高齢者雇用などで活用できる助成金

2021.04.30

高齢者雇用への希望イメージ

高齢化が進む中、従来の働き方を見直し、高齢者が1人ひとりの能力をより発揮できる体制を整えることが社会的な課題となっています。

そこで国は、高年齢者の雇用制度を見直し、より長く能力を活かせる環境を整備した企業への支援の一環として、さまざまな雇用助成金制度を新設しています。

助成金の対象は、雇用保険の適用事業所の事業主です。受給には、書類提出や審査への協力に応じ、期間内に申請手続きを行う必要があります。

この記事では、その高年齢者雇用に関する雇用助成金制度と、令和3年4月に施行される改正高年齢者雇用安定法の概要について解説しています。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)【45歳以上の雇用】

45歳以上の中途採用者の雇用イメージ

コースの概要

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は、雇用管理制度を整備したうえで中途採用の拡大を図った事業主に対して助成する制度です。

中途採用者の雇用管理制度を整備・拡大を図る事業主に対する「中途採用拡大助成」と、支給を受けた後、生産性が向上した事業主に対して追加で助成される「生産性向上助成」の二段階で支給されます。

主な支給要件

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の「中途採用拡大助成」について支給を受けるには、助成対象となる労働者を雇用する必要があります。

対象となる労働者

助成対象となる労働者とは、次に当てはまる人です。

  • 中途採用された人

  • 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用された人

  • 期間の定めのない労働者(パートなどの短時間労働者を除く) として雇用された人

  • 雇い入れの前日から過去1年間、申請事業者との間に雇用関係を含む経済的関係がない

中途採用計画の作成と提出

採用計画の作成と提出

受給には、上記の中途採用者の雇用に関する次の内容を盛り込んだ「中途採用計画」を作成し、労働局に届け出ることも必要です。

  • 中途採用者の雇用管理制度の整備

雇用契約の期間や労働時間、休日、評価制度や福利厚生などを定めたものが必要です。

  • 計画期間中の中途採用率の拡大

中途採用率の拡大などに取り組む期間を「中途採用計画期間」といいます。中途採用率を拡大する場合は1年間、45歳以上の人を初めて雇う場合や情報公表・中途採用者数を拡大する場合は1年以下で期間を定めます。

中途採用拡大に向けた取り組みの実施

中途採用計画期間の取り組みが次のいずれかに該当した場合に、中途採用拡大助成が受けられます。

  • 中途採用計画期間以前には中途採用率が60%未満だった事業所が、対象となる労働者を2人以上雇用し、中途採用率を20ポイント以上高める

  • 過去に45歳以上の人を中途採用したことのない事業所が、初めて45歳以上の人を雇い入れる

  • 中途採用にかかる定量情報と定性情報を公表した事業所が、対象労働者を2人以上採用し、中途採用率が計画前を上回っている

ここでいう定量情報とは、中途採用者の数など目に見える情報、定性情報とは、数字ではなく文章などで中途採用についての情報のことをいいます。

生産性向上助成の受給

上記の中途採用拡大助成を受けられる場合、さらに生産性向上についての助成も受けられる可能性があります。

生産性向上の要件は、中途採用計画期間の初日の会計年度の前年度と比べ、生産性が3年度後に6%以上向上していることが必要です。

助成金の支給額

中途採用計画期間に(1)と(2)いずれかの支給要件を満たすことで、中途採用拡大助成の助成金が受けられます。それぞれの支給額を見ていきましょう。

  • (1)中途採用率が60%未満の事業所が、中途採用計画期間内に対象労働者を2人以上雇用した場合

この場合、採用率をどれだけ向上させたかによって支給額が次のように異なります。

中途採用率の向上幅 支給額
20ポイント以上 50万円
40ポイント以上 70万円

さらに初めて中途採用を行った場合は、10万円が加算されます。

  • (2)45歳以上の人を中途採用したことがない事業所が、中途採用計画期間内に45歳以上の人を初めて中途採用する

この場合は、60万円が支給されます。また、60歳以上の年齢で雇用されてから6カ月以上を過ぎた人がいる場合には、さらに10万円が支給されます。

生産性向上助成の金額

生産性の向上イメージ

中途採用拡大助成の支給を受けたうえで、中途採用計画の初日を含む会計年度の前年度とその3年度後の生産性を比較して、3年度後の生産性が6%以上向上している場合には、「生産性向上助成」として以下の給付が受けられます。

