東京都のテレワーク助成金について解説

2021.06.28

東京都テレワーク助成金

この助成金の最大受給額は 2,500,000 です。

従来、会社員はオフィスに出社して仕事をするのが当たり前でした。しかし最近では、感染症の流行や自然災害など「出社したくてもできない」状況に陥ることもあり、業務をどう継続していくかというBCP(事業継続計画)対策が問われています。

また、自然災害のほかオリンピックなど大規模イベントの影響、あるいは個人的な事情で通勤に支障が出るケースも考えられます。

働き方の多様性を考える面でもメリットの多いテレワークは、政府も推奨する働き方。そのため、テレワークを実施した企業への助成金制度が設けられています。この記事では、東京都のテレワークに関する助成金・補助金について解説します。

東京都のテレワーク助成金・補助金

テレワークをする女性

東京都が実施するテレワークに関する主な助成金・補助金は、令和2年度に3件ありました。このうち1件が、令和3年度も継続して募集されています。まずは助成金の概要を見ていきましょう。

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

都内の中堅・中小企業等に対して、テレワークの導入に必要な機器やソフトウェア等の経費を支援する助成金です。

この助成金の申請受付は、令和2年7月31日(金)で終了しました。

はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)

テレワークの導入を促進するための環境構築経費および制度整備費に対する補助金です。

都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた、都内の中堅・中小企業等が対象になります。

申請受付は、令和3年3月31日(水)で終了しました。

テレワーク定着促進助成金

都内の中堅・中小企業等を対象に、テレワーク機器・ソフトなどテレワークの環境整備に関わる経費を助成します。

申請受付は、令和3年2月26日(金)で終了しました。

令和3年度からは、新たに「テレワーク促進助成金」として募集が開始されています。令和2年度「テレワーク定着促進助成金」からの主な変更点は、電子申請が可能になったことと、助成率と助成金の上限額が次のように変わったことです。

比較項目 テレワーク定着促進助成金 テレワーク促進助成金
常時雇用する労働者数 999人以下 30人以上999人以下 2人以上30人未満
助成金の上限 250万円 250万円 150万円
助成率 3分の2 2分の1 3分の2

次の章からは、令和3年度の「テレワーク促進助成金」について詳しく解説します。

東京しごと財団テレワーク促進助成金

テレワーク推進のイメージ

テレワーク促進助成金は、都内の中堅・中小企業等を対象とした、その名のとおりテレワークの活用推進が目的の助成金です。

情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備に対して、助成金が支給されます。

申請受付期間令和3年5月10日(月)~12月24日(金)

締切日の消印有効となりますので注意してください。

助成対象事業者

助成金を受けるための主な要件は次のようなことです。

  • 常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等である
  • そのうち2名以上が都内に勤務している
  • 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加している

「TDM」とは交通需要マネジメントの略で、推進プロジェクトはその道路混雑の緩和などを目的とした都の取り組みです。

この他にも、都民税を滞納していない、など細かな要件があります。詳しくは東京しごと財団か社会保険労務士に確認してください。

助成事業の実施期間

テレワーク促進助成金は、支給決定日から3カ月以内に完了する取り組みが助成対象になります。

さらに、次の2つの条件を満たす必要があります。

  • ① 様式第1号で申請したテレワークの導入計画にもとづく機器の購入や設置などがすべて完了し、テレワークの環境が整った状態であること
  • ② そのテレワーク環境で、対象となる全員にテレワーク勤務を2回以上させたこと

「様式第1号」とは、助成金申請に用いる決まった様式(文書の形式)のことです。

ここでのポイントは、必要な機器の購入・整備などを支給決定日以降に行い、かつ環境を万全に整えて実際にテレワークを2回以上行った実績を3カ月以内に作らなくてはならないことです。

テレワークの回数については、時間単位や半日単位でも1回とカウントできます。ただし、同じ人が1日に複数回に分けてテレワークを行ったとしても、1回としかカウントされません。

テレワーク促進助成金の実績報告の提出は、支給決定日から4カ月以内です。また実績報告までに、次の2点を済ませておく必要があります。

  • 都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録すること
  • 就業規則に「テレワークに関する規程」を作成すること

「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」とは、各企業がテレワークデーやテレワークウィークの設定など独自のルールを作って宣言するものです。

助成対象となる経費

助成金の対象となると伝える女性

テレワークの取り組みに必要な経費のうち、助成の対象になるのは、大きく分けて次の2種類の費用です。

  • 在宅勤務、モバイル勤務等を可能とする情報通信機器等の導入によるテレワーク環境構築費用
  • システム導入時の運用サポート費用

具体的には「助成対象経費の科目」として「消耗品費」「購入費」「委託費」「貸借料」「使用料」の5つがあり、次のようなものが対象となります。

助成対象科目 対象となる機器の例
消耗品費 パソコンやタブレットなどの購入費用(税込単価1,000円以上10万円未満のもの)
購入費 財務会計ソフト、CADソフトなど導入型ソフトウェアの購入費用(税込単価10万円以上)
委託費 導入した機器やネットワークの保守費用、操作説明の委託研修費用
貸借料 パソコンやタブレット、テレビ会議システムなどのリース費用
使用料 テレワーク対象者に要した各種ツールやソフトウェアの利用料

