育児休業期間が5日以上14日未満の場合は4日以上

また、子どもが生まれて8週間以内に休業の取得を始めている必要もあります。

育児目的休暇にかかる支給要件

育児目的休暇については、新たに育児目的休暇制度を導入したうえで就業規則等に定め、従業員への周知を行わなければなりません。また取得する休暇は、次の条件を満たす必要があります。

  • 男性従業員が取得する休暇
  • 所定労働日に対して合計5日以上を取得する休暇
  • 子どもの出生前6週間から出生後8週間の期間中に取得する休暇

「所定労働日に対して」というのは、たとえばもともと出勤日でない日は数えない、休んでも助成対象とはならない、ということです。

休暇の取得期間については、予定日と出生日が異なる場合には、出生日を起算として6週間もしくは産後8週間の期間も含めることができます。

助成金の支給額

この助成金の支給額は、育休なのか育児目的休暇なのか、そして育休については何人目の取得か、などによって次のように異なります。

休業・休暇 基本の支給額 生産性要件を満たした場合
育休取得(1人目) 57万円 72万円
育休取得(2人目以降・育休5日以上) 14万2500円 18万円
育休取得(2人目以降・育休14日以上) 23万7500円 30万円
育休取得(2人目以降・育休1カ月以上) 33万2500円 42万円
育児目的休暇の導入・利用 28万5000円 36万円

※生産性についてはこの章の最後で説明

さらに、個別面談など育児休業の取得を後押しする取り組みを実施した場合には、「個別支援加算」として下表に挙げる金額が加えられます。

育休取得従業員 基本の支給額 生産性要件を満たした場合
1人目 10万円 12万円
2人目以降 5万円 6万円

生産性要件は、申請する直近の会計年度による売り上げなどの生産性が3年前と比べて6%以上伸びているかどうかで判断されます。伸びが1%以上6%未満の場合には、金融機関から一定の事業性評価を得る必要があります。

また、期間中に会社都合による解雇や退職勧奨などを行っていないことも生産性要件の1つとなっています。

男性社員の育休についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。


育児休業等支援コース

子育て支援助成金の対象者

両立支援等助成金には、「育児休業等支援コース」もあります。この助成金は、次のような場合に支給されます。

  • 従業員が育休を取得したとき、職場に復帰したとき
  • 代替要員となる人材を確保したとき
  • 職場復帰支援の制度を新設したとき

それぞれのケースの支給条件や支給額について、詳しく確認していきましょう。

育休取得時・職場復帰時の助成金

このコースでは、従業員の育休取得時と職場復帰時それぞれについて助成金が支給されます。ただし、育休取得時に助成金を受給していないと、職場復帰時の助成金は申請できません。

また、支給対象となる人数は1事業者につき無期雇用労働者、有期雇用労働者1人ずつに限られます。

支給金額は、育休取得時と職場復帰時、それぞれで28万5000円です。生産性要件を満たした場合は、支給額が36万円にアップします。

育休取得時、職場復帰時のそれぞれに支給要件があります。

育休取得時の主な支給要件

育休取得時の助成金を受給するには、育児休業の取得や職場復帰がスムーズにできるよう、計画(育休復帰支援プラン)を立てて取り組んでいくことを従業員に周知することが必要です。

育児に直面することになった従業員には面談を実施し、育児の状況や今後の働き方についての希望などを確認しましょう。面談結果を記録し、そのうえで育休復帰支援プランを作成します。

育児休業の期間は、連続3カ月以上を付与することが受給の条件です。休業前には業務の引き継ぎも忘れずに行いましょう。

職場復帰時の主な支給要件

職場復帰時の助成金を受給するには、育児休業中のうちから取り組みが必要です。

育休復帰支援プランに基づいて取り組みを実施し、対象者が休んでいる間に行われている職務や業務に関する情報や資料などの共有をしましょう。

育児休業が終了する前には、上司や人事労務担当者が対象者と面談し、その内容を記録してください。また、対象者を休業前についていた職務に復帰させたうえで、助成金の申請日まで雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用することも必要です。

なお、育休中の代替要員を確保せず、業務の効率化などによりカバーした場合には「職場支援加算」として19万円(生産性要件を満たした場合は24万円)が支給されます。
ただしこの場合は、次に説明する「代替要員確保時」の助成金は受け取れません。

代替要員確保時の助成金

代替要員の確保

育児休業を取得する従業員が発生した場合、他の従業員の負担軽減などのため代替要員を確保しなければならないこともあるでしょう。
その際の費用について支給されるのがこの代替要員確保時の助成金です。

この助成金を受け取るには、あらかじめ就業規則等に「育児休業を取得した者について、育児休業終了後には元の職務に復帰させる」という旨を規定する必要があります。そのうえで、次のような要件を満たすことが必要です。

