外国人雇用でもらえる助成金

2021.07.09

2021.10.21

外国人労働者の雇用に使える助成金

従業員を雇用するとき、費用の一部を補填してくれるのが助成金です。助成金は従業員の国籍に関係なく受給できるため、外国人労働者の受け入れ時にも申請することができます。

一方で、在留資格や滞在期間など、外国人ならではの注意点も考慮しなければなりません。

そこでこの記事では、外国人の雇用に使える助成金5種と、外国人労働者に助成金を適用する場合の注意点についてご紹介します。外国人雇用に助成金の活用を考えている方はぜひ参考にご覧ください。

助成金とは?補助金との違い

助成金と補助金の違い

「助成金」と聞くと、「補助金とは何が違うのか」と疑問に思う人も多いでしょう。「返済が不要である」という点においてはどちらも同じです。

補助金は主に経済産業省や地方自治体による制度で、補助金を受けるには審査で採択される必要があります。

一方、助成金は主に厚生労働省による制度で、支給要件を満たし労働関連の法律を順守していれば、高い確率で受給ができます。

助成金や補助金についての詳細を、こちらの記事で解説しています。ぜひ読んでみてください。

外国人雇用で活用できる助成金5選

ここからは、外国人の雇用に活用できる助成金を具体的に紹介します。助成金の受給には国籍の条件がないものがほとんどです。外国人を雇用した場合にも申請できるケースが多いので、積極的に活用していきましょう。

雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金)

不景気などの際にも雇用を維持するための助成金です。経済上の理由で業績が悪化したときに、休業などの措置を行う事業主に対して支給されます。

受給条件

雇用調整助成金を受給するには、取り組みの内容・事業主・従業員がそれぞれの条件を満たしている必要があります。

対象 条件
取組内容 休業・教育訓練・出向のいずれか
労使協定に基づいて実施するもの
(技能実習生を対象とした教育訓練は支給対象外)
事業主 ・最近3カ月の生産量や売上高などが前年同期比で10%以上減少

・最近3カ月の雇用保険被保険者・派遣労働者の合計人数の平均が前年同期と比べて一定以内の増幅(※)に収まっている
従業員 同じ事業主の元で6カ月以上雇用保険に加入している

※印の「一定以内の増幅」とは、中小企業の場合は10%以内かつ4人未満、大企業の場合は5%以内かつ6人未満です。

助成額

助成金額の計算方法は、[事業主が実際に払った休業手当などの金額×助成率]で算出します。詳しい助成率や上限額は、下の表をご覧ください。

助成率 3分の2
(大企業は2分の1)
加算額 <教育訓練を実施した場合>
対象労働者1人あたり日額1,200円
支給上限額 対象労働者1人あたり日額8,370円
受給期間 1年間で合計100日分まで

ただし、2年連続の受給は不可となっています。

新型コロナウイルス感染症に関する特別措置について

臨時休業のはり紙

令和2年4月から、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて特別措置が適用されました。令和2年4月1日〜令和3年12月末(令和3年10月21日現在、期間延長中)までの休業などには受給要件が緩和され、支給額も割増になっています。

また、非正規労働者の支援を拡充するため「緊急雇用安定助成金」も新設されています。この制度では、雇用保険に加入していない従業員の休業手当も助成対象になります。

外国人に適用する場合の注意点

技能実習生を休業させる場合、必ず事前にサポートを受けた監理団体に相談してください。報告しなかったり、理由もなく実習を中止したりすると、出入国管理法違反になってしまう恐れがあります。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、パート・アルバイトなど非正規従業員の待遇改善を支援する助成金です。

全部で7種類のコースがあり、それぞれに支給条件が異なりますが、最も多く利用されているのが「正社員化コース」です。

受給条件

「正社員化コース」の支給対象となるのは、次のような取り組みです。

  • 非正規労働者を正社員化する
  • 期限付きの雇用契約を無期限に変更する
  • 派遣労働者を受け入れ先で直接雇用する

このように、「正社員化コース」といっても、必ずしも「正社員」である必要はありません。

助成額

支給額は、対象者の待遇をどう変更したかで違ってきます(詳細は下表)。取り組みの結果、生産性が向上したと認められる場合は支給額が増額されます。

変換区分 1人あたりの支給額
通常時 生産性向上時
有期雇用→正社員 57万円
(42万7500円)
72万円
(54万円)
有期雇用→無期雇用 28万5000円
(21万3750円)
36万円
(27万円)
無期雇用→正社員 28万5000円
(21万3750円)
36万円
(27万円)

