人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」は、高度デジタル人材の育成や、従業員による自発的な能力開発の促進、サブスク型の研修を実施した事業主に助成金を支給する制度です。
以前より継続されている制度ですが、支給要件などは毎年あるいは随時改正が行われています。そのため、最新情報を把握して申請することが重要です。
この記事では、令和6年4月の改正点を含めた「人への投資促進コース」の最新の支給要件等について解説します。
このコースは、2026年(令和8年)までの期間限定助成とされています。お早めにご検討ください。
目次
人材開発支援助成金「人への投資促進コース」とは
「人材開発助成金」は、従業員に職務関連の教育・訓練を受けさせた事業主が対象となる助成金で、訓練中の経費や支払った賃金の一部が助成されます。
助成対象となる訓練
人への投資促進コースで助成対象となるのは、IT/デジタル分野の人材育成、自発的なスキルアップの促進のほか、訓練のための休暇制度の導入など。具体的には次のような助成があります。
訓練の種類 | 対象となる内容 |
---|---|
高度デジタル人材訓練 | 高度デジタル人材育成のための訓練 |
成長分野等人材訓練 | 国内外の大学院での講義の受講など |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | IT分野未経験者への訓練(OFF‐JT+OJT) |
定額制訓練 | サブスクリプション型研修サービスの利用 |
自発的職業能力開発訓練 | 従業員が自ら受講した職業訓練費用の負担 |
長期教育訓練休暇等制度 | 30日以上連続した訓練用休暇制度の導入、 所定労働時間の短縮・免除制度の導入 |
オンラインによる研修(eラーニング)や通信制の訓練も支給の対象となります。
令和5年4月より、いずれの助成も雇用契約の正規・非正規を問わず対象となりました。ただし雇用保険の被保険者に限ります。
また、人への投資促進コースの修了後に非正規の従業員を正社員化した場合には、キャリアアップ助成金(正社員化コース)の加算対象にもなり得ます(一部訓練を除く)。
それぞれの助成について詳しくは、このあとの章で説明していきます。
支給対象となる事業主・対象労働者
このコースの受給には、共通してまず次の要件をすべて満たす必要があります。
- 「事業内職業能力開発計画」を作成し、社内周知させる
- 「訓練実施計画届」と「年間職業能力開発計画」を作成し、訓練開始1カ月前までに管轄の労働局に提出する
- 職業能力開発推進者を選任している
- 対象者の訓練受講時間が、実訓練時間数の8割以上である
- 職業訓練期間中も、賃金を適正に支払っている
- 年間計画提出の半年前から、他の従業員を含め解雇等をしていない
- 同期間の特定受給資格離職者の数が、申請日時点の被保険者数の6%を超えていない
このほか、支給審査にかかる書類を整備して5年間保存している、審査に必要な書類の提出・提示などに対して協力する、5年以内に不正受給の過去がないなど、基本的な共通要件もあります。さらに、助成対象訓練ごとの要件もあります。
人への投資促進コースの対象となる訓練・制度
では、訓練メニューごとの支給対象や要件などについて見ていきましょう。
高度デジタル人材訓練
助成対象となるには、まず事業が主に「情報通信業」である、または産業競争力強化法に基づく事業適応計画の認定もしくは「DX認定」を受けているなどの要件を満たす必要があります。
該当する訓練は段階的に拡充され、次のようになっています。
- 「ITスキル標準(ITSS)」「ITSS+」」レベル3・4の講座
- 「DX推進スキル基準(DSS-P)」レベル3・4の講座
- 上記「DSS-P」レベル3・4かつ「DX推進スキル標準(DSS-P)と認定試験・資格とのマップ」掲載の認定試験・資格取得訓練
- 情報科学・情報工学および関連する分野を履修する大学(大学院は除く)への入学
