派遣社員の休業と雇用調整助成金について

2021.07.21

2023.04.24

派遣社員と雇用調整助成金

新型コロナウイルスの影響で、派遣スタッフを休ませざるを得ない派遣会社も増えています。こんなときにぜひ活用したいのが、休業手当の助成が受けられる雇用調整助成金です。

この場合、雇用調整助成金の申請の手続きを行うのは派遣先ではなく、派遣社員を「雇用」している派遣会社です。この記事では、派遣会社が雇用調整助成金を申請する際のポイントなどについて紹介します。

雇用調整助成金は派遣社員も対象

雇用調整助成金は派遣社員も対象

雇用調整助成金は、自然災害や不況などで従業員を休ませた会社に対し、休業手当や賃金の一部を助成する制度です。これまで「書類が多い」「申請が大変」などの声も聞かれ、ハードルが高いといわれていましたが、コロナ禍において手続きは楽になっています。

助成金が支給されるのは、派遣先の都合による休業で派遣会社が派遣スタッフに休業手当を支給した場合です。派遣社員は有期雇用・無期雇用を問わず対象です。勤務時間が週20時間未満など雇用保険に加入していない人は、「緊急雇用安定助成金」の支給対象となります。

派遣会社は、新型コロナウイルスの影響で派遣先から契約解除を言い渡された場合でも、簡単に解雇することなく、休業などの措置を講じて休業手当を支払う必要があります。

派遣先の都合で派遣社員の就業機会を確保できないなど不測の事態に陥ったときは、雇用調整助成金を上手に活用してピンチを乗り切りましょう。

派遣社員の休業手当の計算方法

派遣社員の休業手当の計算方法

休業手当は、原則として休業開始日以前3カ月間に支払った賃金の総額を総暦日数で割った額となります。

給与形態が日給などの場合には、最低保障額を計算したうえで、いずれか高い方を平均賃金として算出します。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

派遣先の手当等の負担と雇用調整助成金の関係

派遣会社と雇調金の関係性についての疑問

休業手当は、派遣の場合は「派遣会社が派遣社員を休業させたときに支払う」ものです。労働基準法第26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業については、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならない」とされています。

新型コロナウイルスの影響などで派遣先が自主休業した場合、派遣先企業が派遣社員に休業手当を支払う義務はありません。しかし派遣会社としては休業中の派遣費用の支払について派遣先と交渉する必要があるでしょう。

派遣先からの補償の有無にかかわらず、派遣社員に休業手当を支払った場合には派遣会社が雇用調整助成金を申請することができます。

もし派遣先から休業でなく派遣契約の途中解除がなされた場合には、損害賠償などの請求について、契約書に記載された通りに行うことができます。緊急事態宣言による休業であっても、派遣先が自らの都合で労働者派遣契約を途中解除する場合、休業手当の費用負担などの義務が一律に消えるわけではありません。

派遣先からの補償と助成金、両方を受け取れるのか

補償金と助成金

ちなみに、派遣先から休業手当相当額を補償されているケースでも、派遣会社は雇用調整助成金を受給することができます。これに対して「二重の受給になるのではないか」と危惧する見方もありますが、厚生労働省は次のように回答しています。

「派遣元が派遣先に休業手当相当額の損害賠償を請求したか否かが派遣元事業主に対する助成金の支給の有無に影響を及ぼすことはないので、そのような場合でも派遣元事業主は助成対象となり得ます」

つまり、派遣先から派遣元に補償となるお金が支払われたとしても、派遣会社は助成金の支給対象外になるわけではない、ということです。

雇用維持のため、積極的に雇用調整助成金を活用しよう

では、雇用調整助成金の受給に関して、申請することのメリットや、申請の際に留意すべき点を解説します。

派遣会社が雇用調整助成金を申請するメリット

派遣会社の雇調金申請メリット

コロナ禍の影響で事業活動が縮小している状況でも、派遣社員を解雇せずに休業や教育訓練という手段で雇用を維持すれば、社内外の信頼度は高まります。また派遣社員が教育訓練を受けることで知識や技術もアップするため、派遣先にとっても大きなプラスとなります。

助成金は返済が不要であることも、派遣会社にとって大きなメリットです。「人は城、人は石垣」という名将・武田信玄の言葉があるように、派遣社員の雇用維持に取り組めば、働く人たちの勤労意欲も向上して会社のパワーは高まります。雇用調整助成金を上手に活用して会社の中長期的な発展につなげましょう。

派遣会社が雇用調整助成金を申請する際のポイント

派遣会社の雇調金申請ポイント

派遣会社が雇用調整助成金を申請する際には、それぞれの事業所(支店・営業所単位)で、次のような要件を満たす必要があります。

  • ①経済上の理由により事業が縮小している
  • ②売上などが下がっている
  • ③休業などの延べ日数が派遣会社の所定労働延べ日数の40分の1以上である

さまざまな業種にスタッフを派遣している派遣会社では、事業所ごとに売り上げがアップしているところもあるため、雇用調整助成金の申請要件を満たさないケースもあります。

また派遣先と就業条件について交わした個別契約書や就業規則、給与明細、タイムカードなどに不備や間違い、申請期限切れなどで審査をクリアできないケースもあります。

最近では助成金の制度を不正に利用するケースも増えているため、行政側のチェックも厳しくなっています。雇用調整助成金の間違いない申請・受給には、専門家への相談をおすすめします。

助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

社会保険労務士法人イメージ

コロナ禍において、派遣社員の休業を余儀なくされた場合、派遣会社が活用できる雇用調整助成金。休業手当の一部が助成される雇用調整助成金の利用は、派遣社員の雇用を守り、自社の信頼や今後の発展につなげる効果的な方法です。

しかし雇用調整金の申請を自社で行う場合、時間や手間がかかるのも事実。また、そのルールを正しく理解して対応することが重要です。そうした時に頼っていただきたいのが労務のスペシャリスト、社会保険労務士です。

当社Bricks&UKでは、豊富な知識と経験を持つ社労士が、貴社に最適な助成金の受給を全面サポートいたします。わずらわしい書類作成から提出まで、申請業務をスピーディーに確実に行います。無料相談を受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修者からのコメント 新型コロナウイルス感染症による雇用調整は業界を問わず行われています。 派遣会社も派遣先によっては大きな影響を受けているところもあるかと思います。 弊社においても、派遣会社のお客様の申請代行を多数サポートさせていただいておりますので、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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