その他の例は、テレワーク促進助成金の募集要項に記載されています。対象となるかどうか判断に迷う場合は、東京しごと財団や社会保険労務士に確認すると良いでしょう。

なお、以上のものが経費として認められるには、次の5つの条件も満たす必要があります。

  • 都内で実施する助成事業にかかる必要最小限の経費であり、支給決定日以後、実績報告時までに支払いを終えている
  • 支払いが原則として口座振込である
  • 使途や単価、規模等が確認できる
  • 他の事業に要した経費と明確に区別できる
  • 財産取得となる場合は、所有権が助成事業者にある

前述のとおり、支給決定日より前に申込や契約、購入したものは助成金の対象にならないので注意が必要です。

助成金の支給額

助成金支給額の計算をする女性

助成金の支給額は、助成対象事業者の規模によって助成金の上限と助成率が異なります。

常時雇用する労働者数 30人以上999人以下 2人以上30人未満
助成金の上限 250万円 150万円
助成率 2分の1 3分の2

助成対象経費(税抜)に助成率(2分の1または3分の2)を乗じて助成金額を算出します。算出した助成金の額に千円未満の端数がある場合、端数は切り捨てとします。

コロナ対策で推進されるテレワークのメリット

テレワークのメリット

東京都の調査によると、令和2年6月末時点のリモートワーク(テレワーク)導入率は57.8%で、都内では半数以上の企業が何らかのテレワーク勤務を実施していることがわかりました(「テレワーク導入実態調査結果」より)。

また、厚生労働省が公表する資料によると、実際にテレワークを行った従業員のうち「今後も継続したい」と思う人は87.2%に上っています(「テレワークの労務管理等に関する実態調査」より)。

従業員の満足度が高いテレワークですが、会社側にとってもメリットがあります。ここでは、まず改めてテレワークの定義をおさらいし、メリットも把握しておきましょう。

そもそも「テレワーク」とは

テレワークの様子

テレワークは、tele(離れた所)とwork(働く)をあわせた造語です。リモートワークとも呼ばれます。ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方です。

テレワーク=在宅勤務というイメージもありますが、出張先のホテルやコワーキングスペース、移動中の新幹線や飛行機の中で仕事をすることも含まれます。要は、オフィスの外で仕事をするのがテレワークです。

テレワークを実施するメリット

自宅でテレワークをする男性

テレワークの実施で多様な働き方を認めることは、会社側にも主に次の5つのメリットがあります。

  • 子育てや介護などによる従業員の離職を防げる
  • 企業のイメージアップにつながり、採用活動のアピールとなる
  • 地方や海外に住む人など、通勤不可能でも優秀な人材の確保が可能になる
  • オフィススペースが縮小でき、家賃や光熱費、交通費などのコストが削減できる
  • 自然災害や感染症の流行時でも業務ができ、BCP(事業継続性)対策になる

上記のように、人材確保や緊急時の対策といった観点からも、テレワークを進めるメリットは大きいと考えられます。

世界のどこででも仕事ができれば、家庭の事情でキャリアを断念した優秀な人や、地方・海外在住で現地企業とコネクションがある人なども採用が可能です。

つまり、今までの採用条件では出会えなかった人材に出会うチャンスも広がり、会社の成長にもプラスになるのです。

今なら助成金を活用して費用負担を減らせるので、テレワーク環境の整備に絶好のタイミングと言えるでしょう。

助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

助成金受け取りの明るいイメージ

人材不足が叫ばれる中、採用戦略のひとつとして「テレワーク」を掲げる中小・中堅企業も出てきました。

テレワークの導入にあたり、事前の環境整備は大変に感じるかもしれませんが、定着後のメリットは計り知れません。今なら、テレワーク促進助成金を活用することで、負担を抑えてテレワークの導入が可能です。

助成金の申請業務は、経費計上のルールが複雑であるため、社会保険労務士に依頼するのがおすすめです。当社Bricks&UKには、助成金申請の経験が豊富な社会保険労務士が複数在籍しています。ぜひお気軽にご相談ください。

監修者からのコメント テレワーク関係の助成金は徐々に縮小傾向にありますが、令和3年度も東京都のテレワーク促進助成金は実施されています。 税込単価1,000円以上10万円未満のパソコン、タブレット、スマートフォン、周辺機器・アクセサリ等も対象となり、使い勝手の良い助成金です。 ご不明な点がございましたら、お問い合わせください。

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