表内カッコ内の数字は大企業に対する支給額です。1年度につき合計20人まで(全変換区分合計)を申請可能です。

外国人に適用する場合の注意点

外国人技能実習生は、この助成金の支給対象とはなりません。

また在留資格が看護師や介護福祉士など「特定活動(EPAの受け入れ人材)」や、「特定技能第1号」の外国人も支給対象外です。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金

就職が困難な求職者に対し、安定した職に就くチャンスを与えることを目的とした助成金です。

受給条件

助成を受けるには、対象となる労働者を一定条件下でトライアル(試用)雇用します。加えて、労働者本人がトライアル雇用を希望していなければなりません。

トライアル雇用の条件 以下のすべてに該当
・ハローワークや紹介業者などを通じて雇用する
・トライアル期間は3カ月
・1週間の所定労働時間が30時間以上(ホームレスや日雇い労働者などの場合は20時間以上)
労働者の条件
(いずれかに該当)
・紹介日の前日から過去2年以内に離職・転職が2回以上
・紹介日の前日時点で1年を超えて離職中
・妊娠や育児などを理由に離職後、紹介日の前日まで1年以上安定した仕事に就けていない
・55歳未満、かつハローワークなどで個別支援を受けている
・生活困窮者やひとり親など、特別な配慮を要する

「離職中」とは、アルバイトなどもしていない状態をいいます。

助成額

助成額は、支給対象者1人につき月額4万円(対象者がひとり親の場合は月額5万円)です。

最大で3カ月分を受給できますが、トライアルの途中で本人が離職したり常時雇用に変更となったりした場合には減額されます。

外国人に適用する場合の注意点

外国人労働者をトライアル雇用するときは、トライアル雇用と常時雇用契約の違いを当人にはっきりと説明しておくことが重要です。

外国人は日本の雇用制度を理解していないことも多く、理解が曖昧なままだとトラブルになる可能性があります。

トライアル雇用助成金については、こちらの記事でより詳しく紹介しています。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

就職が困難な人

年齢や心身の障害などの理由で就職が難しい人の雇用を促すための助成金です。対象となる人の給与相当の金額を助成します。

受給条件

ハローワークなどを通して対象となる労働者を雇い、6カ月以上継続して雇用し続けると支給されます。

助成額

助成金は半年ごとに2回〜6回に分けて支給されます。支給期間中に助成対象の従業員が離職すると、その期間からは助成金が支給されません。支給期間や金額は対象従業員の特性とその勤務時間によって異なります。

週の勤務時間が30時間以上の従業員
対象の従業員 助成対象期間 半年ごとの支給額
60歳以上の者
ひとり親 など
1年 30万円(25万円)
身体・知的障害者 2年(1年) 30万円(25万円)
重度障害者など 3年(1年半) 40万円(33万円)
週の勤務時間が20時間以上30時間未満の従業員
対象の従業員 助成対象期間 半年ごとの支給額
60歳以上の者
ひとり親 など
1年 20万円(15万円)
障害者 2年(1年) 20万円(15万円)

( )内は大企業の場合の対象期間および金額です。

外国人に適用する場合の注意点

過去に同一の事業所内で就労・研修経験のある場合は、条件に当てはまっていても支給対象となりません。過去に実習などで受け入れた外国人を雇用する場合には注意が必要です。

特定求職者雇用開発助成金が出ない例
  • 雇い入れ日の前日から過去3年以内に、同じ事業所で働いたことがある
  • 雇い入れ日の前日から過去3年以内に、同じ事業所で通算3カ月以上の訓練・実習を受けた

あくまで「新たに従業員として受け入れた人」が対象です。

この助成金について詳しくは、こちらの記事も読んでみてください。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース)

外国人労働者と通訳者

外国人労働者が働きやすい職場づくりを応援するための助成金です。翻訳や通訳などにかかる費用を一部補助します。

受給条件

受給するには、必須となる条件をすべて満たしつつ、3つの取り組みのうちどれかを実施しなければなりません。

必須条件
(いずれも必須)
・外国人雇用の労務責任者を任命し、外国人労働者と3カ月に1回以上の面談を行う(オンライン可)
・社内規程を外国人労働者が読める言語に翻訳し、周知させる
選択条件
(どれか1つを実施)
・外国人労働者が話せる言語で相談できる体制を作る
・一時帰国に使える有給休暇制度を作り、年1回以上・連続5日以上取得させる
・社内マニュアルなどを外国人労働者向けに翻訳・周知させる
助成額

助成額は「支給対象となる経費×助成率」で計算します。取り組みの結果、生産性が一定以上向上した場合には助成率が割増されます。対象にできる経費と助成率は、下の表のとおりです。

  助成率 上限額
生産性向上なし 2分の1 57万円
生産性向上あり 3分の2 72万円
対象経費 ・通訳/翻訳料金
・翻訳機の導入費(上限10万円)
・弁護士・社会保険労務士などへの委託料
(外国人の就労環境整備にかかった費用のみ)
・多言語表記の社内標識の設置・改修費

