雇用調整助成金は、事業の縮小を余儀なくされながらも雇用を維持した事業主に対し、従業員に払った休業手当や賃金の一部を助成する制度です。
新型コロナウイルス感染症に対する特例措置では、手続きの簡素化や助成内容の拡充などがなされ、多くの店舗や企業に活用されました。しかし、コロナ特例については令和5年度をもって経過措置もすべて終了しています。
令和6年4月からは、通常の雇用調整助成金の助成対象や助成率が見直されました。そのため、申請にはまず最新の情報を確認することが必要です。
この記事では、令和6年4月からの雇用調整助成金についてわかりやすく解説します。
なお、令和6年能登半島地震に伴う雇用調整助成金の特例は、この記事の内容とは異なります。 |
目次
令和6年4月からの変更点
雇用調整助成金の助成の対象は、雇用維持・雇用調整の方法として「休業」あるいは「教育訓練」、「出向」のいずれかを行った事業主です。
令和6年4月より、従業員のリスキリング強化という観点から、「休業」よりも「教育訓練」による雇用維持を推進すべく、制度が改正されました。
支給日数が30日に達した次の判定基礎期間(※)から、教育訓練の実施率が低い企業への助成率は少し下がります。教育訓練の実施率による加算も、実施率が高いと増額されます。
また支給対象となる教育訓練の要件や必要書類についても、見直しが行われました。不支給となる訓練の要件が増え、必要書類も追加されています。
(※)「判定基礎期間」とは、休業等の実績を判定する1カ月単位の期間です。原則として毎月の賃金の締切日翌日から、その次の締め切り日までです。
具体的な助成率・助成額などは後の章で解説します。最新の制度内容を順に見ていきましょう。
支給対象となる事業主の要件
雇用調整助成金を受給するには、「事業主」と「対象労働者」、休業などの「雇用調整」それぞれに定められた支給要件をすべて満たす必要があります。
また、事業主に関しては、「不支給要件」のどれにも当てはまらないことが必要です。
まずは事業主に関する支給要件と不支給要件を見ていきましょう。
事業主に関する支給要件
支給対象となるのは、次のすべてを満たす事業主です。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 売上高または生産量などの指標が、最近3カ月の月平均で前年同期より10%以上減少していること
- 雇用保険の被保険者数と派遣社員の数が、最近3カ月の月平均で前年同期より10%を超えかつ4人以上増加していない(大企業は5%超かつ6人以上)こと
- 過去に同助成金の支給を受けたことがある場合、直前の対象期間(※)内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日(遅い方)の翌日から1年を経過していること
- 必要書類は提出するほか原本や写しを保管、求めがあれば速やかに提出すること
- 労働局などによる実地調査が行われる場合、調査を受け入れること
※「対象期間」とは、助成金の支給対象となる1年の期間です。 休業または教育訓練の場合は、休業初日から1年間、賃金締切日翌日から1年間などを指定できます。出向の場合は、出向開始日から1年間が「対象期間」です。
雇用関連の助成金は、雇用保険料を財源としています。そのため、雇用保険料を納めている事業主・被保険者となっている従業員が助成の対象です。
売上の減少があっても、例年起こる季節的な変動や、事故や災害による設備の被害、司法処分などによる事業の制限などは対象となりません。
また、この助成金を一度受給し、引き続いて助成を受けようとする場合、1年間の「クーリング期間」を設ける必要があります。1つの対象期間(※)満了後、翌日から1年間以上は空けないと新たに対象期間を設定することができません。
書類の提出要請や実地調査については、助成金の支給後に行われることもあります。受け入れなければ、助成金の返還を求められる可能性もあります。
不支給要件
次のうち1つでも当てはまる場合、支給は受けられません。
- 過去に雇用関係助成金の不正受給があり、その不支給決定・支給取消日より3年(平成31年4月以降の申請は5年)を経過していない
- 平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金で不正受給に関与した役員などがいる
- 支給申請する年度の前年度より前に労働保険料の未納がある
- 支給申請前日から過去1年間に労働法違反で送検されている
- 事業主や役員が暴力団員である、あるいは関係がある
- 倒産している
- 不正受給による事業主名の公表を承諾していない
新型コロナウイルス感染症の特例措置では、審査よりスピーディーな助成が優先されたため、上記に該当するのに支給を受けられたケースも少なくありません。
しかし特例措置は終了。コロナ禍での不正受給の件数の多さから、審査も厳しくなっています。
