人材確保等支援助成金とは、人事評価制度の見直しやテレワークの実施などによる魅力的な職場づくりを行い、人材の確保や流出防止に努めた事業主や、それを支援した事業団体を対象とする助成金です。
人材の確保や流出の防止は、多くの企業にとって大きな課題ですが、取り組むには支出も伴います。人材確保等支援助成金には複数のコースがあるので、取り組みに合うものがあればぜひ活用しましょう。
この記事では、令和6年度現在で9つある人材確保等支援助成金の各コースについて、支給の要件や支給額申請の流れなどを解説します。
目次
人材確保等支援助成金とは
人材確保等支援助成金は、職場環境などの改善により業務効率化や離職率の低下を図った事業主を対象とする助成金です。
助成対象となる取り組みを行い、離職率の低下や賃金引き上げなどを実現させることが必要です。取り組みとは、コースごとの目的達成に必要な機器や制度の導入、施設の整備などを指します。
助成内容はコースによって異なり、取り組みに対し一律の金額が支給されるものと、支払った経費の一部が助成されるものがあります。
人材確保等支援助成金のコース一覧
人材確保等支援助成金には、次の9つのコースがあります。
ただし令和4年4月以降、「雇用管理制度助成コース」は新規受付が中止されています。
- 雇用管理制度助成コース(受付中止中)
- 中小企業団体助成コース
- 人事評価改善等助成コース
- 建設キャリアアップシステム等普及促進コース
- 若年層および女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
- 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
- 外国人労働者就労環境整備助成コース
- テレワークコース
- 派遣元特例コース
以前にあった「介護福祉機器助成コース」や「働き方改革支援コース」などは廃止されています。また、売上高など生産性要件を満たした場合の助成の割増も、令和5年3月末で廃止されました。
コース共通の申請の流れ
人材確保等支援助成金は、コースによって支給要件や助成内容が異なるものの、支給申請までの大まかな流れは共通しています。
- 1)取り組む事業の計画を立てる
- 2)計画を労働局に提出し、認定を受ける
- 3)計画にもとづき、事業を実施する
- 4)事業の終了後、労働局に支給申請を行う
まずは、支給対象となる事業についての計画を立てなくてはなりません。期間や対象者、目標を定めた計画書を労働局に提出し、認定を受けてから取り組みを実施します。
取り組みが終了し、離職率の低下や賃金引き下げなどの目標を達成できたら、支給申請を行います。コースによっては、二段階の助成があり、その都度申請を行うものもあります。
次の章から、コース別に支給対象や助成内容を見ていきましょう。
雇用管理制度助成コース
※このコースは令和4年4月以降、新規受付を休止中です。
雇用管理制度助成コースは、雇用管理制度を新たに導入し、従業員の離職率を低下させた事業主に支給される助成金です。支給金額は57万円で、生産性の向上による要件を満たせば72万円に増額されます。
雇用管理制度助成コースの主な支給要件
このコースの主な要件は次の2つです。
- 雇用管理制度を新たに導入・実施すること
- 離職率の低下目標を達成すること
順に見ていきましょう。
1)雇用管理制度整備の導入・実施
雇用管理に関する新たな制度を、就業規則などを改正して導入します。対象となるのは、次の5種類のいずれかに当てはまる制度です。ただし、(ホ)短時間正社員制度は保育事業主のみが対象です。
- (イ)諸手当等制度(資格手当、退職金制度など)
- (ロ)研修制度(新入社員研修、管理職研修など)
- (ハ)健康づくり制度(胃がん健診、乳がん検診など)
- (ニ)メンター制度(内部/外部メンターによる)
- (ホ)短時間正社員制度 ※保育事業主のみ
当初の計画で決めた雇用管理制度整備計画期間内に制度を導入します。期間は、雇用管理制度を導入する月の初日から数えて3カ月以上1年以内です。
新たに制度を定めた就業規則や労働協約の施行年月日が、制度の導入日です。施行年月日を定めていない場合は、労働協約の締結日あるいは就業規則の届出日が導入日となります。
導入した制度は、離職率が低下しているかどうかを算定する「評価時離職率算定期間」(計画期間の終了翌日から1年間)の末日まで続けて運用していなくてはなりません。
2)離職率の低下目標を達成させる
助成金を受けるには、計画期間の終了翌日から1年間の離職率(評価時離職率)を、計画提出前1年間の離職率(計画時離職率)より低下させることが必要です。
低下させる割合については、雇用保険の加入人数によって目標が次のように決められています。
雇用保険被保険者数 | 低下させる離職率 (目標値) |
---|---|
1~9人 | 15% |
10~29人 | 10% |
30~99人 | 7% |
100~299人 | 5% |
300人以上 | 3% |
また、評価時離職率は「30%以下」になっていなくてはなりません。
雇用管理制度助成コースの支給金額
雇用管理制度助成コースの助成金は、離職率の目標を達成したことに対する「目標達成助成」として支給されます。また、生産性要件を満たした場合には増額されます。
助成の種類 | 支給金額 |