区分 支給額
中途採用率の拡大 25万円
45歳以上の人の初採用 30万円

助成金の申請方法

助成金の申請方法

前述の雇用管理制度の整備や中途採用の拡大に取り組む期間などを記載した中途採用計画を作成し、計画開始日の前日から起算して6カ月前から開始日前日までに、必要な書類を揃えて労働局へ提出します。

中途採用計画以前に行った雇用に関しては助成金の対象とならないので注意しましょう。

提出には次のような書類が必要です。

  • 中途採用計画(変更)届…様式第一号
  • 中途採用計画…様式第三号
  • 中途採用率算定対象一覧…様式第四号
  • 中途採用者に適用される雇用管理制度の確認書類

雇用管理制度の確認書類には、採用規定や就業規則、賃金規定、人事評価規定などが当てはまります。中途採用計画前に中途採用者を対象とした雇用管理制度が整えられている事業所のみが対象です。

特定求職者雇用開発助成金【60歳以上、65歳以上の雇用】

60歳以上の人材との雇用契約イメージ

特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者など就職が困難な人を雇用する事業者を対象とした助成金です。

対象となる労働者に応じて8つのコースが設定されていますが、ここでは高齢者や障害者を対象とした「特定就職困難者コース」と、65歳以上の離職者を対象とした「生涯現役コース」について解説します。

①特定就職困難者コース

コースの概要

60歳~65歳未満の高年齢者や障害者など、いわゆる「就職困難者」とされている人を、ハローワーク等の紹介で雇い入れた事業者に対して助成されます。

主な支給要件

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の受給を受けられるのは、継続雇用を前提に次のような人を雇い入れた事業主です。

  • 高年齢者(60歳以上65歳未満)
  • 母子家庭の母等
  • 障害者


この対象者の雇用については次のような要件もあります。

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介で雇用する

  • 雇用保険の被保険者として2年以上継続して雇用する

知り合いの紹介などで雇用した場合や、短期で雇い入れた場合には、助成金の対象外となります。

支給額

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、対象となる労働者の類型と企業規模によって助成対象となる期間や支給額が決められています。ここでは中小企業の場合について紹介します。

  • 短時間労働者
対象となる労働者 支給額 助成対象期間
高年齢者(60歳以上65歳未満) 40万円(20万円×2期) 1年
母子家庭の母等 40万円(20万円×2期) 1年
重度障害者等を含む身体・知的障害者 80万円(20万円×4期) 2年

「短時間労働者」とは、週の労働時間が20時間以上30時間未満の人を指します。

「重度障害者等」には、重度障害者や45歳以上の障害者、精神障害者が該当します。

  • 短時間労働者以外
対象となる労働者 支給額 助成対象期間
高年齢者(60歳以上65歳未満) 60万円
(30万円×2期)
1年
母子家庭の母等 60万円
(30万円×2期)
1年
重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円(30万円×4期) 2年
重度障害者等 240万円(40万円×6期) 3年

この助成金では、対象労働者の実労働時間が一定の基準を下回った場合には支給額が減額されることとなっていました。

しかし令和2年1月24日以降、新型コロナウイルスの影響で実労働時間が減少した場合に限り「実労働時間の減少理由に係る疎明書」を提出することで減額が行われない特例措置が実施されています。必要書類と一緒に忘れずに提出しましょう。

申請方法

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象となる労働者をハローワーク等の紹介で雇い入れると、管轄の労働局から申請書類等が送付されます。

もしくは厚生労働省のウェブサイトから、申請書類および記入マニュアルのダウンロードも可能です。

支給申請は各支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内に、労働局またはハローワークに行います。令和3年3月22日以降は電子申請も利用可能になりました。

②生涯現役コース

コースの概要

定年退職などで離職状態にある65歳以上の人を、ハローワーク等の紹介によって1年以上継続して雇用することが確実な事業者に対して助成されます。

主な支給要件

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)の受給を受けられるのは、次の項目に当てはまる人を継続雇用を前提にして雇い入れる事業主です。

  • 雇い入れ日時点で満年齢65歳以上の人
  • 紹介日時点で失業等の状態にあり、雇用保険の被保険者でない

1週間の所定労働時間が20時間以上などの場合は、失業等の状態にあるとは言えず対象となりません。

また、雇用に関しては次の要件を満たすことが必要です。

  • ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介で雇用する
  • 雇用保険の被保険者として、1年以上継続して雇用する

