【重要】※令和5年4月追記
本文記載内容は、執筆当時の内容です。
「雇用調整助成金」のコロナによる特例措置は、令和5年3月31日をもって終了となりました。
変更となった令和5年4月以降の支給要件等については、こちらの記事で解説しています。
雇用調整助成金は、長引く新型コロナウイルスの影響で休業や時短営業を強いられた数多くの企業や店舗に利用されています。
厚労省の統計を見ると申請の9割以上が通っているこの助成金ですが、申請時の必要書類が何かがわかりにくい、という声も聞かれます。この記事では、雇用調整助成金の申請に必要な書類やチェックリスト、申請方法について解説します。
目次
雇用調整助成金の申請に必要な書類
雇用調整助成金の申請には、さまざまな書類が必要です。雇用保険の被保険者の休業等を対象とした雇用調整助成金ともう1つ、雇用保険に加入していない人について申請できる緊急雇用安定助成金がありますが、申請書類の様式は異なるものの、必要な添付書類は同じです。
ただし申請主が小規模事業主(従業員がおおむね20人以下)かどうかで異なります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
この記事で紹介するのは、判定基礎期間に令和3年4月30日までの期間を一日でも含む場合に使用する様式です。
申請に必要な書類(小規模事業主の場合)
申請に必要な書類には、大きく分けて「申請書類(様式)」と「添付書類」があります。様式とは、決まったフォーマットに記入するものです。添付書類は、売上の低下や休業の実施など、申請に至った状況を確認するために必要です。
雇用調整助成金の必要書類
- ☐ 雇用調整助成金支給申請書(様式新特小第1号)(2)
- ☐ 休業等実績一覧表(様式新特小第2号)
- ☐ 支給要件確認申立書(様式新特小第3号)
支給申請書の様式は、緊急事態宣言等対応特例の対象となる場合は「様式新特小第1号」の(2)を使います。「様式新特小第1号」とは確認・記入事項が異なり、申請に合ったものを使用しないと追加申請等が必要となる可能性があるので注意が必要です。
緊急雇用安定助成金の必要書類
- □ 緊急雇用安定助成金支給申請書(様式新小第1号)(2)
- □ 休業等実績一覧表(様式新小第2号)
- □ 支給要件確認申立書(様式新小第3号)
こちらも、緊急事態宣言等対応特例に該当する場合は「様式新特小第1号(2)」を使います。
雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金は同時に申請できます。その際は緊急雇用安定助成金についての支給要件確認申立書を改めて提出する必要はありません。
申請様式の一式は、厚生労働省のウェブサイトでダウンロードできます(この記事の最後にリンクがあります)。
この中には「雇用調整助成金 助成額算定書」も含まれていますが、小規模事業主の場合は不要です。
添付書類(雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金共通)
- □ 休業等した月と比較対象となる月の売り上げなどがわかる書類(売上簿やレジの月次集計、収入簿など) ※初回のみ
休業等をした月と、前年同月の2カ月分(休業した月の前月などの比較も可)を提出します。
- □ 休業日や時間がわかる書類(タイムカードや出勤簿、労働契約書など)
- □ 支給した休業手当や賃金額がわかる書類(給与明細の控えや賃金台帳など)
- □ 役員名簿(生年月日が入っているもの)
役員名簿は、個人事業主など事業主本人以外に役員がいない場合は提出不要です。
- □ 振込先口座の通帳やキャッシュカードの写し
初回のみ、振込間違いを避けるために通帳の口座番号やフリガナがわかる箇所のコピー(キャッシュカードでも可)も用意してください。
状況によっては、このほかにも書類が必要となることがあります。
申請に必要な書類(小規模事業主以外の場合)
雇用調整助成金の必要書類
- □ 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式新特第4号)※初回のみ
- □ 支給要件確認申立・役員等一覧(様式新特第6号)(2)
- □ 休業実績一覧表(様式新特第9号)
- □ 助成額算定書(様式新特第8号)
- □ 支給申請書(様式新特第7号)
緊急事態宣言対応特例の対象となる場合は、上から2つめの「支給要件確認申立書・役員等一覧」の書類は「様式新特第6号」の(2)の様式を使用します。雇用維持要件についての記載方法が「様式新特第6号」とは異なるので注意してください。
緊急雇用安定助成金の必要書類
- □ 休業実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式新第1号(2)) ※初回のみ
- □ 支給要件確認申立書・役員等一覧(様式第3号(2))
- □ 休業実績一覧表(様式第2号(3))
- □ 助成額算定書(様式第2号(2))
- □ 支給申請書(様式新第2号(1))
緊急事態宣言等対応特例に該当する場合は、上から2つめの「支給要件確認申立書・役員等一覧」には(2)の様式を使う必要があります。