---|---|
目標達成助成 | 57万円 |
生産性要件を満たした場合 | 72万円 |
離職率の目標は最低限のものなので、目標より大きく低下させても支給金額は同じです。また、複数の雇用管理制度区分を導入・実施した場合でも、金額は変わりません。
生産性要件を満たすには、直近の会計年度の生産性が、3年度前に比べて6%以上(金融機関等から一定の事業性評価があれば1%以上)伸びている必要があります。
生産性は、付加価値(営業利益や人権費、減価償却費や不動産賃貸料など)を雇用保険被保険者数で割って計算します。
中小企業団体助成コース
このコースの助成対象は、個々の企業単位ではなく、中小企業者を構成員とする事業協同組合などの事業主団体です。
組合員である事業主の人材確保や従業員の職場定着率を上げる事業を行った場合に、事業費用の3分の2が支給されます。
中小企業団体助成コースの主な支給要件
このコースでは、2段階で計画を立て、中小企業の労働環境を向上させる取り組みを行う必要があります。主な支給要件は次の3つです。
- 1)雇用管理の改善計画を立てること
- 2)「中小企業労働環境向上事業」の実施計画を立てること
- 3)計画に沿って「中小企業労働環境向上事業」を実施すること
順に見ていきましょう。
1)雇用管理の改善計画の作成
まずは、雇用管理の改善計画を立て、都道府県知事による認定を受けます。改善計画の内容は、次の基本指針7項目のうち、実情に照らして必要な項目を選びます。計画の実施期間の目安は5年以内です。
- ①労働時間等の設定の改善
- ②男女の雇用機会均等の確保と職業生活と家庭生活との両立支援
- ③職場環境の改善
- ④福利厚生の充実
- ⑤募集・採用の改善
- ⑥教育訓練の充実
- ⑦その他の雇用管理の改善(高度人材の配置、高年齢者や障害者の活用など)
ただし、上記⑤の「募集・採用の改善」のみを実施対象とすることはできません。また、事業主の3分の1以上が⑤以外のいずれかに取り組む必要があります。
計画を作成したら、管轄の都道府県知事に提出、認定を受けます。
2)「中小企業労働環境向上事業」の実施計画・認定
次に、「中小企業労働環境向上事業実施計画書」を作成し、労働局による認定を受けます。上記1の雇用管理改善計画の認定を受けた後、事業実施計画期間の開始予定日1カ月前までに提出しなくてはなりません。
計画する中小企業労働環境向上事業とは、傘下の中小企業に対して行う次の4つの事業を指します。①と④は必ず実施、②と③はどちらかを実施する必要があります。
- ①計画策定・調査事業(検討委員会の開催、結果の分析など)
- ②安定的雇用確保事業(上記基本指針7ついずれか)
- ③職場定着事業(6カ月以上の職業相談の実施など)
- ④モデル事業普及活動事業(結果の把握やノウハウの活用)
具体的には、雇用管理改善の好事例集の作成や啓発セミナー・相談会の開催、団体PRのための新聞広告の掲載やイベントの実施、合同説明会や学校訪問、従業員のモラル向上のための表彰制度や技能コンクールの開催などが対象です。
3)計画に沿って「中小企業労働環境向上事業」を実施
計画時に、事業を企画・立案する「労働環境向上検討委員会」と、実施のリーダー的存在となる「労働環境向上推進員」を選びます。その推進員を中心に、事業を進めます。
中小企業団体助成コースの支給金額
中小企業団体助成コースでは、事業の実施にかかった費用の3分の2が助成されます。金額は次の(A)と(B)それぞれの3分の2の額を足して計算します。
- (A)…中小企業労働環境向上事業にかかった費用
- (B)…労働環境向上推進員の設置費用と(A)のいずれか低い額
助成額={(A)×3分の2}+{(B)×3分の2} |
「労働環境向上推進員の設置にかかった費用」とは、組合の役員などの場合は基本給や賞与、外部に委託した場合は報酬などを指します。
ただし、「(B)×3分の2」の額は400万円が限度です。また、全体の支給金額にも、組合の規模に応じて600万円~1000万円の上限があります。
また、経費いずれも、事業実施期間内に支払いが完了している必要があります。カード払いで翌月引き落としなど、未払いの経費は対象となりません。
人事評価改善等助成コース
このコースは、令和5年度は新規受付が中止されていましたが、令和6年4月から受付が再開されました。
人事評価制度を整備し、定期昇給以外の賃金制度を設け、それにより従業員の賃金アップと離職率の低下目標のいずれも達成した場合に支給対象となります。支給金額は80万円です。
人事評価改善等助成コースの主な支給要件
このコースの主な要件は、次の3つです。
- 1)人事評価制度などの整備計画を立てること
- 2)人事評価制度などを導入・改正すること
- 3)すべての対象者に制度を実施すること
- 4)賃金アップと離職率低下を達成させること
それぞれ見ていきましょう。
1)人事評価制度等整備計画の作成・提出
まずは人事評価制度等整備計画を作成し、本社の所在地を管轄する労働局に提出して認定を受けます。
計画の提出期限は、整備する人事評価制度の適用開始月の初日からさかのぼって6カ月~1カ月前の日までです。
2)人事評価制度等の導入・改正
次のすべてに当てはまる人事評価制度を導入するか、すでにある制度を改正します。制度の導入・改正には、就業規則や労働協約等の規定を追加、改定する必要があります。