期間の定めのない雇用契約や、1年以上の契約期間をもって雇い入れる場合に対象となります。このコースも、ハローワーク等を通さず雇用した場合は対象外です。

支給額

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)は、対象となる労働者や企業の規模によって、支給額が定められています。ここでは中小企業について紹介します。

  支給額 助成対象期間
短時間労働者 50万円(25万円×2期) 1年
短時間労働者以外 70万円(35万円×2期) 1年

申請方法

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)を受給するには、まずハローワークまたは民間の職業紹介事業者から対象となる労働者の紹介を受けます。

支給申請は支給対象期ごとに行います。支給対象期とは、賃金締切日が決まっている場合は雇い入れ直後の締切日翌日、決まっていない場合は雇い入れ日から起算して6カ月ごとに区切った期間です。助成の対象期間は1年なので、2回に分けて申請をする必要があります。

1回目の支給対象期間(第1期)の終了後、2カ月以内に申請書類を労働局に提出して審査を受けます。第2期の支給申請も同じように行います。

65歳超雇用推進助成金【50歳以上、55歳以上、60歳以上の被保険者対象】

高齢者雇用への可能性イメージ

65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことを目指して作られた助成金です。次の3つのコースがあります。

  • ①65歳超継続雇用促進コース

65歳以上への定年引き上げや定年制度の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入などを行った事業主が対象のコースです。

  • ②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

55歳以上の高年齢者を対象とした雇用管理制度の見直しもしくは導入、法定健康診断以外の健康管理制度の導入などを行った事業主を対象とするコースです。

  • ③高年齢者無期雇用転換コース

50歳以上かつ定年年齢未満の労働者との契約を無期雇用に転換した事業主が対象となるコースです。

それぞれのコースについて詳しく見ていきましょう。

①65歳超継続雇用促進コース

高年齢者の雇用促進イメージ

概要

65歳超継続雇用促進コースは、65歳以上への定年引き上げや定年制の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入などを実施した事業者に対して助成される制度です。ただし、1事業主に限り1回限りの支給に限られています。

<令和3年9月17日追記>このコースについては、申請多数により令和3年度の新規申請の受付が9月24日をもって締め切りとなることが発表されました。制度の見直しが検討されるとのことです。

令和3年度 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)の新規申請受付停止について|厚生労働省

主な支給要件

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)を受給するには、次のような措置や制度の導入を行うことが必要です。

  • 1. 次のいずれかを行う

65歳以上への定年引き上げ
・定年の定めの廃止
希望者全員を66歳以上も継続雇用する制度の導入
他社により継続雇用される制度の導入

  • 2. 上記(1)の制度について労働協約または就業規則に記載している

  • 制度を整えるために経費を必要とした

  • 高年齢者雇用等促進者を選任し、職業能力の開発や健康管理など高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施した

また、当該事業所において、高年齢者の雇用に関する次の事項が守られていることも必要です。

・支給申請日の前日の時点で、高年齢者雇用安定法に違反していない
・支給申請日の前日において1年以上雇用されている、60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いる

「雇用保険被保険者」には、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者は含まれません。また、期間の定めのない労働契約を締結する労働者、または定年後も継続雇用制度により引き続き雇用されている人に限ります。

支給額

65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)の支給額は、行った措置や対象となる被保険者の人数によって異なります。

  • 65歳以上への定年引き上げおよび定年の廃止

 

60歳以上の被保険者数 65歳以上への引き上げ 66歳~69歳への引き上げ 70歳以上への引き上げまたは定年の廃止
5歳未満 5歳以上
10人未満 25万円 30万円 85万円 120万円
10人以上 30万円 35万円 105万円 160万円

66歳~69歳への定年引き上げについては、従来よりも5歳以上引き上げたかどうかによっても支給額が異なります。

また、定年の引き上げと継続雇用制度の設置の両方を行ったとしても、支給を受けられるのはいずれか高い額のみです。

  • 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入
60歳以上の被保険者数 66歳~69歳への引き上げ 70歳以上への引き上げ
4歳未満 4歳
10人未満 15万円 40万円 80万円
10人以上 20万円 60万円 100万円

