地域雇用開発助成金を徹底解説!

2021.10.04

地域雇用開発助成金

東京では人口の流入が増える一方、地方では働き手を失う傾向が続いています。進学などで地元を出たまま都会にとどまる若者が多いことから、求人が少ない地方に事業所を置くなどして雇用機会を作った事業主に対して、国は「地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)」を設けて支援しています。

ただ、この助成金は特に対象となる地域や助成内容などの規定が細かく、自社が利用できるのか、どの程度の助成が受けられるのか、などが把握しにくいのが難点と言えるでしょう。

そこでこの記事では、地域雇用開発助成金について、具体的な支給要件や支給額、申請の流れなどについてわかりやすく解説します。

地域雇用開発助成金とは?

助成金とは?

地域雇用開発助成金は、雇用機会が不足している、つまり求人の少ない過疎地域などに新たに事業所を置くなどし、地域の人を従業員として雇った場合に受給できる助成金です。地方での雇用機会を増やし、人口の流出を防ぐとともに安定した雇用を確保することを目的としています。

助成金を受けるには、定められた地域に事業所の設置や増改築などの整備を行い、その地域に住む求職者をハローワークなどの紹介で雇い入れることが主な条件です。

申請は1年に1回行い、最大で3回まで受給できます。助成額については、事業所の設置などに要した費用と対象者の増加人数によって48万円から760万円までの区分で支給されます。中小企業の場合や創業時の場合、100人以上の大規模な雇用を行うなどの場合には、それぞれ助成金の加算もあります。

地域雇用開発助成金の支給要件をチェック!

助成金支給要件のチェック

前述のように、地域雇用開発助成金を受給するには対象地域で事業所を設置・整備した上で人材を雇用する必要があります。受給するためにはかなり細かい条件が定められているので、ここで整理しておきましょう。

対象となる地域、事業主の要件、労働者の要件、対象となる費用、支給回数によって異なる要件について、それぞれ順に説明していきます。

対象となる地域

特定友人国境離島等地域の利尻島

助成金の対象となる地域は、次の3つの区分で指定されています。

  • 同意雇用開発促進地域
  • 過疎等雇用改善地域
  • 特定有人国境離島等地域

「同意雇用開発促進地域」とは、求職者数に対して求人数が大きく不足している地域を指します。「過疎等雇用改善地域」とは、若年層や壮年層(主に15歳~44歳)の流出が特に進んでいる地域をいいます。そして「特定有人国境離島等地域」には、北海道の利尻島・礼文島や東京の小笠原諸島、鹿児島県の奄美群島など、国境近くにある全国の離島が指定されています。

それぞれの地域は厚生労働省の資料にて確認できます。

同意雇用開発促進地域一覧(令和3年5月1日現在・16道県30地域)|厚生労働省

過疎等雇用改善地域一覧(令和3年4月1日現在)|厚生労働省

特定有人国境離島地域等一覧|厚生労働省

対象となる事業主の要件

助成金支給対象となる事業主

地域雇用開発助成金の受給には、事業主がまず次の4つの要件を満たしている必要があります。

  • 指定地域において、雇用を拡大すべく事業所の新設や増改築などの整備を行うこと
  • 事業所の設置・整備にあたり、事前に計画書を各都道府県の労働局長に提出すること
  • 対象となる労働者(詳しくは後述)を3人(創業時は2人)以上雇い入れること
  • 雇用保険の被保険者数を、計画日前日より3人(創業時は2人)以上増やしていること

対象労働者の数は、雇用した人ではなく被保険者の増加数が上限となります。雇用した人数より被保険者の増加数の方が少ない場合、雇用した人の中から対象労働者を選び、人数を補填します。ちなみに、新卒学生も対象とすることはできますが、その人数は対象労働者数の3分の1までと定められているため注意してください。

また、雇用を開発する目的があることから、雇用維持に関わる次のようなケースは不支給とされます。

・解雇など、事業主都合による離職者を出している
・事業の縮小や賃金の大幅低下などによる離職で失業手当の特定受給資格者となった人の数が3人を超え、かつその数が事業所内の被保険者数の 6%を超えている

また、過去に不正受給に関与した事実がある、労働保険料の滞納があるなど各種労働関連法を順守していない、風営法の対象となる事業である、暴力団との関連がある、といった場合にも助成金は支払われません。

さらに、出勤簿や賃金台帳などの労働関係帳簿類、総勘定元帳や現金出納簿など会計関係の帳簿類を、支給審査などで労働局から求められた場合には速やかに提出することも要件の1つとなっています。