令和2年4月から令和5年3月末までの間、かつ本来支給を受けられなかった期間に支給を受けていた場合は、令和5年4月から雇用調整助成金の支給を受けられない期間が追加されます。
対象労働者についての要件
「対象労働者」となるのは、次のすべてに当てはまる従業員です。
- 上記の事業主要件を満たす事業主に雇用されている
- 雇用保険の被保険者である
- 休業・教育訓練・出向のいずれかの雇用調整の対象となる
ただし、次の1つでも当てはまる場合は対象外となります。
・休業や教育訓練を行った日を含む判定基礎期間(1カ月)の初日の前日、または出向開始日の前日までの雇用期間が6カ月未満の人
・解雇予告をされている、退職勧奨に応じている、退職を申し出ている人
・日雇い労働の被保険者
・特定求職者雇用開発助成金等の支給対象となる労働者
・出入国管理および難民認定法により国内での就労ができない人
・役員や同居の親族など雇用保険被保険者にできない人を2以上の事業主間で相互に雇い入れ、または親会社など独立性が認められない事業主から送り込まれ、被保険者となっている人
最後の項目について、独立性が認められるかどうかは、議決権の数や取締役会の構成など、資本や組織、経済的な関連性などにより判断されます。
休業・教育訓練・出向についての要件
雇用を維持するための雇用調整(休業・教育訓練・出向)についても、それぞれに満たすべき要件があります。順に見ていきましょう。
休業についての要件
雇用調整助成金の支給対象となる「休業」とは、次の要件すべてを満たすものに限ります。
- 労使間の協定によるものであること
- 事業主が指定した対象期間内(1年間)に行われるものであること
- 判定基礎期間(1カ月間)中の休業または教育訓練実施日ののべ日数が、対象者の所定労働のべ日数の20分の1(大企業は15分の1)以上となるものであること
- 所定労働日の所定労働時間内に実施されるものであること
- 所定労働日の全1日、あるいは所定労働時間内に対象者について1時間以上行われる短時間休業であること
短時間休業とは、個人ごとおよび日ごとに1時間以上行われる休業を指します。
教育訓練についての要件
教育訓練については、前提として、職業に関する知識や技能、技術の習得あるいは向上を目的とした訓練が対象となります。実施場所は事業所の内・外を問いません。
教育訓練については、令和6年4月から支給対象となる訓練が見直されています。まずは対象となる訓練から見ていきましょう。
対象となる教育訓練
助成の対象となる訓練は、次の要件を満たすものに限ります。また訓練後には、受講者本人によるレポートなどの提出が必要です。
<事業所内で実施する訓練>
- 経験のある従業員が講師役で、停止中の生産ラインなどを活用して行う訓練
たとえば、作業の安全性についての確認や、生産性向上のための業務プロセスについての講習などが対象となります。
通常の事業活動とは区別されていなければならず、訓練の成果物を売って利益を得るような場合は対象外です。
- 事業所に外部講師を招いて講習などを行う訓練
業務改善のノウハウや中間管理職などを対象としたマネジメント研修、プレゼンなどのビジネススキル研修が該当します。
- 事業所の会議室などで、双方向のオンライン講座を受講させる訓練
講師が常に受講者の様子を視認でき、受講中の質疑応答が可能なものに限ります。
<事業所外で実施する訓練>
- 官公庁や地域の商工会議所といった支援機関が行う講習など
DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)を業務に取り入れるための講習や、販路開拓などについての講習、労働法など法令の改正に関する知識も対象となります。
- 業務に必要な免許・資格の取得・更新のための講習や訓練など
たとえばバス会社が運転手に二種免許の取得や更新をさせるほか、政府による認定職業訓練を受けるなど、教育訓練機関等が行う訓練やセミナーなどが該当します。
対象とならない教育訓練
次の項目に当てはまる訓練は、いずれも支給の対象外です。
- 目的が職業知識や技能、技術の習得や向上でない訓練
- 職業人に共通して必要な知識を得る訓練(法令知識を除く)
- 実施目的が訓練に直結しないもの
- 通常の事業活動と区別がつかない訓練
- 実施状況が確認できない訓練
- 新規雇用者に対して行われる訓練
- 法令で受講が義務付けられている訓練
- 教育訓練中に業務を行うもの
- 指導員や講師に訓練内容の知識や技能、実務経験がないもの
- 再就職の準備として行われる訓練
- 過去に同一の労働者に行ったことのある訓練
- 海外で実施する訓練
- 技能実習生に対する訓練
たとえば、懇親会やイベント、一般的なビジネスマナーや日常会話レベルの語学講座、QCサークルなどは助成対象となりません。
また、自習や動画を視聴するだけの訓練、業務と時間的区別がされていない訓練も対象外です。
出向についての要件