  • 対象者が3カ月以上の育児休業を取得した
  • 代替要員は事業主が新たに確保したものである
  • 労働者の復帰後、雇用保険被保険者として6カ月以上継続雇用している
  • 申請日時点で、対象労働者が雇用保険被保険者である

当然ながら、規定したとおり育児休業の終了後には対象者を休業前の職務に復帰させる必要もあります。

また、繰り返しになりますが、上の章で解説した「職場復帰時」の職場支援加算を選んだ場合には、この助成金は対象外となります。

項目 基本の支給額 生産性要件を満たした場合
支給額(有期雇用労働者) 1人につき57万円 1人につき72万円
支給額(有期雇用労働者以外) 1人につき47万5000円 1人につき60万円

表のとおり、対象者が有期雇用契約の従業員の場合は助成が手厚くなっています。支給は、1年度、1事業主につき10人が限度です。

この助成金では、育児休業者を元の職務に復帰させることはもちろん、当人に不利となる配置変更などを行わず、働き続けられる環境を提供することも重視されています。

職場復帰後支援の助成金

職場復帰後支援の助成金

この助成金は「子の看護休暇制度(有給、時間単位)」または「保育サービス費用補助制度」を導入する事業主を対象としています。制度を労働協約あるいは就業規則に規定し、実際に利用した従業員がいる場合に申請できます。

「子の看護休暇制度」を導入した場合

この助成金の対象となるには、育児介護休業法の規定を上回る内容の制度を導入する必要があります。具体的には、休暇が有給のもので、かつ時間単位での取得が可能なものでなくてはなりません。

導入された「子の看護休暇制度(有給、時間単位)」を利用する従業員は、次の要件を満たす必要があります。

  • 1カ月以上の育児休業(産後休業を含む)を取得した
  • この制度による有給の看護休暇を、復帰後6カ月以内に10時間以上取得した

支給額や上限は次の表のとおりです。

項目 基本の支給額 生産性要件を満たした場合
支給額(当該制度による休暇の時間に対し) 1時間あたり1,000円 1時間あたり1,200円
1事業主あたりの上限 200時間 240時間

「保育サービス費用補助制度」を導入した場合

この助成金は、託児保育やベビーシッターなどの保育サービスを利用する従業員に対し、費用の補助を行う制度を設けた事業主が対象です。

導入された「保育サービス費用補助制度」を従業員が利用し、次の要件を満たす場合に助成金が支給されます。

  • 1カ月以上の育児休業(産後休業を含む)を取得した
  • この制度により復帰後6カ月以内に3万円以上の補助を得た

上記の要件を満たした場合、事業主が負担した実費の3分の2の額が支給されます。上限額は20万円、生産性要件を満たした場合は24万円です。

両制度共通、制度導入時の支給について

どちらも初回の申請時には、制度導入時の支給額として28万5,000円(生産性要件を満たす場合は36万円)が加算されます。制度導入のみでの申請はできず、利用者がいて初めて申請が可能です。

また、「子の看護休暇制度」または「保育サービス費用補助制度」のいずれかの申請時1回のみの助成です。

いずれの場合も、初回の申請日から3年以内、かつ5人までという制限もあります。

新型コロナウイルス感染症対応特例

休校で子どもの勉強を見る親

新型コロナウイルス感染症の蔓延で小学校が臨時休校になるなどの事態が起きました。これにより出勤できない従業員に対して有給休暇を取得させた事業主を支援するのが、この助成金の目的です。

この助成金は、次の要件を満たす場合に受けられます。

・新型ウイルス感染症に関して、小学校などに通う子どもの保護者対象の有給休暇制度を労働協約または就業規則に規定する

・テレワークや短時間勤務の制度など、両立支援の体制について社内に周知した

・対象となる従業員がこの制度に基づく有給休暇を4時間以上取得した

・休暇取得時または申請日時点で、当該従業員が雇用保険被保険者である

支給額は1人あたり5万円、上限は対象者のべ10人まで、つまり50万円です。

この助成金も、制度を設けただけでは支給されず、利用した従業員がいる必要があります。取得させる休暇は制度に基づく特別の有給休暇でなくてはならず、通常の年次有給休暇では対象となりません。

ただし、対象者への説明と当人の同意に基づいて事後に振り替えた場合には、対象となり得ます。

良質支援等助成金(育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))|厚生労働省

子育て支援助成金をもらうには、就業規則の整備が必要

これらの子育て支援に関する助成金を受給するには、整備が条件とされる制度について労働協約または就業規則に明記することが必要です。

規定されていない休暇を特例として付与しても、制度として文章化されていなければなりません。そのため、早めかつ正確に就業規則を整備することが、スムーズに助成金を受け取るコツです。

対象者を女性に限定した規定はNG!