- 従業員の生産性向上につながる制度であること
- 無期雇用(事実上の無期を含む)、直接雇用、雇用保険被保険者のすべてが対象であること
- 評価対象や基準、方法、評定と賃金額などの関係が明確であること
- 個人の意思で向上可能な項目が対象であること
- 評価の基準が年齢や勤続年数だけでないこと
- 賃金表を定めていること
- 評定と賃金額の関係や賃金表を従業員に開示していること
- 評価が年1回以上行われること
- 労働組合または労働者の過半数の代表者と合意したものであること
- 新制度により、賃金総額が導入前月より3%以上アップする見込みがあること
- 新制度による人事評価から2カ月以内に制度が実施されること
- 新設または改定された制度であること
最も重要なのは、導入する制度によって労働生産性を上げられる、つまり従業員が効率よく働けるようになるかどうかです。
3)すべての対象者に制度を実施
対象となるすべての従業員(有期雇用や日雇い労働者などを除く)に、制度による評価を行い、評価によって規定にもとづく賃金額を支払います。
規定にもとづいた賃金を実際に支払うことで、人事評価制度等が実施されたと見なされます。
4)賃金アップと離職率低下を達成
助成金の受給には、制度の導入だけでなく、それにより次の2つを達成することが必要です。
- 実施当月の支払い賃金が前月に比べて3%以上アップ
- 計画時に決めた離職率の目標を達成
ここでいう賃金は、「基本給+諸手当(毎月決まって支払われる賃金)」です。対象者の総額で比較するため、評価により賃金アップにならない従業員がいたとしても助成対象になり得ます。
離職率の目標値は、雇用保険の加入人数によって次のように決められています。
雇用保険被保険者数 | 低下させる離職率(目標値) |
---|---|
1~300人 | 現状維持 |
301人以上 | 1%ポイント |
上記の目標を達成していれば、支給申請ができます。ただし、評価時離職率(計画期間の終了翌日から1年間の離職率)は30%以下でなくてはなりません。
人事評価改善等助成コースの支給金額
このコースの助成金は、導入する制度の数や離職率の下げ幅などにかかわらず、一律で80万円です。
支給金額 | 80万円 |
---|
建設キャリアアップシステム等普及促進コース
このコースの助成対象は、建設事業主団体です。傘下の中小の建設事業主に対し、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録に関する費用補助などを行った場合に助成が受けられます。
事業に要した費用の3分の2(中小建設事業主団体以外は2分の1)の額が助成されます。
主な支給要件
このコースの主な支給要件は次のとおりです。
- 1)「建設キャリアアップシステム等普及促進事業」の事業計画を作成、労働局に提出すること
- 2)「建設キャリアアップシステム等普及促進事業」を実施すること
- 3)次のいずれかの建設事業主団体であること
- 全国団体・都道府県団体・地域団体
団体の区分についてはこのあと説明します。
1)「建設キャリアアップシステム等普及促進事業」の計画作成・提出
ずは、建設キャリアアップシステム等普及促進事業について、最大1年間の計画を立てます。計画は、事業を実施する原則2週間前までに、管轄の労働局に提出しなくてはなりません。
計画の際、事業推進委員会を設置し、事業推進員を選出する必要もあります。
2)建設キャリアアップシステム等普及促進事業の実施
「建設キャリアアップシステム等普及促進事業(CCUS等普及促進事業)」とは、次の4つを指します。①は必須で、ほかに②~④のいずれかを実施します。
- ①事業計画策定・効果検証事業
- ②CCUS等登録促進事業(登録料などの全額または一部補助)
- ③CCUS等登録手続支援事業(職員や外部専門家による支援)
- ④就業履歴蓄積促進事業(アプリや機器の無料貸出・費用補助)
3)対象となる建設事業主
この助成金は、次のいずれかに当てはまる建設事業主団体を対象としています。
団体区分 | 団体要件 |
---|---|
全国団体 | ・全国的な規模の組織 ・連合団体の場合は、都道府県単位の団体で構成 |
都道府県団体 | ・1つの都道府県単位で存在 ・構成企業の数が15以上、それぞれの従業員数が100人以上 |
地域団体 | ・構成企業の数が10以上、それぞれの従業員数が50人以上 ・構成企業の数が10以上、学生や教員を対象とする事業を行い、事業推進員会の構成員にその学校関係者を含む |
中小構成員等とは、建設事業主団体を構成する中小建設事業主や、構成員である一人親方などを指します。中小建設事業主以外を対象に事業を行っても、助成対象とはなりません。
支給額と対象経費
このコースの支給額は、事業に要した費用のうち対象となる経費に、次の助成率をかけて算出します。
事業主団体の区分 | 助成率 |
---|---|
中小建設事業主団体 | 支給対象費用の3分の2 |
上記以外 | 支給対象費用の2分の1 |
1事業年度あたりの上限額は、全国団体は3000万円、都道府県団体は2000万円、地域団体は1000万円です。
対象となる経費は、実施する事業により異なります。
実施する事業 | 支給対象となる主な経費 |
---|---|