出向については、次の項目すべてを満たすものに限り対象となります。
- 人事交流や業務提携のためでなく、雇用調整のための出向であること
- 労使間の協定による、かつ出向者の同意を得たものであること
- 出向元事業主と出向先事業主の間で契約されたものであること
- 出向先企業も雇用保険の適用事業所であること
- 出向先事業主と出向元事業主が、資本・経済・組織的に無関係であること
- 出向者の受け入れに際し、出向開始前6カ月から1年を経過する日までの間に自社で会社都合の離職者を出していないこと
- 事業主が指定した1年間の対象期間内にスタートするものであること
- 3カ月以上1年以内に、出向元に復帰するものであること
- 復帰後6カ月以内に、当人を再度出向させるものでないこと
- 出向者の賃金の一部(全額でない)を、出向元事業所が負担していること
- 出向後も、出向前とほぼ同額の賃金を支払うものであること
- 出向元において、他の助成金の対象となる雇い入れを行ったり、この助成金対象の出向先として出向者を受け入れたりしていないこと
- 出向先において、出向者を受け入れながら自社の従業員にこの助成金の対象となる出向をさせていないこと
雇用調整のための出向であるべきなので、相手先企業と従業員を交換する形での出向などは認められません。
雇用調整助成金の受給額
この助成金の受給額は、雇用調整の方法や事業主の負担額などにより異なります。
基本の受給額・加算額
休業の場合は、事業主が負担した休業手当の額に助成率をかけた額が支給されます。教育訓練の場合は訓練中に支払った賃金相当額に、出向の場合は出向元の賃金負担額に、下表の助成率をかけて算出します。
教育訓練の場合は、加算も受けられます。
また、令和6年4月の制度見直しにともない、累計の支給日数(※)が30日に達した判定基礎期間とその次の判定基礎期間では、助成率や加算額が一部変わります。
※「支給日数」とは、1つの判定基礎期間の休業等ののべ日数を、対象労働者数で割った数をいいます。
累計の支給日数が30日に達した判定基礎期間まで
支給日数が累計30日に達するまでは、下表の助成率と加算額です。これは従前の助成内容と同じです。
企業規模 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
中小企業 | 3分の2 | 1,200円 |
大企業 | 2分の1 |
その次の判定基礎期間から
30日に達した判定基礎期間の次の判定基礎期間からは、教育訓練実施率(※)が低い企業への助成率が下がり、高い企業への加算額が増えます。
ただし、対象期間の開始が令和6年3月31日以前の場合と、令和6年能登半島地震に伴う特例を利用する場合には適用されません。
教育訓練実施率 | 企業規模 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
10分の1未満 | 中小企業 | 2分の1 | 1,200円 |
大企業 | 4分の1 | ||
10分の1以上 5分の1未満 |
中小企業 | 3分の2 | |
大企業 | 2分の1 | ||
5分の1以上 | 中小企業 | 3分の2 | 1,800円 |
大企業 | 2分の1 |
※「教育訓練実施率」とは、休業等ののべ日数のうち、教育訓練を実施した日数の割合をいいます。
休業と教育訓練についての助成は、1年に100日分、3年で150日分が限度です。また、1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額が上限です(最高額は例年8月1日に見直し。令和5年8月1日時点で8,490円)。
出向の場合は、最長1年の出向期間中は支給が受けられます。1人1日あたりの上限は、「雇用保険基本手当日額の最高額×「365分の330」×支給対象期の日数」で算出した額です。
残業や休日労働があった場合の「残業相殺」
休業や教育訓練などを行う一方で、残業や休日出勤などの所定外労働をさせていた場合、一時的であっても「事業の縮小」とは言えないため、その分は助成対象から外されます。
助成対象となる休業等ののべ日数を計算する際、残業など所定外労働に該当する時間分を、休日等の日数から控除(差し引き)します。これを「残業相殺」といいます。
新型コロナウイルス感染症の特例では免除されていた残業相殺ですが、特例措置は終了し、現在は控除されることとなっています。
雇用調整助成金の申請の流れ
雇用調整助成金の申請手続きは、次のような流れで行います。
- 1)雇用調整(休業・教育訓練・出向)の計画作成
- 2)計画届を労働局に提出
- 3)休業・教育訓練・出向の実施
- 4)助成金の支給申請
- 5)労働局による審査→支給決定
- 6)指定口座への振り込み
支給対象期間(出向の場合は支給対象期)ごとに、2~4を繰り返します。