こちらも厚生労働省のウェブサイトで必要な書類一式をダウンロードできるようになっています。
雇用調整助成金の申請様式ダウンロードページ(新型コロナ特例用)|厚生労働省
また、これらの様式のほかに次のような添付書類が必要です。
添付書類(雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金共通)
- □ 休業等した月と比較対象となる月の売り上げなどがわかる書類(売上簿やレジの月次集計、収入簿など) ※初回のみ
- □ 休業協定書(失効した場合は改めて提出が必要)
- □ 事業所の規模を確認する書類(労働者名簿と役員名簿で可)※初回のみ
- □ 事業所の規模を確認する書類(労働者名簿と役員名簿で可)※初回のみ
- □ 休業手当・賃金の実績に関する書類(賃金台帳や給与明細の写しなど)
出勤簿やシフト表などは、助成金申請のために特別に作ったものでなく、通常時に使用しているもののコピーを提出します。
提出書類チェックリスト
雇用調整助成金の申請に必要な書類を揃えるのに役立ててほしいと、自治体の労働局で独自のチェックリスト(チェックシート)を作成しているところもあります。
労働局によっては申請書類にチェックシートを添付するよう指示される場合もあるので、最終確認に管轄地域の労働局作成のチェックリストを確認することをおすすめします。
ここでは愛知県労働局の「雇用調整助成金支給申請書(小規模事業主向け) 提出書類チェックシート」を例にとって内容を解説していきます。
チェックシートは「支給申請書類」と「添付書類」の2項目に分かれています。支給申請書類は名称が似ていても事業規模などによって使用する様式の番号が異なります。チェックする際は様式番号もしっかりと確認してください。
書類の作成・記入には厚生労働省のウェブサイトに掲載されている「雇用調整助成金支給申請マニュアル」を参考にしましょう。
こちらの記事でも解説しています。
添付書類には、初回の申請時にだけ必要なものもあります。2回目以降の申請であれば、売り上げを比較するための資料や振込先口座の内容が確認できる通帳やキャッシュカードの写しの提出を省略することができます。
書類の必要要件もチェックリストに記載されているので、書類の内容とよく照らし合わせましょう。
雇用調整助成金の申請方法について
雇用調整助成金の申請は、「判定基礎期間」の末日の翌日から起算して2カ月以内に行う必要があります。判定基礎期間とは賃金締切日から次の賃金締切日までの期間のことで、企業によって異なります。休業等がこの期間をまたぐ場合は、複数回の申請を行います。
また、令和2年4月1日から令和3年6月30日までの期間を1日でも含む場合は、特例措置として助成率と上限額の引き上げが行われています。
必要な書類を期間内に揃えたら、都道府県の労働局またはハローワークに支給申請を提出します。郵送で申請する場合は、配達記録や簡易書留など記録が残る方法を用い、申請期限までに到着するよう送付しなくてはなりません。
厚生労働省のサイトでは、オンライン受付システムを利用した申請も可能です。
雇用調整助成金の申請時の注意点
雇用調整助成金の申請には雇用契約書や就業規則、タイムカードや給与明細などの提出が必要です。これらの書類に不備があったり、内容に矛盾があったりした場合には、受給が認められないおそれがあります。
また、新型ウイルスによる緊急事態に伴って必要書類も簡素化されましたが、要件が変更されたことにより複雑化しており、常に最新の情報を確認して手続きを行わなくてはなりません。さらに支給申請の期限も守らなければ助成金の受給はできないのです。
その点をすべて解消できるのが、労務関係に強い社会保険労務士です。もちろん助成金の申請にも詳しく、必要書類はもちろん、要件を満たすのも期限を守るのも、社労士に任せておけば安心です。
助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ
雇用調整助成金の申請に必要な書類は、小規模事業主かどうか、対象の従業員が雇用保険の被保険者かどうかによって様式や添付書類が異なります。書類が足りなかったり記載内容に不備があったりすれば、審査には通りません。
雇用調整助成金の申請にはチェックリストなどを活用し、書類を確実に揃えましょう。「忙しくて手が回らない」という方はぜひ、専門家である社会保険労務士への依頼をおすすめします。
当社Bricks&UKでは、各種助成金の申請に関するご相談を受け付けております。雇用調整助成金の申請をお考えなら、ぜひお気軽にご相談ください。
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監修者からのコメント 申請のチェックリストは雇用調整助成金だけでなく、あらゆる助成金に用意されています。 申請の際には活用していただくことをおすすめします。 注意点としては、助成金の申請内容の変更に応じてチェックリストも変わりますので、同じチェックリストを使い続けていると、古い内容で書類を準備することになります。 常に最新版をチェックするようにしましょう。