【雇用調整助成金】最新の要件をチェック!

2021.03.26

2023.04.24

最新の雇用調整助成金制度解説

【重要】※令和5年4月追記

本文記載内容は、執筆当時の内容です。
「雇用調整助成金」のコロナによる特例措置は、令和5年3月31日をもって終了となりました。


変更となった令和5年4月以降の支給要件等については、こちらの記事で解説しています。


新型コロナウイルスによる経済状況の悪化で休業や従業員の解雇を余儀なくされる事業主が多い中、政府は事業主の経済的負担を減らし、雇用を守るべく各種の助成金制度を整え、状況に応じて拡充などを行っています。

しかし本業にも専念できないような状況で、助成金制度の情報に追い付いていくのは簡単ではありません。

そこでこの記事では、従業員の雇用維持のための助成金である「雇用調整助成金」の支給要件を中心に解説します。

特例措置、特例措置期間の延長のほか、雇用調整助成金の定義についても解説するのでぜひご確認ください。

雇用調整助成金とは?

雇用調整をする雇い主イメージ

雇用調整助成金とは、経済上の理由でやむを得ず事業を縮小したり、従業員の解雇を考えなくてはならない状況に陥った事業主を救済する目的で作られた助成金です。雇用を維持するため従業員に休業や教育訓練、出向などをさせた場合に、休業手当や賃金の一部が助成されます。

新型コロナウイルスによる経済的困窮であれば、特例措置(コロナ特例措置)が対象となります。コロナ特例措置は、緊急事態宣言の延長などに合わせて、支給期限の延長や要件の緩和、助成額の引き上げや助成率の拡充などが随時行われています。

いずれにしても、雇用調整助成金の目的は、助成金の活用によって1人でも多くの労働者の雇用を維持することです。支給要件さえ満たしていれば受給できる確率が高く、借入金などとは異なり返済も不要なので、ぜひ積極的に活用してください。

【最新】雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金の最新情報

新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言の延長などに伴い、雇用調整助成金のコロナ特例措置においても要件の緩和などさまざまな変更がなされています。

最新の要件がどうなっているのかを、改めて確認しておきましょう。

助成率の拡充、上限額の引き上げ

雇用調整助成金の助成額引き上げ

雇用調整助成金の助成率は通常時と比べて高くなっており、1日あたりの上限額も引き上げられています。

要件項目 原則(コロナ特例措置以外) コロナ特例措置
助成率 企業規模 解雇等あり 解雇等なし
大企業 2分の1 3分の2(5分の4) 4分の3(10分の10)
中小企業 3分の2 5分の4 10分の10
日額上限額 8,370円 15,000円

表のカッコ内は、大企業のうち緊急事態宣言対象区域の時短営業などに協力する飲食店等、および生産指標(売上等)が大幅に減少した企業に適用されるものです。

生産指標(売上等)の比較要件の緩和

要件の緩和イメージ

助成金支給の要件となる販売量や売上高など生産指標の低下についても、コロナ特例措置では比較する期間やパーセンテージの基準が緩められています。

要件項目 原則(コロナ特例措置以外) コロナ特例措置
生産指標 3カ月10%以上減少 1カ月5%以上減少

助成の対象となる「事業活動の縮小」とは、直近1カ月間の売上高や生産量などが前年同月比で5%以上減少していることをいいます。

なお、比較対象月は、前年同月が適当でない場合には2年前同月、あるいは前年同月~休業月前月までの期間の適当な1カ月にするなど、柔軟な取扱いがされています。

支給限度日数の緩和

雇用調整助成金の支給計算

雇用調整助成金の支給限度日数についても、コロナ特例措置は通常時に比べて長く設定されています。緊急対応期間中に実施した休業等は、支給限度日数とは別に助成を受けられます。

要件項目 原則(コロナ特例措置以外) コロナ特例措置
支給限度日数 1年間 100日分 1年間 100日分+緊急対応期間中の休業日数分
3年間 150日分 3年間 150日分+緊急対応期間中の休業日数分

計画届が不要

雇用調整助成金の申請手続きには、原則として計画届の事前提出が必要です。しかし、緊急対応期間中の特例として計画届の提出が不要となっています。

雇用保険未加入者も対象

緊急雇用安定助成金の対象となる学生アルバイト

学生アルバイトなど雇用保険の未加入者に対する休業等も、助成金の対象となります。ただしこの場合は、雇用調整助成金ではなく緊急雇用安定助成金によって助成されます。助成内容や申請手続きなどは、雇用調整助成金と同じです。

短時間休業の要件緩和

短時間休業の要件緩和イメージ

雇用調整助成金のコロナ特例措置では、短時間休業に関しても要件が緩和されています。

従来は事業所のすべての労働者が一斉に休業した場合のみが対象でした。しかし特例措置では、所定労働時間内の部署や部門、職種、役職や勤務体制・シフト別に実施される1時間以上の休業なども支給対象となります。

休業規模要件の緩和

雇用調整助成金の対象となる休業イメージ

雇用調整助成金のコロナ特例措置では、休業規模要件も下表のように緩和されています。休業規模要件とは、判定基礎期間(賃金締め切り期間)における休業の延べ日数の割合です。

要件項目 原則(コロナ特例措置以外) コロナ特例措置
大企業 15分の1 30分の1
中小企業 20分の1 40分の1

休業の延べ日数は、所定労働延べ日数(申請期間の所定労働日数に、対象となる従業員の人数をかけた日数)に対して、休業した延べ日数がどれだけあるかで計算します。

残業相殺の停止

残業と休業との相殺禁止イメージ

通常時の雇用調整助成金では、労働者を休業等させる一方で残業や休日出勤をさせた場合、助成対象となる休業の延べ日数の算定に際し残業や休日出勤の時間分を控除(休業と残業を相殺)することが認められていました。