①事業計画策定・効果検証事業 | ・人件費 ・委員謝金 ・旅費 ・宿泊費 |
②CCUS等登録促進事業 | ・技能者登録料、事業者登録料などの補助金 ・その他経費 |
③CCUS等登録手続支援事業 | ・委託費 ・印刷製本費 ・施設や機械機器の借上費 |
④就業履歴蓄積促進事業 | ・無償提供した機器等の購入費、リース料 ・補助金 |
基本的には実費相当額が対象ですが、それぞれの経費に対する上限もあります。
たとえば①の事業計画策定・効果検証事業の場合、宿泊費は1人1泊15,000円まで、かつ旅費と合わせて400万円(地域団体は200万円)が上限です。
若年層および女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
このコースは、若者や女性に建築業の魅力をアピールし、入職や定着を図る事業を行う建設事業主団体と職業訓練法人を対象としています。
対象の異なる次の2種類の助成があります。
- 建設事業主団体を対象とする「事業主団体経費助成」
- 職業訓練法人を対象とする「推進活動経費助成」
要件などを順に見ていきましょう。
事業主団体経費助成の概要
この助成は、建設事業主団体が傘下の建設事業主に対し、若者や女性の入職や職場定着のための講習会や教育訓練を行った場合に助成が受けられます。
要件を満たせば、事業に要した費用の3分の2(中小建設事業主団体以外は2分の1)の額が助成されます。
事業主団体経費助成の主な支給要件
助成の対象となる建設事業主団体の主な要件は、次の3つです。
- 1)「若年者および女性に魅力ある職場づくり事業」についての計画を立て、労働局に提出すること
- 2)「若年者および女性に魅力ある職場づくり事業」を実施すること
- 3)次のいずれかの区分に当てはまる建設事業主団体であること
- 全国団体・都道府県団体・地域団体
団体の区分についてはこのあと説明します。
1)「若年者および女性に魅力ある職場づくり事業」の計画作成・提出
「若年者および女性に魅力ある職場づくり事業」について、最大1年間の事業計画を作成します。
計画と同時に、事業の企画・立案を行う事業推進委員会を設置し、事業推進員を選任します。
計画は、事業を実施する日の原則2週間前までに、管轄の労働局に提出しなくてはなりません。
2)若年者および女性に魅力ある職場づくり事業の実施
計画にもとづき、「若年者および女性に魅力ある職場づくり事業」を進めます。次のうち①②は必須で、そのほか入職・職場定着のための事業③~⑩のいずれかを実施します。
- ①事業計画策定・効果検証(事業推進委員会の開催など)
- ②雇用管理改善の調査
- ③建設事業の役割・魅力の啓発活動(講習会や現場見学会など)
- ④技能向上のための活動等(内定者への教育訓練など)
- ⑤評価・処遇制度等の普及など
- ⑥労災予防のための労働安全管理の普及など(工事現場への巡回など)
- ⑦労働者の健康づくり制度の普及(人間ドック健診の導入など)
- ⑧技能向上や雇用改善の奨励(優良技能者の表彰など)
- ⑨雇用管理に必要な知識を習得させる研修等の実施(職長研修など)
- ⑩女性労働者の入職や定着の促進(女性活躍企業の表彰など)
いずれも、団体が主体となって企画・実施する事業に限ります。
3)対象となる建設事業主
この助成金は、次のいずれかに当てはまる建設事業主団体を対象としています。
団体区分 | 団体要件 |
---|---|
全国団体 | ・全国的な規模の組織 ・連合団体の場合は、都道府県単位の団体で構成 |
都道府県団体 | ・1つの都道府県単位で存在 ・構成企業の数が15以上、それぞれの従業員数が100人以上 |
地域団体 | ・構成企業の数が10以上、それぞれの従業員数が50人以上 ・構成企業の数が10以上、学生や教員を対象とする事業を行い、事業推進員会の構成員にその学校関係者を含む |
事業主団体経費助成の支給額と支給対象経費
支給額は、事業実施にかかった費用のうち対象となる経費に、次の助成率をかけて算出します。
事業主団体の区分 | 助成率 |
---|---|
中小建設事業主団体 | 支給対象費用の3分の2 |
中小建設事業主団体以外 | 支給対象費用の2分の1 |
1事業年度あたりの上限額は、全国団体は3000万円、都道府県団体は2000万円、地域団体は1000万円です。
ただし、費用を団体でなく傘下の事業主や一般参加者から徴収した場合は、対象経費からその分の額を差し引いて計算します。
対象となる経費は、次のようなものです。
・委員や講師、執筆者への謝金 ・人件費 ・旅費 ・宿泊費 ・印刷製本費 ・教材費 ・会議費 など
多くは実費相当額が基準ですが、上限があるものもあります。たとえば、講師への謝金は1人1日あたり30,700円が限度です。
推進活動経費助成の概要
この助成では、建設工事で行われる作業についての職業訓練を行う、職業訓練法人が対象です。
受講生を会員などに限定せず、広く募集する団体に限ります。
推進活動経費助成の主な支給要件
この助成では、職業訓練の推進に必要と見なされる活動を実施することが要件です。
たとえば、職業訓練についての研究・調査や広報などが該当します。
推進活動経費助成の支給額
支給金額は、支給対象となる推進活動にかかった費用に次の助成率をかけて算出されます。
助成率 | 支給対象費用の3分の2 |
---|