このほか、雇用保険適用事業所の事業主であることなど、雇用関連の助成金共通の事業主要件も満たす必要があるなど、事業主に対してだけでも多数の支給要件があります。

対象となる労働者

助成金支給対象となる労働者

次に対象労働者の条件を見ていきましょう。

  • 雇入日、もしくは異動日の時点で当該地域に居住している
  • ハローワーク等で紹介された求職者
  • 雇入当初から、雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者となる
  • 当該助成金の受給後も継続して雇用される見込みがある
  • 雇入後、設置・整備を行った事業所で働く
  • 過去3年間に、同一の事業主の事業所で就労したり職場適応訓練を受けたりしたことがない
  • 過去1年間に、資本的・経済的・組織的に関連のある事業所に雇用されていたことがない
  • 事業主と3親等以内の親族でない
  • 公の施設の管理を行うために雇い入れられた求職者でない

入社当初から新設の事業所で働く人だけでなく、事前に雇い入れた上で配置転換される場合も、条件を満たしていれば対象となります。ただし、事前に求人票や雇用契約書に明記して本人に知らせておかなくてはなりません。

対象となる経費

助成金対象となる内装工事

地域雇用開発助成金を受けるには、雇用拡大のための事業所設置や整備に使った費用の総額が税込300万円以上である必要があります。とはいえ、どんな費用でも認められるわけではありません。

対象となるのは次のような費用です。

  • 基礎工事、建築工事、内装工事などの工事費用
  • 不動産や機械、工具、車両などの動産の購入費用
  • 不動産や機械などの動産の賃借・リース費用

またいずれも、1点あるいは1契約に対して20万円以上である必要があります。

照明器具や空調設備など、取り付け工事が必要な動産の工事費も対象です。しかし不動産登記の手数料や土地の購入費用、仲介手数料やリースの保守費用などは対象となりません。事業主の自宅や、収入を得られるような商品・賃貸用施設なども対象外です。

1回目の支給要件

1回目の助成金申請イメージ

地域雇用開発助成金は、1年に1回の申請で最大3回まで助成金が支給されますが、1回目と2、3回目の支給では必要な条件が異なるので注意が必要です。上で紹介した事業主の要件が、実質的に1回目の支給要件となります。改めて見ておきましょう。

  • 指定地域において、雇用を拡大すべく事業所の新設や増改築などの整備を行うこと
  • 事業所の設置・整備にあたり、事前に計画書を各都道府県の労働局長に提出すること
  • 対象となる労働者を、ハローワーク等を通じて3人(創業時は2人)以上雇い入れること
  • 雇用保険の被保険者数を、計画日前日より3人(創業時は2人)以上増やしていること

雇い入れた労働者は、当初から雇用保険の一般被保険者あるいは高年齢被保険者とする必要もあります。

2回目・3回目の支給要件

助成金申請の要件チェックイメージ

2回目・3回目の支給要件は、1回目で満たした被保険者数や対象労働者数を維持できているかどうかがポイントです。具体的には次の3点です。

  • 被保険者数の維持

各回の支給基準日(※)における「被保険者の数」が、完了日時点の数を下回っていない

  • 対象労働者数の維持

各回の支給基準日における「対象労働者の数」が、完了日時点の数を下回っていない

  • 対象労働者の職場定着

各回の支給基準日までの離職者の数が、完了日時点の対象労働者の半数以下あるいは3人以下である

※印の「各回の支給基準日」とは、それぞれ第1回目の完了日から数えて2回目は1年後の日を、3回目は2年後の日をいいます。「完了日」とは、計画期間が終了し、完了届(1回目の支給申請書)など必要書類を労働局長に提出する日です。

職場定着の要件に関しては、第1回目の完了日以降に事業主の都合以外の理由で離職者が発生した場合、対象労働者の補充を行えます。ただし、その補充者を含めて対象労働者の2分の1超、かつ4人以上が第2・第3回の支給基準日の時点で離職している場合には、支給対象から外れてしまいます。

地域雇用開発助成金の支給額

地開金の支給額計算イメージの電卓

地域雇用開発助成金の支給額は、対象となる労働者を何人雇用しているか、設備や整備にどのくらいの費用をかけたかによって、次のように異なります。これは限度額ではなく、各回(1年ごと・最大3回)の支給額です。

設置・設備費用 対象労働者の増加人数(下段は創業の初回)
3~4人 5~9人 10~19人 20人以上
基本 優遇 基本 優遇 基本 優遇 基本 優遇
3百万円以上1千万円未満 48万円 60万円 76万円 96万円 143万円 180万円 285万円 360万円
100万円 160万円 300万円 600万円
1千万円以上3千万円未満 57万円 72万円 95万円 120万円 190万円 240万円 380万円 480万円
120万円 200万円 400万円 800万円
3千万円以上5千万円未満 86万円 108万円 143万円 180万円 285万円 360万円 570万円 720万円
180万円 300万円 600万円 1200万円
5千万円以上 114万円 144万円 190万円 240万円 380万円 480万円 760万円 960万円
240万円 400万円 800万円 1600万円