しかしコロナ特例措置においては、残業相殺も停止しています。

教育訓練助成率の拡充、加算額の引き上げ

助成率の引き上げイメージ
要件項目 原則(コロナ特例措置以外) コロナ特例措置
助成率 企業規模 解雇等あり 解雇等なし
大企業 2分の1 3分の2(5分の4) 4分の3(10分の10)
中小企業 3分の2 5分の4 10分の10
教育訓練加算額 1,200円 大企業 中小企業
1,800円 2,400円

表のカッコ内は、大企業のうち緊急事態宣言対象区域の時短営業などに協力する飲食店等および生産指標が大幅に減少した場合に適用される割合です。

出向期間要件の拡充

出向イメージ

出向に関しては、助成の対象となる出向期間が変更されています。原則3カ月以上1年以内だったものが、コロナ特例措置では1カ月以上1年以内です。

受給期間の延長

助成金受給期間延長のイメージ

雇用調整助成金は通常、1年の期間(対象期間)内に行った休業等についてのみ受給できるものです。しかし、コロナ特例措置の延長に伴い、1年を超えて受給できるようになっています。

営業時間短縮等に協力する飲食店等への助成率の引き上げ

時短営業の商店街

緊急事態宣言対象地域において、都道府県知事の要請などを受けて時短営業等に協力する飲食店等に対しては、企業規模を問わず、助成率が最大10分の10に引き上げられました。

ただし助成率が10分の10となるのは、従業員の解雇等を行わなかった場合のみです。対象となる休業等の期間は地域によって異なります。

生産指標(売上等)が大幅に減少した企業への助成率の引き上げ

助成率引き上げ対象となる大企業イメージ

特に業況が厳しい大企業の事業主に対しても、緊急事態宣言に伴い助成率が引き上げられました。

対象となる事業主は、生産指標(売上等)が前年または前々年同期と比べ、月平均値で30%以上減少した大企業の事業主です。

比較対象となるのは、直近3カ月(休業の初日が令和3年2月1日以降にある場合は、休業の初日が含まれる月からさかのぼって3カ月間)の生産指標です。

対象となる休業とは、令和3年1月8日から12月末までを1日でも含む判定基礎期間の休業等(短時間休業を含む)です。これまで対象の大企業の助成率は最大で4分の3でしたが、10分の10(解雇等を行わなかった場合)に引き上げられました。

特例措置期間はいつまで延長される?

コロナ特例措置の期間イメージ

雇用調整助成金の特例措置については、現状において令和3年12月末までを緊急対応期間中として延長されています(令和3年10月21日現在)。

また、特例措置については、現状の雇用情勢が大きく悪化しない限り、令和3年5月から段階的に縮減するとともに、感染拡大地域や特に業況が厳しい企業については、さらなる特例を設けています。

雇用調整助成金の申請なら社会保険労務士を活用

雇用調整助成金制度に詳しい女性専門家

雇用調整助成金の申請に際しては、気を付けておきたい点がいくつかあります。手続きに時間や手間をかけられない場合は専門家に依頼するのが効率的な手段なので、ここでは助成金の専門家である社会保険労務士を活用するメリットについてもご紹介します。

雇用調整助成金の申請時の注意点

雇用調整助成金の申請に際しては、主に3つの注意点があります。

常に最新情報をチェック!

1つめは、この記事でお伝えしたようなコロナ特例措置の変更や追加などは今後も行われることが予想されるため、常に最新の情報をキャッチしておく必要があるということです。

助成金制度は画一でない

2つめは、雇用調整助成金の制度は対象者などによって種類が異なり、画一的ではないことです。それぞれの助成金の対象や要件を把握し、自社の取り組みは助成金の支給対象となるのか、なるとしたらどの助成金コースなのかを知るところから始めなくてはいけません。

申請準備は正確かつ適切に

正確で適切な申告への準備イメージ

3つめは、自社が支給要件を満たすことを示す必要書類の準備や、書類への正しい記載も必要であることです。虚偽記載が疑われれば、不正受給として罰せられることになりかねません。事業名公表などの処分だけでなく、社会的信用を失うという大きなリスクがあります。

社会保険労務士を活用するメリット

社労士利用のメリットである信頼性ノイメージ

経済的に困窮した状況で事業経営を行いながら、上記のような注意点を踏まえた助成金申請の手続きを行うのは、時間的にも作業的にも難しいという方も多いでしょう。

その点、信頼できる社会保険労務士がいれば、自社に適用される助成金についてのアドバイスはもちろん、申請手続きもスムーズに行うことが可能です。

もちろん常に最新の情報を入手しているため、自社で情報確認に手を煩わせる必要もありません。

雇用調整助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

助成金に詳しい社会保険労務士

最新の雇用調整助成金の支給要件や特例措置について、通常時と比較してお伝えしました。

雇用調整助成金は、経済的に困っている中小企業の事業主のための優れた制度ではありますが、あらゆる場面に対応しようとするために、制度の内容がやや複雑になってしまっています。

助成金の種類によっては、申請する前に労使協定を締結する、取り組みの計画を立てるといった手続きが必要なものもあります。

支給要件の確認や煩雑な書類の準備といったストレスなく雇用調整助成金の申請手続をするなら、ぜひ経験豊富な社会保険労務士にご相談ください。

監修者からのコメント 全国で緊急事態宣言が解除されたことを受け、令和3年5月からは段階的に特例措置が縮小される見込みです。 支給額、要件の変更が予定されていることから、支給申請の際は注意する必要があります。 最新の雇用調整助成金については、Bricks&UKまでお気軽にお問い合わせください。

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