【社労士監修】小学校休業等対応助成金についてのまとめ

2021.05.27

小学校休業等対応助成金の対象者

小学生の子を持つ従業員が、新型コロナによる学校の一斉休校で仕事を休まざるを得なかった。会社は有給休暇として対応したため、経営への影響が避けられない・・・。このような経験を持つ事業主の方もいることでしょう。

個人の事情とはいえ、子どもは次の時代を担う大事な宝です。雇用を守り、子育て中の従業員が働きやすい環境を整えることも、事業主の重要な役割とされています。

このような状況を踏まえ、厚生労働省は「小学校休業等対応助成金」を用意して、企業をバックアップしています。

この記事では、令和3年4月以降に適用される「両立支援等助成金」も含め、小学校の休業などに際して企業が受け取れる助成金の条件や金額、申請方法を詳しく解説します。

小学校休業等対応助成金とは?

まず小学校休業等対応助成金とはなにか、制度の内容を確認しましょう。

小学校休業等対応助成金の概要

助成金対象となる小学校の休校イメージ

小学校休業等対応助成金とは、新型コロナウイルスの蔓延により小学校が休校となるなどして子どもの世話をする必要が生じた従業員に、特別の有給休暇を与えた事業主を助成する制度です。

たとえば次のようなケースが該当します。

  • 新型コロナウイルスの影響により、学校や幼稚園・保育園が休みとなった
  • 子どもに新型ウイルス感染症や類似の症状があり、学校や園を休んだ

小学校休業等対応助成金は、従業員にではなく事業主に対して支給されます。

有給休暇を付与した従業員1人につき1日あたり15,000円を上限額として支給されます。ただし、一般的に「有給」と呼ばれる「年次有給休暇」は除きます。

従業員にとって、年次有給休暇の残日数や給料の削減を気にすることなく休むことができるのは大きなメリットです。事業主にとっても、休んだ従業員に支払う賃金を国が肩代わりしてくれるだけでなく、働きやすい職場環境を整えることで従業員のモチベーションが上がることも期待できます。

その休暇制度について社内規則に記載していない場合や、半日単位や時間単位での休暇も対象です。

また、「とりあえず年次有給休暇を取得してもらい、後で特別休暇に振り替えた上で助成金を受け取る」といった活用の仕方も可能で、利用しやすいところもこの助成金のメリットと言えるでしょう。

小学校休業等対応助成金の対象者(子どもおよび保護者の要件)

小学校休業等対応助成金の対象となる子どもイメージ

子どもの世話を理由に休む従業員が出たからといって、無条件でこの助成金の対象となるわけではありません。子どもと保護者それぞれについて、要件があります。

子どもの場合、次のどちらかにあてはまることが要件です。

  • 新型コロナウイルスに関する対応として、小学校等が休校・休園となった
  • 新型コロナウイルスの感染やそのおそれのある症状があり、小学校等を休む必要がある

小学校だけでなく、「小学校等」には次のような幅広い設定がされています。

  • 小学校、義務教育学校の前期課程
  • 特別支援学校
  • 放課後児童クラブ、放課後等デイサービス
  • 幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設
  • 家庭的保育事業等、子どもの一時的な預かりを行う事業、障害児の通所支援を行う施設など

義務教育学校の前期課程とは、小中一貫校などで小学校に相当する学年のことです。

一方、保護者の対象範囲は次のとおりです。いずれも、事業主に雇用されていることが条件で、自営業者やフリーランスは対象となりません。

  • 父母などの親権者
  • 子どもを実際に監護する者
  • 子どもの世話を一時的に補助する親族

「子どもを実際に監護するもの」は、具体的には祖父母や里親、未成年後見人などが当てはまります。ここで注目したいのは、保護者に親族も含まれている点です。

たとえば甥や姪を世話する場合も対象です。従って「子どもがいないのに助成金の対象者となる」ケースもあり得ます。

また、雇用の形態は問わないため、派遣社員や有期雇用、パートなどの非正規労働者も対象となります。

小学校休業等対応助成金の対象となる期間

助成金の支給対象となる期間のイメージ

小学校休業等対応助成金の対象となる期間は、令和2年2月27日から令和3年3月31日までの間です。期間内に取得した休暇について、申請期限までに到着した申請書が支給の対象です。

このうち「学校等の休校」が理由の場合、期間内でも次のような日は支給の対象から除かれます。

  • 学校等の場合は休校日
  • 放課後児童クラブなどの場合は、施設が利用できない日

休校日は、日曜や祝日、春・夏・冬休みなどです。授業が行われた日は支給の対象となります。

ただし新型コロナウイルスへの罹患や感染したおそれのある症状が理由の場合は、平日・土日祝日に関わらず、その子の世話のために休んだ日が対象です。

この助成金は令和3年3月31日までが対象ですが、令和3年4月1日以降は「両立支援等助成金」の「育児休業等支援コース」に新型コロナウイルス感染症対応特例の制度が設けられます。