ITスキル標準、DX推進スキル標準の講座については、経産省等によるデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」に掲載の講座に限ります。
さらに、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 実訓練時間数が10時間以上である
- OFF-JTでの訓練である
- 職務に関連した専門的な知識や技能を習得する訓練である
デジタル分野での高度なスキルを習得させる訓練が対象であり、マナー講習など職種を問わない訓練は対象外です。
高度デジタル人材訓練では、訓練期間中に支払った賃金と、訓練にかかった経費への助成が受けられます。助成率・助成額は企業規模により次のように異なります。
助成の区分 | 中小企業 | 大企業 |
---|---|---|
経費助成率 | 75% | 60% |
賃金助成額 | 960円/時 | 480円/時 |
賃金助成額は、1人1時間あたりの金額です。ただし原則として1200時間、大学での訓練は1600時間が上限です。
また、eラーニングや通信制の訓練には、賃金助成はありません。
経費助成は、資格取得費用(受験料)も対象となります。上限額は、訓練の場合は実訓練時間数によって30~50万円(大企業は20~30万円)。大学への入学の場合は、1年度あたり中小企業が150万円、大企業が100万円です。
成長分野等人材訓練
成長分野等人材訓練で助成対象となるのは、国内外の大学院での正規課程、科目等の履修制度、履修証明プログラムです。
国内の大学院の場合は分野を問いませんが、海外の場合は情報科学・工学やクリーンエネルギーなどに関する理工学分野、経営に関する特定の分野に限られます。
また、海外の大学院での訓練を受ける場合には、日本の大学で学士以上の学位を習得していることなど、対象者についての要件もあります。
さらに「高度デジタル人材訓練」同様、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 実訓練時間数が10時間以上である
- OFF-JTの訓練である
- 職務に関連した専門的な知識や技能を習得できる
助成内容は次のようになっています。
助成の区分 | 助成率・助成額 |
---|---|
経費助成率 | 75% |
賃金助成額 | 960円/時(国内大学院のみ) |
賃金助成額は、1人1時間あたりの金額で、1600時間が上限です。eラーニングや通信制の訓練、海外の大学院での訓練は賃金助成の対象外です。
経費助成の上限は、国内が150万円、海外が500万円です。
情報技術分野認定実習併用職業訓練
情報技術分野認定実習併用職業訓練の対象も、主な事業が「情報通信業」、または社内にIT関連を担う部署やチームがある企業に限られます。
IT分野の未経験者に対して、情報処理・通信技術の業務に関する訓練を行った場合に助成が受けられます。
ただし、社外機関によるOFF-JTと社内のOJTとを組み合わせて行った訓練に限ります。
主な要件は次のようなものです。
- 対象者が訓練開始時点で15歳以上45歳未満
- 訓練期間が6カ月以上2年以下、総時間数が1年あたりに換算して850時間以上
- 総訓練時間数のうちOJTの割合が20%以上80%以下
- OJTはITSSレベル2以上の資格または実務経験5年以上を有する者が実施
- 対象者がキャリアコンサルタント等によるコンサルティングを受け、ジョブカードを交付される
対象者がIT分野未経験かどうかは、キャリアコンサルティングの中で判断されます。
情報技術分野認定実習併用職業訓練の助成内容は下表のとおりです。
助成の区分 | 中小企業 | 大企業 |
---|---|---|
経費助成率 | 60% (75%) |
45% (60%) |
賃金助成額 | 760円 (960円)/時 |
380円 (480円)/時 |
OJT実施助成額 | 20万円 (25万円) |
11万円 (14万円) |
経費助成の経費は、資格取得の費用(受験料)も対象となります。eラーニングや通信制による訓練の場合、賃金助成はありません。