団体の規模などによる助成率の差はありませんが、受け入れ人数によって支給の上限額が異なります。たとえば、年に2万人未満の場合は4500万円、5万人以上の場合は1億500万円が上限です。
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
このコースには次の4種類の助成があり、建設事業主を対象としたものと、職業訓練法人を対象としたものとがあります。
助成の対象者 | 助成対象となる取り組み(助成の名称) |
---|---|
中小元方建設事業主 | 女性専用の作業員施設の整備 (女性専用作業員施設設置経費助成) |
中小建設事業主 | 岩手・宮城・福島県での作業員宿舎・施設や賃貸住宅の整備 (作業員宿舎等経費助成/岩手・宮城・福島) |
中小建設事業主 | 石川県での作業員宿舎・施設や賃貸住宅の整備 (作業員宿舎等経費助成/石川) |
職業訓練法人 | 認定訓練に必要な施設や設備の設置・整備 (訓練施設等設置経費助成) |
要件を満たせば、対象となる経費の最大3分の2が助成されます。助成率はコースにより異なります。
それぞれ見ていきましょう。
女性専用作業員施設設置経費助成
この助成は、自社が施工管理する建設工事現場に、女性専用の作業員施設を整備した事業主を対象としています。助成には次の2種類があります。
- 施設の整備にかかった費用に対する「経費助成」
- 経費助成の支給を受けて賃金の引き上げを行う「賃金向上助成」
順に見ていきましょう。
経費助成の支給要件
経費助成を受けるには、次のような条件を満たす、女性専用の更衣室・浴室・シャワー室・トイレを設置することが必要です。
- 建設工事現場に設けられ、移動が可能
- 入口ドアに女性専用であると明示、施錠できる
- 同種の施設を男性用にも別途整備する
- 無料で利用できる
このほか、たとえばトイレには「鏡付き化粧台と荷物置きを設けること」など、施設ごとで守るべき基準もあります。
経費助成の支給額と対象経費
経費助成の支給額は、支給対象経費に次の助成率をかけた金額です。
経費助成の助成率 | 支給対象費用の5分の3 |
---|
支給対象費用となるのは、施設本体の賃借料や、資材等の運搬費、設置や組み立て工事費のほか、水道やガスの配管工事費などです。敷金・礼金や光熱水料費、撤去費用などは対象外です。
賃金向上助成
経費助成の支給決定となった場合、次の要件を満たせば賃金向上助成も受けられます。
賃金要件 | ・雇用する建設労働者全員の「基本給+諸手当(毎月決まって支払われる賃金)」を、施設の整備終了後1年以内に5%増加させること ・上記の額を支払っていること |
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5%増加したかどうかは、賃金改定前の3カ月と後の3カ月で比較します。
助成率は次のとおりです。
賃金向上助成の助成率 | 支給対象費用の20分の3 |
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ただし、経費助成と合わせて1事業年度あたり90万円が支給の上限です。
作業員宿舎等経費助成(岩手・宮城・福島 )
この助成は、被災地である岩手・宮城・福島の三県(被災三県)にある工事現場で、作業員宿舎や作業用施設などを「賃借」して整備した場合に対象となります。
主な支給要件
次のような施設・設備を賃借で備えた場合に、対象となる経費の一部が支給されます。
- ①作業員宿舎の賃借(同一敷地内に3人以上が居住可)
- ②賃貸住宅の賃借(事業所・現場・所在地いずれも被災三県)
- ③作業員施設の賃借(現場内の食堂や休憩室など)
支給額と対象経費
支給額は、支給対象となる費用の3分の2の金額です。
助成率 | 支給対象費用の3分の2 |
---|
ただし、賃貸住宅については、1カ月あたり3万円、1人につき1年間が上限です。一事業年度あたりの上限は200万円です。
支給対象費用とは、施設本体の賃借料や運搬費、設置・組み立ての工事費や備え付け備品(冷暖房設備やカーテンなど)の賃借にかかる費用です。敷金や礼金、光熱水料費や撤去費用などは対象となりません。
作業員宿舎等経費助成(石川)
石川県内の工事現場で、作業員宿舎や作業用施設などを「賃借」して整備した場合に助成の対象となります。
主な支給要件
次のような施設・設備を賃借で備えた場合に、対象となる経費の一部が支給されます。
- ①作業員宿舎の賃借(同一敷地内に2人以上が居住可)
- ②賃貸住宅の賃借(事業所・現場・所在地すべてが石川県内)
- ③作業員施設の賃借(現場内の食堂や休憩室など)
支給額と対象経費
支給額は、対象となる施設によって次のように異なります。
対象施設 | 支給額/助成率 |
---|---|
①作業員宿舎 | 「建設労働者の数」×25万円 |
②賃貸住宅 ③作業員施設 | 支給対象費用の3分の2 |
ただし、②賃貸住宅については、1カ月あたり3万円が上限、1人1年間までの助成です。①~③の合計で、1事業年度あたり200万円が限度です。
支給対象費用とは、施設本体の賃借料や運搬費、設置・組み立ての工事費や備え付け備品(冷暖房設備やカーテンなど)の賃借にかかる費用です。敷金や礼金、光熱水料費や撤去費用などは対象外です。
訓練施設等設置経費助成