小学校休業等対応助成金の支給額

小学校休業等対応助成金の受給イメージ

助成金の支給額は以下の表のとおり、労働者に対してどの休暇を付与したかにより変わります。

付与した休暇の種類 1日当たりの助成金支給額 備考 1日当たりの助成金支給額 備考
年次有給休暇(労働基準法第39条に定める年次有給休暇) 0円 いわゆる「有給」と呼ばれる休暇は対象外。
ただし後日ほかの特別有給休暇に振り替え、支給対象とすることは可能
特別有給休暇で、賃金が1日あたり15,000円未満 労働者に支払った金額 年次有給休暇は除く
特別有給休暇で、賃金が1日あたり15,000円以上 15,000円 年次有給休暇は除く
無給の休暇 0円 無給は支給対象外

月給制の場合も賃金を日額に換算し、「日額×特別有給休暇の取得日数」で計算します。半日休暇を取得した場合には0.5日分として計算します。

特別有給休暇で労働者に支払う賃金は、年次有給休暇を取得した場合と同額でなければなりません。

たとえば年次有給休暇を取得した場合の賃金が1日当たり20,000円の人に対し助成金が15,000円だからと15,000円しか支払わないと、助成の対象外となってしまいます。

助成金申請の流れを確認しよう

ここからは助成金をどう申請すればよいか、申請の流れを解説します。必要な書類や記入のポイント、期限や提出方法を確認していきましょう。

申請に必要な書類

助成金申請に必要な書類のチェックリストイメージ

助成金の申請には、下表の書類すべてが必要です。まずは必要書類を把握し、1つずつ揃えていってください。「様式〇号」とあるものには、所定の書式が用意されています。

書類名 備考
支給申請書(様式第1号①) コピー不可
支給申請書(様式第1号②) 対象労働者全員分の記入が必要、コピー不可
有給休暇取得確認書(様式第2号) 対象労働者ごとに作成が必要、コピー不可
休暇取得がわかる出勤簿、タイムカード、休暇簿等の写し 対象労働者全員分が必要
有給休暇を取得した月の賃金台帳や給与明細の写し 対象労働者全員分が必要
所定労働日・時間、通常の賃金額が確認できる書類 雇用契約書、労働条件通知書、勤務シフト表、就業規則(就業時間・休日規則)などの写し。対象労働者全員分が必要
事業主の口座名義、口座番号銀行名(支店名)がわかる書類 通帳(見開き1ページ目)、キャッシュカードの写しなど。
労災保険に加入していることの証明書類
※雇用保険適用事業主は不要
労働保険関係成立届の事業主控、概算保険料申告書など。事業主ごとに必要
小学校等からの臨時休業等の通知文書 小学校の休業による場合に必要。ない場合は上記の有給休暇取得確認書に期間を記入

支給申請書と有給休暇取得確認書は、「雇用保険被保険者分」と「雇用保険被保険者以外分」に分かれています。該当する人に雇用保険被保険者とそうでない人が両方いる場合、申請書は別々に作成する必要があります。

助成金受け取り用の口座については、セブン銀行、じぶん銀行、大和ネクスト銀行、GMOあおぞら銀行の指定はできません。

厚労省によると、書類の不足や添付漏れ、間違いが多くなっているとのこと。特に支給申請書の①か②がない、原本でない、有給休暇の取得日に関係のない賃金台帳しか添付されていないといった不備があるので気を付けましょう。

書類記入上の注意点

助成金申請書類記入上の注意ポイントイメージ

申請書類に記入間違いや記入漏れがあると審査に通らないこともあります。書類を記入する際には、次のような点に注意してください。

  • 「雇用保険被保険者分」と「雇用保険被保険者以外分」の書類を間違えない

書類の右上部分にどちらかの記載があります。必ずチェックしましょう。

  • 「主たる業種」の欄には、日本標準産業分類の中分類を調べて記入

日本標準産業分類|総務省

  • 有休の時間の合計が1日の所定労働時間に達した場合は、1日としてカウントする

これは時間単位の有給休暇や、時短勤務の場合などの場合に当てはまります。

たとえば所定労働時間が8時間の方が丸1日の休暇を2日間、4時間の休暇を3日間取得した場合には、「2日と12時間」ではなく「3日と4時間」と記入してください。

助成金申請の期限

助成金申請の締め切りイメージ

助成金には申請期限があります。この助成金では、令和3年1月1日から3月31日までに取得した休暇の場合、令和3年6月30日が申請の期限です。

当日消印有効ではなく、期限日までに書類が次の項で紹介する受付センターに到着している必要があります。

また、令和2年12月31日までに取得した休暇に関する申請期間はすでに過ぎていますが、次のいずれかに該当する場合は申請可能です。

  • 天災等、やむを得ない事情があると認められる場合
  • 事業主が労働者に働きかけられて申請する場合
  • 労働局からの助成金活用の働きかけを受けて、申請を行う場合

