雇用調整助成金は令和4年9月まで延長決定!最新の助成内容を紹介

2021.12.21

2023.04.24

雇用調整助成金の延長内容

【重要】※令和5年4月追記

記載内容は執筆当時の内容です。「雇用調整助成金」のコロナによる特例措置は、令和5年3月31日をもって終了となりました。

令和5年4月現在の最新情報についてはこちらの記事で解説しています。

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により特例措置が行われている雇用調整助成金。再三の延長が行われる中、このたび令和4年9月までの延期が決まりました。

助成の要件や対象者、金額については6月までの内容で継続されます。

この記事では、令和4年9月までの特例措置について解説します。

最新の雇用調整助成金の助成率と助成額

雇調金の延長について解説する人

冒頭でも述べた通り9月までの延長が決まった雇用調整助成金。期間は延長となりましたが、助成の要件・内容は6月までと同じです。

現在の特例措置の内容(令和4年3月~9月)

判定基礎期間(賃金締切期間)の初日が令和4年3月から9月末までに含まれる場合の原則的な支給要件や助成内容は、次のとおりです。業況特例・地域特例については後の章で紹介します。

項目 特例の要件
対象事業主 新型コロナウイルス感染症の影響で事業の縮小を余儀なくされた事業主
かつ
労使間の協定に基づき休業等を実施、休業手当を支払った事業主
対象労働者 雇用保険被保険者
(被保険者でない人にも同内容の助成あり※)
生産指標要件 1カ月で前年同月の5%以上減少
助成率 【解雇等がない場合】
中小企業 10分の9
大企業  4分の3 
【解雇等があった場合】
中小企業 5分の4
大企業  3分の2
日額限度額  9,000円
支給限度日数 1年100日、3年150日
+対象期間中に受給した日数
短時間休業要件 一斉休業でない場合も対象となり得る
休業規模要件 中小企業 40分の1
大企業  30分の1
教育訓練加算額 中小企業 2,400円
大企業  1,800円
出向期間要件 1カ月以上1年以内

従来の制度では事前に雇用維持に関する計画届の提出が必要ですが、特例では計画届の提出が不要となっています。クーリングオフ(1年)や、対象従業員に必要だった6カ月の雇用保険加入期間の条件も撤廃されています。

表内の※印、雇用保険の被保険者でないパートなどの従業員に対しては、「緊急雇用安定助成金」が適用されます。


【重要(令和5年4月追記)】

緊急雇用安定助成金は、令和5年3月末をもって終了しました。

令和5年3月31日を含む判定基礎期間の申請期限は、令和5年5月31日(書類必着)です。賃金の締め日や休業終了日にかかわらず、令和5年3月31日までが判定基礎期間の末日と見なされます。

令和4年3月~9月分の助成率と助成額

最新の助成率と助成額

あらためて、業況特例や地域特例が適用されない原則的なケースの助成率・助成金額を見ておきましょう。令和4年1月・2月の時点からは上限額が引き下げとなっていますが、6月末までの分からは変更されていません。

企業規模 項目 令和4年1月・2月 令和4年3月~9月
中小企業 助成率 5分の4
(解雇等なしは10分の9)
同左
限度額 11,000円 9,000円
大企業 助成率 3分の2
(解雇等なしは4分の3)
同左
限度額 11,000円 9,000円

上記の原則的な助成に上乗せして、業績の状況による特例(業況特例)と事業所の所在する地域による特例(地域特例)もあります。

業況特例・地域特例に該当する場合

業況特例とは、売上などの生産指標が特に減少した事業主に対して適用される特例です。
地域特例は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象となっている地域で、休業や時短営業などの協力をした事業主に適用となります。

業況特例の対象となる事業主の要件

業況特例の申請ができるのは、次のAとBの売上高など生産指標となるものを比較して、Aの方が30%以上減少している場合に限ります。

  • A:判定基礎期間の初日の月以前3カ月間の生産指標
  • B:前年同期、前々年同期または3年前同期の生産指標

判定基礎期間(賃金締切期間)の初日が令和4年4月1日以降となる場合については、業況特例の申請を行うたびに生産指標についての資料の提出が必要です。

地域特例・業況特例の助成率と助成金額

地域特例と業況特例については、助成率・支給限度額ともに令和4年1月から変更はありません。

企業規模 項目 令和4年1月・2月 令和4年3月~9月
中小企業・大企業とも 助成率 5分の4
(解雇等なしは10分の10)
限度額 15,000円

助成金の対象期間と申請可能期間

雇用調整助成金の申請期間

新型コロナウイルスによる特例の延長によって、助成金の対象期間と申請可能期間はどうなるのかも見ておきましょう。

助成金支給の対象期間も延長となる

新型コロナウイルス関連でない従来の雇用調整助成金では、1年を対象期間としています。しかし、新型コロナウイルスの影響によるこの特例では、特例措置の期間内は1年を超えても引き続き受給が可能となっています。

今回、令和4年9月30日まで期間が延長されました。そのため、令和3年9月30日までの間に休業や出向といった雇用調整を始める場合には、令和4年9月30日までは1年を超えた分についても受給ができます。