66歳以上69歳までの引き上げとする場合は、従来より4歳引き上げたかどうかによって金額が異なります。

  • 他社による継続雇用制度の導入

他社による継続雇用制度を導入する場合は、その制度の導入について委託した専門家への報酬など「経費の2分の1の額」もしくは「下表の支給上限額」のうち、低い方の金額が支給されます。

  66~69歳まで引き上げ 70歳以上へ
4歳未満 4歳
支給上限額 5万円 10万円 15万円

申請方法

助成金の申請は、審査・支給を担う(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構に行います。

定年の引き上げ等を実施した翌日から起算して2カ月以内に、雇用保険適用事業所の所在する都道府県の支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)に必要書類を提出して申請を行います。

申請書類の様式は、同団体のウェブサイトからダウンロード可能です。

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構|65歳超継続雇用促進コース 申請書類 様式ダウンロードページ

②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース

概要

高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、55歳以上の高年齢者を対象とした雇用管理制度の見直しもしくは導入、法定健康診断以外の健康管理制度の導入などを行った事業主に対して支給されます。

ただし同一の事由で他の地方公共団体等から助成を受けている場合、支給対象外となることがあるので注意が必要です。

主な支給要件

65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)は、次のような場合に支給されます。

  • 1. 高年齢者の雇用に関する「雇用管理整備計画」を作成し、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長の認定を受けている

  • 2. 上記(1)の雇用管理整備計画に基づき、計画実施期間中に高年齢者雇用管理整備措置を実施し、当該措置の実施の状況および当該計画の終了日の翌日から6カ月間の運用状況を明らかにする書類を整備している

  • 3. (2)の高年齢者雇用管理整備措置の実施に経費を要した

また、これらの措置の実施に各所の許認可等が必要な場合には、それも受けていることが条件となります。

「高年齢者雇用管理整備措置」とは、次の①~⑥のいずれかに該当する制度を導入したり改善したりすることをいいます。


① 高年齢者の職業能力を評価する仕組みや賃金・人事制度
② 短時間勤務など希望に応じた勤務ができる制度
③ 在宅勤務制度
④ 研修制度
⑤ 専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善
⑥ 法定外の健康管理制度(胃がん検診や生活習慣病予防検診など)の導入または改善
⑦その他、高年齢者の雇用機会を増やす制度



55歳以上の高年齢者を対象として、労働協約または就業規則に規定し、1人以上の支給対象被保険者に実施、適用することが必要です。

法定外の健康管理制度については、費用の半額以上を事業主が負担することが条件です。また、導入した制度を実施するための合理的な条件や事業主の費用負担について、就業規則などに明記されている必要もあります。

支給の対象となる経費は、高年齢者の雇用管理制度を導入・整備するために社会保険労務士や弁護士などに支払った委託費やコンサルタント料、あるいは措置を実施するのに必要だった機器の購入・レンタル費用などです。

なお、経費は計画実施期間内に行った措置について支給申請日までに支払いを済ませたものではなくてはなりません。

高年齢者雇用管理整備措置が行われたかどうかは、制度の導入前後の労働協約または就業規則、賃金台帳や辞令、労働条件通知書等、措置の内容が確認できる書類にて行われます。

そのため、それぞれの措置に合った書類を準備しておくことが必要です。

また、高年齢者の雇用に関する次の事柄も守られていなければなりません。

・支給申請日の前日までに、高齢者雇用安定法に違反していないこと

・支給申請日の前日において1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者で、講じられた高年齢者雇用管理整備措置により雇用管理整備計画の終了日の翌日から6カ月以上継続して雇用されている者が1人以上いること

・上記計画に基づいた高年齢者雇用管理整備の実施状況や費用の支出が明確になる書類を整備しておくこと

「雇用保険被保険者」には、短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者は含まれません。

また、期間の定めのない労働契約を締結する労働者、または定年後も継続雇用制度により引き続き雇用されている人に限ります。

支給額

65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)では支給対象経費に対し、次の割合で支給されます。

  生産性要件を満たした 生産性要件を満たしていない
中小企業 75% 60%
中小企業以外 60% 45%

支給対象となる経費は、初回に限り50万円とみなされます。2回目以降の申請では、50万円を上限とする経費の実費が支給対象経費として扱われます。

たとえば中小企業の場合、初回申請で生産性要件を満たしていれば50万円の75%として37万5千円が支給されます。

生産性要件は、厚生労働省が定めた生産性要件算定シートを用いて計算されるもので、各種助成金を申請する際に定められた伸び率を達成すると助成金の割増が受けられます。

生産性要件算定シートは、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできます。

厚生労働省|生産性要件算定シートダウンロードページ

申請方法

雇用管理整備計画書を作成し、雇用管理整備計画の開始日から起算して6か月前の日から3カ月前の日までに(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の主な事務所または事業所のある都道府県支部の高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)に提出して、認定を受けます。