2つ目の労働者による働きかけは、労働者が労働局の特別相談窓口に相談した結果、助言を受けて自ら事業主に働きかけるような場合のことです。

提出方法

小学校休業等対応助成金の提出方法である郵送イメージ

必要書類をそろえたら、提出期限に間に合うように提出します。この助成金の申請書類の提出先は他の助成金と異なり、厚生労働省や都道府県の労働局ではありません。

申請書類は、下記宛先(受付センター)への送が原則です。なるべく該当者全員の申請書をまとめて送付してください。

〒137-8691 新東京郵便局 私書箱132号
学校等休業助成金・支援金受付センター

ただし、あわせて雇用調整助成金も申請する場合は最寄りの都道府県労働局でも受け付けてもらえます。

発送には、配達記録が残る方法を選ぶ必要があります。「特定記録郵便」や「レターパック」、「書留」などは記録が残ります。記録が残る方法であっても、いわゆる宅配便は使用できません。

令和3年4月以降は両立支援等助成金へ移行

助成金新制度への移行イメージ

ここまで解説した「小学校休業等対応助成金」は、令和3年3月31日までの休暇取得分が対象です。

令和3年4月1日以降に取得した休暇については、「両立支援等助成金・育児休業等支援コース」の「新型コロナウイルス感染症対応特例」で助成の対象となります。

支給される助成金の額は、1人あたり5万円です。ただし対象者は1事業主につき10名まで、支給額の上限は50万円です。事業所が複数ある場合は、全事業所の合計人数であることに注意してください。

この特例の適用を受けるためには、3つの条件があります。

1つめの条件は、賃金が全額支払われる「特別有給休暇」の制度の創設です。小学校等が臨時休業となった場合には、子どもの世話を行う必要のある労働者がその休暇を取得できることも条件に入っています。

2つめの条件は、次に挙げるいずれかの制度を社内に周知することです。

  • テレワーク勤務
  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤の制度
  • ベビーシッター補助制度

周知する方法の例として、電子メールや掲示、回覧などがあります。申請する際には周知したことがわかる情報を添付する必要がありますから、証拠を取っておきましょう。

3つめの条件は、助成金の対象となる労働者が、4時間以上の「特別有給休暇」を取得することです。短時間の特別有給休暇を複数日に分けて取得した場合は、通算して4時間以上になれば対象となり得ます。

申請先は、本社を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)です。休暇を取得した期間により、申請の締切日は下表のとおり異なります。

特別有給休暇の対象期間 申請締切日
令和3年4月1日~6月30日 令和3年8月31日
令和3年7月1日~9月30日 令和3年11月30日
令和3年10月1日~12月31日 令和4年2月28日
令和4年1月1日~3月31日 令和4年5月31日

対象期間ごとに締切日が設定されています。1日でも過ぎると申請できないので気を付けましょう。

助成金を上手に活用し、社員の雇用を守りましょう

助成金を使って雇用を守るイメージ

新型コロナウイルスは、さまざまな企業の経営に影響をもたらしています。

このような状況下、事業主には雇用を守りながらも支出をできるだけ絞る経営が求められます。

助成金は、休んだ社員の賃金を国が肩代わりすることで、金銭的な負担なく雇用を守ることができる制度です。

たとえば、子どもの小学校が休校になったことにより、時給1,013円(東京都2021年3月時点での最低賃金)で1日8時間労働の従業員10名を1週間休みにしたとします。

その場合、小学校休業等対応助成金では1日8,104円の賃金×10名×5日間で405,200円の支給が受けられます。日給2万円の社員10名なら1週間で75万円が受給できる見込みです。

また新型コロナウイルス感染症対策特例では、休業対象者が10名に達した場合に50万円が支給されます。

50万円という金額は、従業員1~2名の月給に相当する金額です。金銭面の助けだけでなく雇用の維持も図れ、自社にとって大きなメリットであることは間違いありません。

小学校休業等対応助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

助成金の専門家である社労士のイメージ

小学校休業等対応助成金は事業主にとってありがたい制度ですが、申請にはさまざまな書類を用意しなければなりません。

内容に誤りがあると返却されてしまう場合があり、助成金の受給が遅れてしまいます。このため1回の申請で確実に受け付けてもらえるよう、工夫が必要です。

助成金を申請するなら、経験豊富な社会保険労務士への依頼がおすすめです。弊社Bricks&UKでは、助成金に詳しい社会保険労務士が多数在籍し、アドバイスをいたします。

書類作成の代行も依頼でき、煩雑な事務作業から解放されます。スムーズに申請し助成金を受け取るためにも、ぜひBricks&UKにご相談ください。

社労士からのコメント 長引くコロナ禍において、小学校休業等による従業員への影響はいつ出てもおかしくありません。 これまでは、国が主導で休暇を取得させた分の賃金を補償してきましたが、今後は企業が主体となって制度を整備していくことが求められます。 就業規則の作成・変更も随時お受けしています。 ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。

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四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

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