表中のカッコ内は、賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の助成率/助成額です。従前の生産性要件による加算は廃止されました。
1人あたりの経費助成の上限は、実訓練時間数によって15~50万円(大企業は10~30万円)、賃金助成の上限時間数は1200時間です。
定額制訓練
この制度でいう「定額制訓練」とは、同額で複数の訓練が受け放題となる研修サービス(サブスクリプション)を活用したものをいいます。受給には次のような要件があります。
- 労働時間内に実施され、業務上義務付けられた事業外訓練(OFF-JT)である
- 職務に関連する知識や技能を身につけるための教育訓練である
- 特定の事業主に向けた訓練でない
- 対象者の受講時間数の合計が10時間以上である
受講時間は、たとえば1人が5時間、別の1人が7時間であれば合計12時間とカウントします。ただし1時間未満の人はカウントされません。また、業務に直結しない講習も対象となりません。
定額制訓練では、経費の助成のみが受けられます。
中小企業 | 大企業 | |
---|---|---|
経費助成率 | 60%(75%) | 45%(60%) |
表中のカッコ内は、賃金要件・資格等手当要件(従前の生産性要件は廃止)を満たした場合の助成率です。
対象となる経費は、基本料金のほか初期設定費用やアカウント料など、訓練に直接必要となる費用です。タブレットやルーターのレンタル料など、訓練に直結しないものは対象となりません。
自発的職業能力開発訓練
人への投資促進コースでは、事業主からの指揮命令でなく従業員が労働時間外に自ら申し出て行う訓練も助成の対象としています。
支給申請をするには、社内に「自発的職業能力開発経費負担制度」を設け、就業規則等に明記する必要があります。すでに規定済みの場合も対象となります。
その他、次のような要件があります。
- 従業員が自発的職業開発経費負担制度を利用する
- 上記制度を施行日までに社内周知の上、労基署に届け出ている
- 事業外訓練、労働時間外の訓練である
- 実訓練時間数が10時間以上である
- 事業主が2分の1以上の経費を負担している
- 事業主が補助する経費は、通貨で対象者に直接支払われている
令和6年4月より、訓練時間数の要件が20時間以上から10時間以上に緩和され、職務に関連する訓練以外も対象となりました。
対象者が本人都合で退職するなどして訓練期間中に受講をやめた場合、受講時間数が実訓練時間数の8割に満たない場合は対象外となります。訓練がeラーニングや通信制による場合は、訓練を修了していなければ対象外です。
自発的職業能力開発訓練では、経費のみ助成が受けられます。令和4年12月に助成率が引き上げられ、次のようになっています。
中小企業・大企業とも | |
---|---|
経費助成率 |
45%(60%) |
表中のカッコ内は、賃金要件・資格等手当要件(従前の生産性要件は廃止)を満たした場合の助成率です。
資格・試験の受験料や独学のための書籍購入費などは対象となりません。また、受講回数は1人1年度につき3回が上限です。
受講者1人あたりの上限額は、実訓練時間数によって7~20万円です。また、大学での訓練は1年度あたり60万円、大学院は国内60万円、海外200万円が上限です。
長期教育訓練休暇等制度
長期教育訓練休暇等制度は、教育訓練のための有給・無給の長期休暇制度もしくは短時間勤務などの制度を導入し、従業員の自発的な職業能力開発を促した事業主を助成します。
受給には、まず教育訓練を目的とした長期休暇あるいは短時間勤務などのいずれかの制度を新たに導入した上で、制度の施行から3年間のうちに制度を適用した従業員がいる必要があります。
支給の対象となる2つの制度
支給対象となるのは、次のいずれかを満たす制度の導入です。
導入する制度の種類 | 制度の要件 |
長期教育訓練休暇制度 | ・所定労働日に30日以上の長期訓練休暇が取れる ・日単位、時間単位での取得が可能 |
教育訓練短時間勤務等制度 | ・所定労働日に30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除のどちらも可能 ・時間短縮は1時間単位での適用が可能 |