この助成では、建設事業に関する認定訓練を行うのに必要な、訓練施設または設備を設置・整備した場合に支給が受けられます。
主な支給要件
助成を受けるには、次のいずれにも該当する必要があります。
- 訓練生数に応じた規模の職業訓練施設を設置または整備すること
- 施設の設置・整備後も適正な数の訓練生の確保が見込めること
- 必要な土地を確保していること
- 耐火構造またはそれに準じる構造の施設であり、建築基準法に則るものであること
- 学科や実技を集合して行える設備であること
また、助成対象となった施設や設備は、事業の終了後、一定期間を経過するまでは用途変更をしないことも要件の1つです。用途変更した場合には、助成金の返還を求められます。
支給額
支給額は、施設の設置・整備にかかった費用の2分の1です。
助成率 | 支給対象費用の2分の1 |
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ただし過去5年間に同コースの支給申請をしたことがある場合、支給額はその5年間の合計で3億円となります。
外国人労働者就労環境整備助成コース
このコースは、外国人労働者特有の事情、たとえば日本語がわからない、日本の労働法や働く上での慣行を知らないなどの事情を配慮して労働環境を整備し、職場定着に取り組む事業主を対象とする助成金です。
取り組みにかかった費用の2分の1(賃金要件を満たせば3分の2)が助成されます。
主な支給要件
このコースの要件は主に次の2つです。
- 1)外国人労働者の就労環境整備措置を実施すること
- 2)指定の離職率目標を達成すること
それぞれ見ていきましょう。
1)就労環境整備措置の実施
助成対象となるのは、次の措置です。「イ」と「ロ」は必須、「ハ」~「ホ」のいずれかの措置を選んで実施します。
- イ)雇用労務責任者の選任
- ロ)就業規則等の社内規程の多言語化
- ハ)苦情・相談体制の整備
- ニ)一時帰国のための休暇制度の整備
- ホ)社内マニュアル・標識類等の多言語化
「雇用労務責任者」とは、もともと外国人労働者を常時10人以上雇う事業主の義務となっているものです。原則として人事・労務部門の課長職など管理職から選任します。
2)離職率目標の達成
上記1)の就労環境整備の措置を行った上で、離職率についての目標を達成する必要があります。離職率目標は、外国人労働者と日本人労働者についてそれぞれ次のように定められています。
労働者区分 | 離職率目標 |
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外国人労働者 | 10%以下であること ※計画期間末日の翌日時点で外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、算定期間の離職者数が1人以下であること |
日本人労働者 | 「評価時離職率」が「計画時離職率」より高くなっていないこと |
算定期間とは、計画期間の終了翌日から1年間を指します。評価時離職率はこの期間の離職率、計画時離職率は計画提出前の1年間の離職率を指します。
ただし、計画提出日から算定期間末日まで、継続して1人以上の外国人労働者を雇っていなければ助成対象とはなりません。
支給額と支給対象経費
このコースの支給額は、就労環境整備措置に使った費用のうち対象となる経費に、次の助成率をかけて算出します。
区分 | 支給額(上限額) |
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賃金要件を満たした場合 | 支給対象経費の2/3 (上限額72万円) |
賃金要件を満たしていない場合 | 支給対象経費の1/2 (上限額57万円) |
「賃金要件を満たした場合」とは、就労環境整備措置の対象である外国人労働者の「基本給+諸手当」(毎月決まって支払われる賃金)を、次のように増加させることです。それにより、助成金が増額されます。
賃金要件 | 就労環境整備措置のうち最も遅い措置の実施日翌日から1年以内に5%増加 |
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5%増加しているかどうかは、賃金改定前の3カ月間と後の3カ月間の賃金総額で判断されます。
支給対象となる経費は、次のいずれかに当てはまるものです。
- 通訳費(外部機関等に委託する場合のみ)
- 翻訳機器導入費(面談に必要な場合のみ、上限額10万円)
- 翻訳料(外部機関等に委託をする場合のみ)
- 弁護士、社会保険労務士等への委託料(顧問料は含まない)
- 社内標識類の設置・改修費(外部機関等に委託をするもの、多言語のものに限る)
ただし、対象となるかどうかは、たとえば就業規則や社内マニュアルの多言語化では「翻訳料は対象だが通訳料は対象外」など、実施する措置に対する必要性によって決まります。
テレワークコース
このコースは、テレワークを制度化して実施し、人材確保や雇用管理の改善などの成果を出した中小企業主に助成金が支給されるものです。
新たにテレワークを導入する場合に加え、すでに導入済みで実施を拡大する場合も対象となります。
このコースには「機器等導入助成」と「目標達成助成」という2段階の助成があります。 機器等導入助成では支給対象経費の50%が、目標達成助成では支給対象経費の15%~25%の助成が受けられます。