子育て支援に関する就業規則を整備する際には、気をつけるべき点があります。それは、制度の対象者を性別で限定しないことです。

育児休業や育児目的休暇について、「女性社員が育児の為に~」などの記載があると、男性は取得できません。その場合は男性も取得ができるよう、早めに就業規則を改正しておきましょう。

特に「子育てパパ支援助成金」は、男性労働者の休暇取得が助成の対象であることに注意が必要です。

就業規則の規定ポイント

就業規則の規定内容チェック

子育て支援に関する助成金の受給には、従業員が育児や子の看護などにより出勤ができなくなった場合を想定し、関連法に沿った規定、あるいはそれ以上に手厚い内容の規定が就業規則として整備されている必要があります。

規定を文章化する際のポイントは、次のような点です。

  • どのような種類の休暇なのか
  • 何歳(出生前は何週間)までの子を対象とするのか
  • 日雇いなど雇用契約の種別に関わらず対象とするのか
  • いつの期間中に何日の休暇を与えるのか
  • 休暇の取得単位は1日か半日か、あるいは時間単位か
  • 休暇の取得に際して必要な提出書類・手続きは何か
  • 当該期間中の給与は有給か無給か

就業規則がどのような内容になっているかによって、受け取れるはずの助成金が受け取れなかったり、何かあった場合に従業員との間でトラブルになったりする可能性もあります。

他社の規定やインターネット上にあるひな形のままでは、自社の事情にそぐわないことも多々あるので注意が必要です。

就業規則の整備は会社のリスクを抑え、安心して働ける職場環境づくりにつながる

就業規則の整備で安心な職場づくり

就業規則は、会社によっては「小さい会社だから必要ない」と整備すらされていなかったり、単なる形だけのものとなってしまったりしているケースが見られます。

しかし、就業規則の整備は法で定められた会社の義務であり、会社にも従業員にもメリットがあります。就業規則がないということは、会社と従業員それぞれの責任や義務、権利が明確になっていないのと同じことです。

この章では、就業規則を整備することの主なメリット2つを確認しておきましょう。

会社のリスク軽減、労使紛争の回避に役立つ

最新の法令に則った就業規則を整備しておくことで、法律違反など会社全体にかかるリスクを軽減できます。そして自社で想定される物事に関する規程をあらかじめ就業規則に定めておくことで、労使紛争のリスクを回避できます。

そもそも、従業員が常に10人以上いる場合には就業規則を作り、労基署に届け出ることが労基法で義務付けられています。たとえば創業時は6名だったのが今は10名以上になっている、それなのに就業規則を設けていないとなれば、法律違反を犯していることになります。

また、就業規則はあっても育児や介護など法令で定められた内容や、想定できる事態に対応する規定がなくてはなりません。

たとえば規定がなくても休暇を与える、としても、個々の事情をどれだけ汲むかなどの点で違いが生じる可能性があります。全員の希望通りにはできませんし、処遇に差異があれば不公平だとして不満が生じ、揉め事に発展するかもしれません。

従業員が安心して働ける職場環境づくりに役立つ

就業規則はあっても育児関連の休業・休暇の規定がなければ、出産する女性や多様な働き方への理解がない会社だと思われるでしょう。育児や介護と仕事の両立に関しては特に、少子高齢化が加速する日本でも積極的に対処するべき事柄です。

従業員から見れば、育児や介護についての規定がない会社は「働く自分たちへの配慮がなく不親切」といったマイナスの印象に映ります。

育児や介護は仕事との両立が難しく、柔軟な働き方ができなければ退職を余儀なくされることも。会社が育児や介護に直面する従業員への支援を行うと就業規則に明記することで、従業員は一方的に職を失うなどの不安もなく、安心して働けるようになります。

今や、従業員が安心して働ける職場を作ることは当たり前、という意識が働く側にもある時代。就職・転職先を探す際、福利厚生としてどのような配慮があるかを重視する求職者は多く、特に多くの女性が出産・育児に関する理解と配慮を求めています。

もちろん、育児に限らず制度の内容が手厚いほど会社への印象もよくなりますし、それが仕事へのモチベーションとなることも期待できるでしょう。

助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

就業規則の作成や助成金の相談をプロにする事業主

育児休業に関する助成金制度にはいくつもの種類があるほか、申請には多くの条件があります。助成金を受け取るには、そのすべてをクリアしなければなりません。受給の条件には、助成対象となる事柄について新たな制度を導入し、就業規則を整備することなども含まれています。

もし就業規則の規程内容に不備や不足があった場合には、いくら育児支援に熱心に取り組んでいたとしても助成金を受け取れません。

また就業規則の整備は、助成金の申請のみならず普段の会社運営にも会社側・従業員側の両方にメリットをもたらします。

もしまだ就業規則が整備されていない、あるいは以前に作成したままで今の法令に沿っているかどうかわからない、といった場合には、今すぐにでも専門家である社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。

当社Bricks&UKでは、雇用に関するさまざまな助成金の申請のお手伝いはもちろん、労務に関するあらゆるご相談を承っています。助成金の受給に必要な内容の就業規則、貴社の実状に合った就業規則の作成もいたしますので、ぜひ一度お問い合わせください。

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労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。

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