いずれも、導入するだけでなく就業規則または労働協約に規定する必要があります。規定の文章には、制度が事業主の指示でなく従業員の自発的な能力開発を目的とする場合に利用できるものであることを明確にし、制度の施行日も明記しなくてはなりません。
そして、施行日までに制度内容の全従業員への周知と、就業規則等の労基署への届出をすることも必要です。
制度の利用対象者は雇用保険の被保険者に限られ、長期休暇制度の場合は被保険者期間が連続して1年以上なくてはなりません。
制度利用のしかたや日数に関する要件
さらに、取得のしかたや日数などにも次のような要件があります。長期教育訓練休暇の要件については、令和6年4月に一部が緩和されています。
導入する制度の種類 | 制度適用の要件 |
---|---|
長期教育訓練休暇制度 | ・合計30日以上(所定労働日)の長期教育訓練休暇であること ・1日単位の休暇を10日以上連続して1回以上与えること ・休暇の開始・終了ともに計画期間内であること ・教育訓練や検定受験などの期間が訓練休暇取得日数の2分の1以上あること ・休暇の開始日が制度導入時から3年以内であること |
教育訓練短時間勤務等制度 | ・同一の教育訓練機関による一連の15回以上の訓練を含むこと ・制度導入日から3年以内に1回以上の所定労働時間の短縮または所定外労働時間の免除を行うこと |
休暇制度については、施行日より3年間のうちであれば複数に分けて取得させることも可能です。
さらに、分割した休暇の各回でそれぞれ教育訓練に2分の1以上の期間を費やしていなくてはならないという決まりもあります。
長期教育訓練休暇等制度の助成内容
長期教育訓練休暇等制度の支給額は次のとおりです。令和6年4月より、中小企業の賃金助成額が上がり、上限時間数も長くなりました。
制度の種類 | 賃金助成 | 経費助成 |
---|---|---|
長期教育訓練休暇制度 | 中小企業:960円/時 大企業:760円/時 |
20万円 (24万円) |
教育訓練短時間勤務等制度 | ― | 20万円 (24万円) |
1人あたりの賃金助成対象時間数の上限は、1600時間(大企業は1200時間)です。人数に制限はありません。
経費助成の表のカッコ内は、賃金要件または資格等手当要件を満たす場合の助成額です。大企業も同額です。こちらは企業単位で1回のみの支給です。
人への投資促進コースの申請時の流れ
人への投資促進コースの申請は、計画を立てるところから始まります。大まかな流れは次のとおりです。
- 1)事業内計画の作成、職業能力開発推進者の選出
- 2)労働局への計画届の提出
- 3)制度の導入
(自発的職業能力開発訓練、長期教育訓練休暇等制度※) - 4)教育訓練の実施/制度の適用
- 5)支給申請書類の提出
※印に関して、自発的職業能力開発訓練の場合は計画届の提出前に制度を導入している必要があります。
一方、長期教育訓練休暇等制度の場合は、計画提出後に制度を導入することとなります。
情報技術分野認定実習併用職業訓練の場合は、訓練の開始より30日前までに、厚生労働大臣への申請を行い、「実習併用職業訓練」の認定を受ける必要もあります。
それぞれの段階について詳しく見ていきましょう。
1)事業内計画の作成等
まずは、従業員の職業能力の開発を段階的に行うための「事業内職業能力開発計画」を作成します。記載内容や様式に指定はありません。
自社が必要とする人材像を明確にし、どんなスキルを身に付ける必要があるか、そのためにどのような教育訓練を受けさせるべきかなどを明らかにしていきます。
社内で教育訓練の取り組みの軸となる「職業能力開発推進者」も決めてください。
2)計画届の申請
訓練を始める日から起算して1カ月前までに、管轄の労働局に必要書類を揃えて提出しなくてはなりません。
提出書類は教育訓練の種類などにより異なります。ここでは共通する主なものを紹介します。
- 訓練実施計画書(様式第1号)
- 年間職業能力開発計画(様式第3-1号)
- 訓練別の対象者一覧(様式第4号)