それぞれの助成の要件を見ていきましょう。
「機器等導入助成」の主な要件
機器等導入助成の主な要件は、次の3つです。
- 1)テレワーク実施に必要な取り組みを行うこと
- 2)テレワークしやすい職場風土を作ること
- 3)テレワークを実施し、指定された実績を残すこと
順に見ていきましょう。
1)テレワークのための取り組み実施
テレワークを実施するのに必要な機器等を導入します。たとえば、次のような費用が助成対象です。
- テレワーク用通信機器等の導入・運用費用
- テレワーク用端末レンタル・リース費用 ・ネットワーク機器 ・サーバ機器など
- 労務管理担当者への研修費用
- 労働者に対する研修費用
- 外部専門家によるコンサルティング費用
- 就業規則・労使協定等の作成費用
ただし、上限額が設定されている項目もあります。たとえば、労働者に対する研修は11万円までが助成されます。
2)テレワークしやすい職場風土の整備
従業員がテレワークの制度を利用しやすい職場の風土づくりを行います。
たとえば、社長から社員に向けて直接テレワーク促進のメッセージを配信する、資料を配布して社内周知するなどの取り組みです。
3)テレワークの実施と実績づくり
機器等の物理的状況や職場環境を整え、実際にテレワークを開始します。その際、計画時に決めた機器等導入助成の評価期間(テレワークを実施する期間)の3カ月間内に、次のいずれかの実績を残す必要があります。
- 対象者全員が1回以上テレワークを行うこと
- 対象者がテレワークを週平均1回以上行うこと
すでにテレワークを実施している場合は、テレワークの実施回数を計画前より25%アップさせることも必要です。
「目標達成助成」の主な要件
目標達成助成の主な要件は次のとおりです。
- 1)機器等導入助成の支給を受けたこと
- 2)離職率の目標を達成させること
- 3)テレワークの実施人数の基準を満たすこと
それぞれ見ていきましょう。
1)機器等導入助成の支給を受けること
まずは機器等の導入によってテレワークの環境を整備してテレワークを実施、その結果として離職率の目標を達成する必要があります。
そのため、機器等導入助成の支給を受けていなければ、目標達成助成も受けられません。
2)離職率に関する目標の達成
テレワークを行った結果、離職率が下がったという実績を残す必要があります。次の2点をどちらも満たさなくてはなりません。
- 評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率より低いこと
- 評価期間後1年間の離職率が30%以下であること
2)テレワーク実施人数の基準適合
機器等助成の評価期間は3カ月ですが、それを過ぎて期間の初日から1年が過ぎても、テレワークを実施する人がいる必要があります。
評価期間の初日から1年を経過する日から、3カ月間に1回以上テレワークを実施した人の人数が、次の式で算出した人数以上でなくてはなりません。
「評価期間初日から1年後の労働者数」× 「計画認定時点の全労働者に対するテレワーク実施対象者の割合」 |
支給額と支給対象経費
テレワークコースの支給額と対象経費を見ていきましょう。
各助成の支給額と上限
機器等導入助成と目標達成助成の支給額は、かかった費用に次の助成率をかけた額です。
助成の区分 | 助成率 |
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機器等導入助成 | 支給対象経費の50% |
目標達成助成 | 支給対象経費の15% 賃金要件を満たした場合:25% |
目標達成助成では、賃金要件を満たすと助成率が割増されます。賃金要件とは、テレワーク対象労働者の「基本給+諸手当」(毎月決まって支払われる賃金)を、次のように増加させることです。
賃金要件 | 機器等導入助成の評価期間の開始日から1年以内に5%以上増加 |
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ただし「機器等導入助成」「目標達成助成」とも、次のうち低い方の額が上限です。
- 1企業あたり100万円
- テレワーク実施対象労働者1人あたり20万円
合計での上限ではなく、それぞれの助成に対しての限度です。
支給対象経費
支給対象となる経費は、次の項目に当てはまる費用です。
- 就業規則等の作成・変更費用
- 外部専門家によるコンサルティング費用
- テレワーク用端末やネットワーク機器等の導入費用
- 労務管理担当者に対する研修費用
- 労働者に対する研修費用
テレワーク用端末やネットワーク機器等の導入には、パソコンやタブレットなどのレンタル・リース料や、サーバ機器、セキュリティ機器、ウェブ会議用のカメラやマイク、サテライトオフィス利用料なども含まれます。
ただし、パソコンやタブレットなどの購入費用や、専門家に対する顧問料、テレワークを行うための必要性や金額の合理性が確認できないものなどは対象となりません。
また、各経費についてはそれぞれで上限が設けられているものもあります。
派遣元特例コース
このコースは、派遣労働者を雇用する「派遣元事業主」を助成の対象としています。
令和6年5月24日から令和7年3月31日までの間に、派遣労働者に対する賃金制度を整備または改善した場合に支給が受けられます。