支給申請の期限は2カ月で変更なし

対象期間は延長になっても、申請可能な期間は変更ありません。

支給申請は、休業開始後の判定基礎期間(賃金締切期間)ごとに行います。申請の期限は、判定基礎期間の最後の日の翌日から2カ月以内です。

たとえば賃金締切日が毎月20日の場合、6/21~7/20分の休業についての申請期限は9月20日まで。期限を1日でも過ぎれば受給はできません。

ただ、連続する判定基礎期間を3期分までまとめ、あわせて1つの期間として申請することはできます。また、期限を過ぎてしまった場合でも、理由書を提出すれば支給対象となる可能性もあります。理由は新型コロナウイルスの影響によるものに限ります。

雇用調整助成金を申請する際の注意点

雇用調整助成金申請の注意点を解説する人

長引くコロナ禍で、雇用調整助成金は数多くの企業に活用されています。

しかし、申請すれば必ず受給できるというわけではありません。助成金の申請を正しくかつスムーズに行うため、次の点に注意してください。

不正受給への対応が厳しくなっています

助成金や補助金に関しては、昨今のニュースで多額の不正受給が報じられています。国による不正受給者への対応も厳しくなっているので、故意の不正受給はもちろんのこと、申請内容に誤りのないよう十分に気を付けてください。

不正受給については、従業員など身内からの情報提供も呼びかけられ、実際に内部からの情報で発覚したケースも多々あります。

不正受給が発覚すれば、社名の公表のほか、ペナルティ付きの助成金返還請求、5年間の助成金不支給といった措置が行われます。

予告なしの現地調査や警察との連携強化もされており、詐欺罪に問われることもあります。

申請書類は最新のものを準備

支給要件などが変更になった場合、申請に必要な書類やその記載内容にも変更となるものがあります。要件などが変更となれば、記載すべき事項も変わるからです。

決まった様式があるものは厚生労働省の公式サイトでダウンロードできるようになっています。申請する際は、常に最新のものをダウンロードするようにしてください。

休業等の期間が長い場合には特に、前回の申請で使ったのと同じ様式では申請できない可能性が高いです。場合によって、適切な様式での再提出か、内容を補足して再提出となってしまいます。

添付書類についても、追加で必要となるものがあったり、逆に不要になったものがあったりする可能性があります。自社の申請内容に則した書類を用意し、不備のないように申請しましょう。

申請期限に余裕を持って申請

提出書類に不備があった場合には、申請をし直すなどの必要があります。期限ギリギリに申請し、書類の再提出に間に合わない、ということのないよう気を付けましょう。

雇用調整助成金は、期間の終了後にまとめて申請するのではなく、1カ月単位の賃金締切期間判定基礎期間)ごとに申請しなくてはなりません。

特に、前述のように複数月の判定基礎期間をまとめて申請する(3期まで可能)場合には、期限切れとなるおそれもあるので十分に注意をしてください。

不正受給は失うものも大きい

雇用調整助成金は事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を救済し、雇用を維持するための助成金です。しかし、従業員数の水増しや休業の偽装によって不正に助成金を受給する、あるいはしようとするケースが多発し、問題となっています。

そういった不正は、立ち入り検査によって発覚する場合もあれば、従業員などによる告発で明るみとなる場合もあります。

不正受給の事実は、厚生労働省の公式サイトで公表されるほか、テレビや新聞などで報道されることもあります。手口や動機が悪質と見なされれば、刑事告発されてしまう可能性もあるのです。

そうなれば、不正に受け取った助成金の全額返還はもちろん、課徴金が科されるだけでなく、しばらくの間は他の助成金の申請もできなくなります。事業主本人や会社は社会からの信頼を失い、従業員からの信頼も失うでしょう。一時の利益のために安易な考えで事実と異なる申請をすることは、絶対に避けるべきです。

助成金申請は社労士への依頼が得策

助成金申請を依頼した社労士と事業主の握手

雇用調整助成金の特例措置は、令和4年9月まで延長されることが決まりました。

多くの企業が活用する制度ではありますが、申請には必要となる取り組みや提出書類が多く、申請スケジュールの管理等もしなくてはなりません。
申請手続きの負担をできるだけなくすには、助成金申請に詳しい社会保険労務士(社労士)に依頼するのが一番の方法です。

何より助成金の申請にかかる書類の作成や申請手続きの代行は社会保険労務士の独占業務であり、他の人物が請け負うことは禁止されています。

当サイトの運営会社である社会保険労務士事務所 Bricks&UKは、数多くの企業様の適正でスムーズな助成金受給のお手伝いをしております。申請に整備が必要な就業規則の無料診断なども行っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。

監修者からのコメント 長引く助成金の受給で申請に慣れてきたこともあり、また書類の使い回し等で事実と異なる申請をしてしまったという声も最近聞かれます。 制度は定期的に見直しされており、要件もその都度変わることから、前回と同じで良いとは限りません。 常に最新の情報をチェックして、間違いのないように申請をしなければなりません。 Bricks&UKでは、雇用調整助成金の申請サポートを行っております。 制度の改正内容等、お気軽にご相談ください。

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