「支給対象期間」とは、休業や教育訓練の計画書作成や支給申請を行う一定期間を単位とするものです。1つの判定基礎期間ごと、もしくは連続する2つ・3つの判定基礎期間をまとめて行うことのいずれかを、毎回選択できます。 「支給対象期」とは、出向の計画届の提出や支給申請を行う一定期間をいいます。出向開始から最初の6カ月を「第1支給対象期」、次の6カ月を「第2支給対象期」と呼びます。 |
計画の作成と計画届の提出
まずは雇用調整をどの方法でどれくらいの期間行うのか、どの部署で何名対象とするのかなどを検討し、計画を立てます。事業所内の教育訓練であれば、カリキュラムや講師の選定なども行う必要があります。出向先については、(公財)産業雇用安定センターであっせんも行われています。
計画書は、作成するだけでなく労働局に届出しなくてはなりません。届出には、次のとおり期日があります。
●休業・教育訓練……開始する日の前日まで
●出向……支給対象期の初日の前日まで
ただし初回申請の場合は、それぞれ前日でなく2週間前までと早めの提出が呼びかけられています。
計画届の提出も、コロナ特例では手続き簡略化のため不要とされていたものですが、現在は必要となっています。
支給申請の手続き
支給申請は、支給対象期間(出向の場合は支給対象期)ごとに行います。申請できる期間は、次のとおり定められています。
●休業・教育訓練……支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内
●出向……支給対象期の末日の翌日から2カ月以内
たとえば支給対象期間が7/20~8/19の場合、支給申請は8/20~10/19の間に行います。ただし、休業手当や賃金の支払日以降でなくてはなりません。
雇用調整助成金の申請に必要な書類
雇用調整助成金の手続きは、申請より前に計画届を提出する必要があります。
まずは計画届の提出の際に必要となる書類から見ておきましょう。原本があるものは、複写したものを提出します。提出した書類は、支給決定から5年間は保存の義務があります。
計画届に必要な書類
雇用調整を休業または教育訓練で行う場合は、次のような書類が必要です。
必要書類 | 概要 |
---|---|
休業等実施計画(変更)届 | 様式第1号(1) |
雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書 | 様式第1号(2) |
雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書 | 様式第1号(4) |
休業・教育訓練計画一覧表 | 様式第1号(3) |
休業協定書・教育訓練協定書 | 労組との協定書、組合員名簿など |
事業所の状況に関する書類 | 会社パンフレットや総勘定元帳など |
教育訓練の内容に関する書類 | 就業規則、カリキュラム表など |
様式のない書類については、必要事項を確認するための確認書類です。1種の書類で内容ができなければ、複数の書類が必要となります。
出向の場合は、次の書類が必要です。
書類の種類 | 概要 |
出向等実施計画(変更)届 | 様式第2号(1) |
雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書 | 様式第2号(2) |
雇用調整実施事業所の雇用指標の状況に関する申出書 | 様式第2号(3) |
出向協定書 |
労働組合との協定書 ※出向の実施時期や期間、期間中の賃金などの条件、終了後の処遇等がわかるもの |
事業所の状況に関する書類 | 会社パンフレットや総勘定元帳など |
出向契約に関する書類 |
・出向先との間で締結した出向契約書 |
申請に必要な書類
休業や教育訓練を行った場合は、支給申請時に次のような書類が必要です。
書類の種類 | 概要 |
支給申請書(休業等) |
様式第5号①(1) |
助成額算定書 | 様式第5号(2)の2 |
休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書 | 様式第5号(3) |
雇用調整助成金支給申請合意書 | 様式第13号 |
支給要件確認申立書 | 共通要領様式第1号 |
労働日・休日及び休業・教育訓練の実績に関する書類 |
・労働日・休日と休業や教育訓練の実施が確認できる「出勤簿」など |
教育訓練の受講実績に関する書類 |
※教育訓練実施の場合のみ ・受講の事実が証明できる本人作成の「受講レポ―ト」など |
令和6年4月1日以降を初日とする判定基礎期間より、上記の労働日・休業等の実績に関して提出すべき書類に、次の3つの書類が追加されました。
追加された書類 | 概要 |
源泉所得税の直近の納付を確認できる書類(写) | 給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の領収日印があるものなど ※初回の判定基礎期間分のみ |
判定基礎期間における支給対象者全員分の源泉徴収簿 | 毎月の源泉徴収の記録がわかり、年末調整にも使用できるなら「賃金台帳」も可 ※初回の判定基礎期間分のみ |