要件を満たせば、5万円+派遣労働者1名につき1万円が支給されます。
派遣元特例コースの主な支給要件
このコースの主な支給要件は次の2つです。
- 令和6年5月24日以降に一般賃金水準以上の賃金額で労使協定を改定すること
- 令和6年4月1日から改定までの賃金と、改定後の差額を補っていること
すでに契約を終了・退職した元派遣労働者に対する差額支給も助成の対象となります。
また、現時点での賃金水準が一般賃金水準を超えている場合でも、労使協定の改定と差額の補填を行えば支給対象となります。
派遣元特例コースの支給額
支給額は次のとおり、改定賃金を支払った派遣労働者の数によって異なります。
支給額 | 「5万円」+「派遣労働者×1万円」 |
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賃金制度の整備・改善のために、担当部門の増員を行うなどして経費が上記の額を超えた場合、その経費の総額を上限として支給が受けられます。ただし証明する書類の提出が必要です。
人材確保等支援助成金を申請する際の注意点
人材確保等支援助成金の申請には、いくつかの注意点があります。特に次の点は把握しておきましょう。
申請する前に経費の支払いが必須
助成金の制度は、基本的に後払いです。そのため、取り組みに必要な費用はまず自社ですべて負担しなくてはなりません。
また、経費がかかっても要件を満たさなければ受給できないため、まずは要件をすべて確認する必要があります。また、経費の全額が助成金でまかなえるわけではないことにも注意が必要です。
経費支払いのタイミングに注意
経費が助成されるコースでは、経費支払いのタイミングにも注意が必要です。
たとえば外国人労働者就労環境整備助成コースでは、制度を新たに導入する計画をし、届出後に実行することで助成対象となります。そのため、計画届を提出する前にその費用を支払っている場合には、助成の対象とはなりません。
また、同コースの経費は、就労環境整備計画期間の末日までに支払いを完了している必要があります。クレジットカード決済などの場合、引き落としのタイミングに注意が必要です。
支払った経費を証明する領収書等は必須
経費は、支払いの事実とその金額を証明できる領収書や振込通知書の写しなどがなくては対象となりません。紛失などしないよう、確実に保管しておきましょう。
支給決定までには時間がかかる
人材確保等支援助成金の各コースは、他の助成金に比べて審査時の確認項目が多くなっています。
そのため、申請から支給または不支給の決定に時間がかかることがあります。後払いであることに加え、申請してすぐに入金されるものでないため、資金繰りにも注意が必要です。
審査への協力・書類の保管も必須
支給審査では、提出した書類の原本を求められたり、必要書類一覧にない書類の提出を求められたりすることがあります。
また、支給後に立入審査が行われることもあるため、支給申請書や添付書類の写しなどは支給決定日から5年間は保管が必要です。
審査に協力することは、助成金共通の支給要件となっています。協力しなければ助成金は不支給となり、支給後に返還要求を受ける恐れもあります。破棄しないようにしてください。
就業規則の改定は労基署への届出も必須
コースによっては、新たな制度の導入や制度の改正が必要です。その場合、就業規則を労基署に届け出ている企業(従業員10人以上に義務化)では、就業規則の記載内容で審査が行われます。
このとき、労基署への届出も忘れずに行わねばなりません。助成金の受給とは無関係ですが、就業規則の変更時は労基署への変更の届出も義務となっています。
人材確保等支援助成金の申請もBricks&UKにおまかせ
人材確保支援助成金は、雇用管理の改善や就労環境の整備など、従業員の確保や継続雇用、ひいては事業の継続に必要不可欠な取り組みを対象とする助成金です。
自社に合うコースがあれば積極的に活用したいところですが、対象者や支給要件が違う複数のコースがあるため、申請できるかどうかの判断が難しいかもしれません。
そのため申請にはまず、助成金の専門家である社会保険労務士への相談をおすすめします。
当サイトを運営する「社会保険労務士事務所 Bricks&UK」には、助成金申請の実績が多数あります。活用できる助成金のご提案や、受給に不可欠な就業規則の整備もサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
就業規則を無料で診断します
労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。
こんな方は、まずは就業規則診断をすることをおすすめします
- 就業規則を作成してから数年たっている
- 人事労務トラブルのリスクを抱えている箇所を知りたい
- ダウンロードしたテンプレートをそのまま会社の就業規則にしている
監修者からのコメント 人材確保等支援助成金は職場環境の整備を行い、結果として従業員の定着率向上を達成すると受給できる助成金です。 従って、短期的な取り組みではなく、長期的にPDCAを回していく必要があるため、企業にとってその体制をとれるだけのリソース(人・モノ・お金)が必要となります。 大掛かりなことのように思えるかもしれませんが、通常の企業活動の中で実践できる内容も多いので、関心のある事業主様はお気軽にお問い合わせください。