雇用管理整備計画の申請書類は、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構のウェブサイトからダウンロードすることができます。

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構|高年齢者評価制度等雇用管理改善コース 申請書類様式ダウンロードページ

作成した雇用管理整備計画を実行し、終了日の翌日から6カ月後から2カ月以内に(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の都道府県支部高齢・障害者業務課に必要な書類を提出します。

③高年齢者無期雇用転換コース

無期雇用への転換イメージ

概要

高年齢者無期雇用転換コースは50歳以上の有期契約労働者を、関係機関から認定を受けた無期雇用転換計画に基づき、無期雇用労働者に転換させた事業者に対して助成されます。

他の2コースと同様、同一の事由で地方公共団体などから補助金等を受給した場合などには助成の対象外となることがあるので注意が必要です。

主な支給要件

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)の受給を受ける事業者は、次のような要件を満たすことが必要です。

  • 有期契約労働者を無期雇用労働者へ転換する制度を、労働協約や就業規則に規定していること

  • 「無期雇用転換計画書」を(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長に提出し、認定を受けること

  • 計画に基づいて無期雇用労働者へと転換した50歳以上定年年齢未満の人を、6か月以上継続して雇用し、賃金を支払うこと

  • 無期雇用転換計画書の提出前日までに高年齢者雇用等推進者を選任し、高年齢者雇用管理に関する措置(職域の拡大、賃金体系の見直し等)を1つ以上実施していること

  • 転換した無期雇用労働者を65歳以上まで雇用する見込みがあること

  • 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)の審査に必要な書類を整備・保管していること

また、支給申請日の前日までに何らかの高年齢者雇用安定法に違反する事項があった場合には支給対象とはなりません。

対象となる労働者に関しても、次のような要件があります。

  • 雇用期間が通算6か月以上5年以内で、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者である

  • 無期雇用労働者への転換日において、64歳以上でない

  • 派遣労働者でない

  • 転換日の前日までの過去3年以内に、無期雇用労働者として雇用されたことがない

なお、有期雇用での契約が通算5年を超えて繰り返された場合に、労働者からの申し出によって無期雇用労働者に転換できるという規定が労働契約法16条にありますが、これによる無期雇用への転換は当助成金の対象となりません。

支給額

65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)の支給額は、次表の通りです。ただし1支給申請年度において、1適用事業所あたり10人が上限です。

事業主の区分 1人あたりの支給額
中小企業事業主 48万円(60万円)
中小企業事業主以外 38万円(48万円)

表のカッコ内の金額は、生産性要件を満たした場合の支給額です。

申請方法

計画の開始6カ月~2カ月前までに「無期雇用転換計画書」を管轄の都道府県支部高齢・障害者業務課(東京支部、大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課)に提出します。

無期雇用転換計画書の申請書類は、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構のウェブサイトからダウンロードすることができます。

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構|高年齢者無期雇用転換コース 様式ダウンロードページ

作成した「無期雇用転換計画書」に基づいて対象労働者を無期雇用に転換し、6か月分の賃金を支払った日の翌日から2か月以内に、管轄の都道府県支部高齢・障害者業務課(東京支部、大阪支部は高齢・障害者窓口サービス課)に支給申請をします。

令和3年4月から、70歳までの就業機会確保が努力義務に

新たな法律イメージ

高年齢者の雇用延長について定めた高年齢者雇用安定法が、令和3年4月に改正されました。

今後ますます高齢者の雇用が進むことが予想される中で、企業が取るべき対応策について解説します。

令和3年4月スタート!高年齢者雇用安定法改正の概要

令和3年4月に施行される改正高齢者雇用安定法は、社員が70歳になるまで安定した就業機会を確保するよう企業に求めるものです。

現行法は平成25年4月より施行されていますが、現行法が65歳までの雇用機会を確保することを目指したものであるのに対し、改正法では対象年齢が70歳に引き上げられました。