- 事前確認書(様式第11号)
様式は厚労省の公式サイトからダウンロードが可能です(リンク先は下記)。
このほか、雇用保険の被保険者であることが確認できる書類や、OFF-JTの実施内容が確認できる書類などの添付書類も必要です。どんな添付書類が必要かは、訓練の種類によって異なります。
人材開発支援助成金のページ|厚生労働省
(移動先ページの下部にケースごとの申請書類ダウンロードリンクあり)
3)制度の導入
「自発的職業能力開発訓練」と「長期教育訓練休暇等制度」の申請には、訓練・休暇の各制度について就業規則への規定が必要です。
また、導入のタイミングについては異なる要件があります。
- 自発的職業能力開発経費負担制度は計画届の提出前に定めること
- 長期教育訓練休暇等制度は支給申請時までに導入すること
規定した就業規則は、制度施行日までに全従業員への周知をし、管轄の労基署に届け出る必要もあります。
長期教育訓練休暇等制度の場合、すでに導入済みであっても特定の要件を満たすことで賃金助成のみ受けられる可能性があります。
4)訓練の実施
事前に提出した「年間職業能力開発計画」に基づいて、それぞれの訓練を実施します。
長期教育訓練休暇等制度の場合は、「制度導入・適用計画届」に沿って制度を適用させます。規定の施行日から3年の間に、制度を利用して訓練を受けた被保険者が1人以上いなくては支給対象とはなりません。
提出済みの計画内容を変更する場合、たとえば対象者が変わる、増えるなどの場合には、「訓練実施計画変更届」や変更内容を反映した計画書を提出する必要があります。
変更届にも期限があり、期日までに変更届が出されていないと変更部分は不支給となるので注意してください。
5)支給申請書の提出
訓練が終わったら、支給申請書などの必要書類を管轄の労働局に提出します。提出期限は、訓練計画に記載の訓練終了日の翌日から2カ月以内です。
ただし、訓練内容によって起算日が異なる場合も。
たとえば休暇制度は、休暇の最終取得日の翌日から2カ月以内、短時間勤務制度の場合は、制度の最初の適用日の翌日から2カ月以内が申請期間となります。
支給申請に必要なのは、次のような書類です。
- 支給申請書(様式第5号)
- 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
- 支払方法・受取人住所届
- 賃金助成・OJT実施助成の内訳(様式第6号)
- 経費助成の内訳(様式第7-1号)
- OFF-JT実施状況報告書(様式第8-1号)
このほか、訓練経費の領収書や訓練中の賃金台帳、就業規則、出勤簿など、実施する訓練や導入する制度、状況によってさまざまに異なる書類が必要です。
生産性要件を満たした場合には、生産性要件算定シートや損益計算書、総勘定元帳なども提出しなくてはなりません。
場合によっては、20種類以上の書類を要する場合もあります。漏れがないよう、事前に必ず確認しましょう。
人への投資促進コース申請時のポイント
助成金のスムーズな受け取りには、押さえておくべきポイントもあります。「人への投資促進コース」では、特に次の3つの点を把握しておきましょう。
- 高度デジタル人材訓練や成長分野等人材訓練では、受験料も助成金の支給対象となる
- 事業外訓練の場合は、訓練機関による支給申請承諾書の提出も必要
- 定額制訓練の申請は、ほかの事業所で同様の申請をしていないか要確認
一部の訓練は資格試験の受験料も支給対象
次のいずれかの訓練を実施する場合には、それぞれ特定の資格試験の受験料も助成金の支給対象となります。
訓練種別 | 対象となる資格試験 |
---|---|
高度デジタル人材訓練 | ・ITSSレベル3・4 ・DX推進スキル標準(DSS-P)レベル3・4かつ「「DX推進スキル標準(DSS-P)と認定試験・資格とのマップ(※1)」にある認定試験・資格 |