 

表の「基本」は通常時、「優遇」は当該期間中に売り上げなど生産性の向上を果たし、要件を満たした場合の支給額です。

中小企業の場合には、1回目のみ上記支給額の2分の1の額が上乗せ、つまり1.5倍の額が支給されます。また、新たに事業を創業する法人だと認められた場合には、対象労働者の増加人数の下限が2名となり、1回目のみ上表の下段の額が支給されます。

申請方法と申請時の注意点

地域雇用開発助成金の申請は、まず計画を立てて労働局長に提出、認められれば計画を実行し、計画の完了後に申請書類などを提出します。1回目の支給が決定すれば、2回目・3日目の支給申請も可能です。申請の流れと注意点を見ておきましょう。

地域雇用開発助成金の申請の流れ

地域雇用開発助成金の申請の流れ

助成金の申請は、次のような流れで進めます。

  • ①「計画書」を管轄の労働局長に提出する
  • ②計画期間内に300万円以上の費用をかけ事業所の設置・整備をし、地域雇用の拡大を図る
  • ③計画期間内にハローワーク等を通じて対象労働者を3人(創業の場合は2人)以上雇用する
  • ④「完了届(第1回支給申請書)」などを労働局長に提出する
  • ⑤工事や動産購入、雇用の実態確認のための実地調査を受ける
  • ⑥1年間、被保険者数および対象労働者数の維持、対象労働者の定着に取り組む
  • ⑦「第2回支給申請書」などを労働局長に提出する
  • ⑧1年間、被保険者数および対象労働者数の維持、対象労働者の定着に取り組む
  • ⑨「第3回支給申請書」などを労働局長に提出する

新たに創業する場合は、計画書の提出時点で「創業計画認定申請書」の提出も必要です。
また、1回目の支給決定前には実地調査が行われます。実地調査では次のような点をチェックされます。

・購入もしくは賃借した設備などが実際に存在しているか
・労働会計帳簿類や会計帳簿類が適切に備え付けられているか
・ハローワークを通じて採用しているか
・対象労働者が実際に就業しているか

調査で確認できない設備や動産の購入・工事費等は対象経費として認められません。また、不正受給を防ぐために、取引先や対象労働者への聞き取り調査が行われることもあります。

申請の期限と注意点

助成金申請の注意点解説

計画期間は最長18カ月です。1回目の申請について、整備や雇用が計画書提出から18カ月以内に完了した場合は、18カ月以内の任意の日に完了日を提出します。18カ月の経過後は、18カ月を経過する日を完了日とし、その翌日から2カ月以内に完了届を提出しなくてはなりません。

2・3回目については、それぞれの支給基準日(2回目は完了日の1年後、3回目は完了日の2年後の日)の翌日から2カ月以内に支給申請をする必要があります。

提出した書類に不備があれば、修正などが必要となることもあります。指示された期限までに修正しないと不支給となるので注意が必要です。

また、不正受給が発覚した場合は、助成金の支給前であれば不支給となり、支給後であれば支給取消として受け取った助成金を返還しなくてはなりません。さらに、以降5年間は各種の給付金を受給できなくなります。不正の内容によっては、事業主の氏名が公開されたり、刑事告発されたりする恐れもあります。

まとめ 助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

助成金申請をサポートする社労士

地域雇用開発助成金について、その概要や支給条件、申請の流れなどを解説しました。地域雇用開発助成金は、過疎地域など求人が少ない地域で雇用機会を増やす企業を支援するための助成金です。事業所の新たな設置や増改築を考えている、あるいは新たに創業しようとしているなら、ぜひこういった地域も対象として検討し、助成金を活用してください。

ただ、この助成金には地域や労働者、経費などに細かい条件が複数設定されているほか、事前の計画も必要となり、申請は簡単とは言えないのが実情です。

そのため、助成金の申請にはぜひプロである社会保険労務士への依頼をおすすめします。Bricks&UKでは、助成金の申請経験が豊富な社会保険労務士が在籍し、労務に関するさまざまなサポートを行っています。どうぞお気軽にご相談ください。

社労士からのコメント 自社にどの助成金が当てはまり受給できるのか、理解したうえで事業を展開されている事業者様は少ないのが実情です。 新たな事業を始める際、それが求人の少ない過疎地域であれば、今回ご紹介した「地域雇用開発助成金」が使える可能性があります。 弊社Bricks&UKでは、事業者様が活用できる助成金の無料診断を随時行っております。 新規創業や事業所の新設をご検討の事業者様は、ぜひ一度お問い合わせください。

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四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

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