改正法における具体的な高年齢者就業確保措置は以下の通りです。次の項目に当てはまる事業主に、高年齢者就業確保措置の努力義務が課せられます。

対象となる事業主

  • 定年を65歳以上70歳未満に定めている事業主

  • 65歳までの継続雇用制度を導入している事業主

従業員が65歳となるまでの雇用確保(義務)に加え、次のいずれかへの努力義務があります。

  • (1)70歳までの定年引き上げ
  • (2)定年制の廃止
  • (3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
  • (4)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • (5)70歳まで継続的に次のような事業に従事できる制度の導入
    ・事業主が自ら実施する社会貢献事業
    ・事業主が委託・出資等する団体による社会貢献事業

法改正を受けて、今企業が準備しておくべきこと

法改正に向けたチェックポイント

今回の法改正では、70歳までの就業確保措置は努力義務とされており、強制ではありません。しかし社会的にも自社のためにも、高年齢者の雇用について検討し、制度設計を進めておく必要があります。準備しておくべきことを3ステップで紹介します。

対象者の基準を決めておく

上記対象措置の(1)と(2)以外については、対象者を限定する基準の制定が可能です。

ただし基準を設ける場合には、労使間の協議の上、労働組合の過半数の同意を得ることなどが望ましいとされています。また、協議の上であっても、性別での限定や故意に高齢者を排除しようとするといった基準は認められません。

現状の把握と方針の決定

自社における高年齢者雇用の現状を把握し、どの高年齢者就業確保措置を導入するのかを検討しましょう。ただし会社が一方的に決めるのではなく、労使間で協議を行います。

現時点では対象となる労働者がいない場合も、個々がより安定したキャリアプランを確立するために、高年齢者が高いパフォーマンスを発揮できる雇用体制を整備しておくことが重要です。

具体的な検討と措置の実施

高年齢者就業確保措置の導入に向けて、雇用する高年齢者に担ってもらう役割や評価方法、職務などを具体的に検討しましょう。

対象となる高年齢者以外の社員にも法の趣旨を周知させるなど、社員全体で制度導入や高年齢労働者の活躍への理解に向けた体制作りを進めていくことが重要です。

高年齢者雇用に関する助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

社会保険労務士の女性イメージ

この記事では、高齢者の雇用に関する助成金と令和3年4月施行の改正高齢者雇用安定法の概要などについて紹介しました。生涯現役社会の構築が不可欠となった今、さまざまな属性の方が働きやすい環境を構築することは、安定した雇用の確保へとつながる第一歩です。

この記事では、高齢者の雇用に関する助成金と令和3年4月施行の改正高齢者雇用安定法の概要などについて紹介しました。生涯現役社会の構築が不可欠となった今、さまざまな属性の方が働きやすい環境を構築することは、安定した雇用の確保へとつながる第一歩です。

助成金の受給には労働関連の諸法令や申請基準に配慮しつつ準備を進めることが大切ですが、制度に則った申請が行われていないと受給が却下される可能性もあります。

制度の変更に適応し、助成金の申請や高年齢者就業確保措置の導入をミスなく確実に行うには、企業の労働問題のプロである社会保険労務士に任せるのが一番の策といえるでしょう。

当社Bricks&UKでは、助成金申請をはじめとした社会保険関連の手続きに精通した専門家がサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

社労士からのコメント 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)は、令和3年4月より、従来の60歳以上被保険者数の区分「1~2人」と「3~9人」を「10人未満」に統合し、70歳以上への定年引上げもしくは定年の廃止で120万円受給できるようになりました。 定年引上げを検討されている事業主様は、早めに申請されることをお勧めします。

就業規則を無料で診断します

労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。

こんな方は、まずは就業規則診断をすることをおすすめします

  • 就業規則を作成してから数年たっている
  • 人事労務トラブルのリスクを抱えている箇所を知りたい
  • ダウンロードしたテンプレートをそのまま会社の就業規則にしている
無料診断スタート
四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

おすすめ関連記事

最新記事の一覧を見る
  • 就業規則無料診断
  • キャリアアップ助成金ガイドブック

受給額ランキング受給額ランキング

注目のタグ注目のタグ

今読まれてます!人気記事今読まれてます!人気記事