給与振込を確認できる書類(写) | 現金払いの場合は、社名や金額、従業員住所や電話番号、受領日の明記と従業員直筆の氏名が記された領収証 |
これ以外にも、審査の過程で書類の提出を求められることがあります。給与支払報告書や住民税決定通知書、源泉徴収簿や総勘定元帳、納税証明書などのほか、休業手当の算出方法がわかるものなどを準備しておくと安心です。
出向による雇用調整の場合は、申請時に次のような書類を提出します。
書類名 | 概要 |
支給申請書(出向) | 様式第6号(1) |
出向先事業所調書 | 様式第6号(2) |
出向に関する確認書 | 様式第6号(3) |
出向元事業所賃金補填額・負担額調書 | 様式第6号(4) |
支給要件確認申立書 | 共通要領様式第1号 |
出向の実績に関する書類 |
・出向の時期や人数などの事実確認ができる出向元・出向先の労働者名簿や出勤簿など |
出向者の賃金を出向元・出向先がどのように負担するかによって、必要書類が異なる可能性があります。
雇用調整助成金を申請する際の注意点
雇用調整助成金は、要件を満たせば支給が受けられるものですが、その要件が多く細かく、ちょっとしたミスや不備で不支給となるケースもあります。
特に次の点には注意してください。
「変更届」なしの変更は支給対象外
休業などの雇用調整は、提出した計画にもとづいて行われる必要があります。計画に変更があった場合は、変更する雇用調整の開始日前までに、変更届を出さねばなりません。
変更届の提出なく休業日数が増えるなどして変更があった場合、変更後の部分は助成金の対象外となるので注意が必要です。
休業日の自主出社も支給対象外
会社としては休業としていても、従業員が個人の判断で自主的に出社するケースが見られます。しかしその場合、休業の実態が確認できないと見なされ支給の対象とはなりません。
いったんは支給されても、支給後に審査で発覚するケースもあるので、適正な申請が必要です。不要不急の出社は控えるなど、従業員に周知しておく必要もあるでしょう。
申請期限を1日でも過ぎたら受付不可
申請期限は厳守が必要です。1日でも過ぎれば受け付けてもらえません。特に郵送する場合、消印の日付にかかわらず締切日の必着となるため、早めに提出するのが得策です。
郵送の場合は、簡易書留などで配達記録を残しておくようにしてください。
申請には最新の要件や書類を要確認
雇用調整助成金の対象者や要件、必要書類などは、ひんぱんに改正が行われています。申請の際は、まずは最新の情報を確認しておきましょう。
特にコロナ特例を活用したことのある場合、当時行われていた特例措置(計画届提出の省略、残業相殺の停止など)はなくなっています。様式や必要書類も変わっており、不備などがあると受給ができません。
悪質業者によるトラブルに注意
雇用調整助成金は広く知られていることから、悪質な業者の介入によるトラブルや不正受給なども多く、問題となっています。
たとえば、すすめられるまま事業外の教育訓練を契約したが、助成の対象とならない訓練だった、手続きをすべて任せていたら、事実と異なる内容で申請されていた、など。
また不正受給は、支給後に内部告発による立ち入り調査で発覚するケースも少なくありません。悪質な場合は事業主名が公表され、大きなダメージを受けます。
助成金は要件を満たせば受けられますが、要件などは複雑で、申請には手間もかかります。「簡単に助成金が手に入る」「助成金はもうかる」などとうたう勧誘には注意してください。
雇用調整助成金ならBricks&UKにおまかせ
雇用調整助成金は、事業が経済的にダメージを受けても、従業員を解雇等することなく乗り切ろうとする事業主の方をサポートする助成金です。
休業あるいは教育訓練、出向を行うことにより、負担した休業手当や賃金の一部が助成されます。従業員の解雇を実施する前に、助成金の活用も検討してはいかがでしょうか。
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労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。
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- 就業規則を作成してから数年たっている
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監修者からのコメント コロナ禍で活用が多かった雇用調整助成金ですが、クーリング期間が明けて再び活用する会社も出てきています。 売上が減少し雇用の維持が難しい場合には、活用することをお勧めします。
今回の改正により教育訓練を行うことで助成金額もUPします。
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