成長分野等人材訓練 | ・ITSSレベル3または4 ・公的職業資格 ・「教育訓練給付指定講座分野・資格コード表(※2)」にある資格試験 ・DX推進スキル標準(DSS-P)レベル3・4かつ「「DX推進スキル標準(DSS-P)と認定試験・資格とのマップ(※1)」にある認定試験・資格 |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | ・ITSS レベル2・3・4 ・DSSPレベル2・3・4 |
※1・※2とも最新版
とはいえ、訓練内容と試験科目に関連性がないと見なされれば支給されません。また、受験料だけでの申請はできません。
ちなみに自発的職業能力開発経費負担制度では、資格試験の受験料は支給の対象外です。
「賃金要件」と「資格等手当要件」が新設
令和4年度まで、この助成金には売上など生産性の向上による助成金の加算がありました。しかし、この加算は廃止されています。
しかし、令和5年度より「賃金要件」及び「資格等手当要件」による加算制度が新設されています。
それぞれ、次のような要件となっています。
賃金要件
・基本給および諸手当(毎月決まって支払われる賃金)を5%以上上昇
(訓練終了日の翌日から起算して1年以内)
資格等手当要件
・資格等手当を支払い、賃金を3%以上増加
(訓練修了後翌日から1年以内に対象者全員に支払う)
賃金の増加については、対象労働者ごとに賃金要件は賃金の改定前後、資格等手当要件は手当の支払い前後、それぞれ3カ月間の賃金総額を比較して確認します。
また、この加算部分の受給には、対象者全員に賃金または手当の継続支給を3カ月間行った日の翌日から5カ月以内に別途申請する必要があります。
事業外訓練は訓練機関の支給申請承諾書も必要
訓練に外部の教育訓練機関を利用する「事業外訓練」の場合は、支給申請時に「支給申請承諾書(様式第12号)」を提出する必要があります。
これは、申請する事業主ではなく訓練を行う会社が記入しなくてはならないものです。記入に協力してもらえるかどうか、事前に確認しておきましょう。
定額制訓練の申請は、1つの事業所でまとめて申請
定額制サービスを利用する訓練、いわゆるサブスクリプション型の訓練の場合、1つの定額制サービスにかかる助成は1回限りです。
支給申請時には、他の事業所で同一のサービス契約についての支給申請を行わない旨を申告する書類も提出します。
すでに別の事業所で同じ定額制サービスについて申請・受給をしている場合には、不正受給と見なされるおそれがあります。対象者が最も多い事業所など、主となる事業所で1度にまとめて申請してください。
助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ
人材開発支援助成金「人への投資促進コース」は、2022年新設のコースです。サブスクリプション型の教育訓練や従業員の自発的なスキルアップ、訓練のための長期休暇制度の導入などで助成金が受けられます。
企業にとって大きなメリットのある助成金ですが、細かい要件があり、必要書類も訓練により異なります。何より、たびたび制度が改正されているため、最新情報を把握して申請しなくてはなりません。
そのため、「人への投資促進コース」の申請を考えるなら、まずは助成金のプロである社会保険労務士に相談するのが得策です。
当サイトを運営する「社会保険労務士事務所Bricks&UK」には、助成金の申請実績が多数あります。就業規則の整備などからお手伝いしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
就業規則を無料で診断します
労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。
こんな方は、まずは就業規則診断をすることをおすすめします
- 就業規則を作成してから数年たっている
- 人事労務トラブルのリスクを抱えている箇所を知りたい
- ダウンロードしたテンプレートをそのまま会社の就業規則にしている
監修者からのコメント 人材開発支援助成金を初めて申請する場合、事業内職業能力開発計画・年間職業能力開発計画を作成しなければなりませんが、この部分でつまづいてしまうことも少なくないようです。 弊社では事業内職業能力開発計画・年間職業能力開発計画の作成支援も行っております。 お気軽にお問い合わせください。