外国人に適用する場合に注意すること

受給するには、計画の実施に加えて、計画終了後1年間の離職率を一定以内に抑えなければなりません。外国人だけでなく、日本人従業員の離職率も条件に含まれている点に注意が必要です。

離職率の条件
労働者の区分 離職率
外国人 10%以下
(外国人が2人〜10人以下の場合は1人以下)
日本人 計画前の1年間と同率以下

このコースについては、こちらの記事でも詳しく説明しています。あわせて読んでみてください。

外国人を雇用するメリット・デメリット

文化や言葉の違いから外国人の雇用をためらう事業主もいますが、外国人の雇用にはデメリットだけでなくメリットもあります。ここでは、外国人を雇用する際のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

外国人を雇用するメリット

外国人雇用のメリット

外国人雇用の大きなメリットは、なんといっても労働力を確保できることです。

国籍にこだわらず人材を探せば選択肢も広がり、人手不足の解消が期待できます。

また、多言語に対応できる人材を得られる点もメリットです。進出したい国の出身者を雇うことで、海外の顧客や取引先とのスムーズなコミュニケーションが期待できます。海外進出をしない場合でも、訪日外国人へのサービスが円滑になるなどの期待が持てます。

多様な価値観を尊重する上でも、よいきっかけとなるかもしれません。

外国人を雇用するデメリット

外国人雇用のデメリット

デメリットの1つは、雇用までの手続きが複雑なことです。

たとえば外国人が日本に入国する際に「在留資格」が付与されますが、在留資格によっては就労ができません。就労資格のない外国人を働かせることは違法のため、細心の注意と知識が必要です。

また、外国人は日本人とは異なる文化や習慣を持っています。多様な考え方を職場に取り入れられる点はメリットでもありますが、文化の違いから誤解やトラブルに発展することも。日本の文化をしっかり説明するとともに、相手の文化を尊重することが大切です。

外国人を雇用する際の注意点

外国人雇用の注意点

外国人を雇用するときは、日本人従業員の雇用にはない手続きや配慮が必要です。ここからは、外国人を雇い入れる際に企業が注意すべき2つの点について解説します。

在留資格について

外国人雇用に関係のある出入国管理法

日本に滞在する外国人は、全員が「在留資格」を持っており、パスポートや在留カードで確認できます。在留資格には全29種類あり、そのうち国内で就労できるのは19種類。就労できる在留資格でも、それぞれ就ける職種が細かく規定されています。

就労区分と在留資格

就労区分 在留資格の種類(例)
就労できない 文化活動・留学・研修・短期滞在 など
制限つきで就労可能 企業内転勤・技能実習・報道・教育・高度専門職 など
就労制限なし 永住者・日本人の配偶者等・定住者・永住者の配偶者等

在留資格に許可されていない仕事を任せる場合は、在留資格の変更が必要です。ただし、変更には申請手続きが必要で、手続きから変更が認められるまでは1カ月〜3カ月ほどかかります。また、「雇用の必要性がない」などの理由で申請が却下されるケースも稀にあるため、入念な書類の準備が必要です。

文化や慣習の違い、差別を防ぐ配慮など

外国人労働者への配慮

外国人労働者は、日本人とは違う文化や価値観、習慣を持っています。日本人同士なら通じる常識や「当たり前」が通じないため、コミュニケーションには特に配慮が必要です。

たとえば、日本では人前で部下を叱るのはよく見られることですが、海外では人の尊厳を傷つけることとしてタブー視されています。日本での常識を一方的に押し付けると、トラブルやハラスメントに発展しかねません。

また、日本は島国ということも関係してか、無意識に外国人を差別するような言動をしてしまう人もいます。

外国人労働者を受け入れるときは、受け入れ側も異文化について学ぶことが大切です。お互いに歩み寄る姿勢を持つことで、円滑にコミュニケーションができます。日本人従業員が異文化について学べる機会を増やす、外国人労働者が気軽に相談できる体制を作るなどの対策を検討してみましょう。

助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

助成金申請を社労士に委託する事業主

この記事では、外国人の雇用に活用できる助成金5種類と、外国人を雇用する際の注意点についてお伝えしました。

外国人労働者は日本人にはないユニークな考え方を持っていることも多いです。特性を生かすことができれば、優秀な従業員として活躍してくれることでしょう。雇用関連の助成金を活用すれば、雇い入れ時の経費を補填することも可能です。

助成金は国籍に関係なく使えるものがほとんどですが、在留資格の確認など外国人特有の手続きが必要なこともあります。専門知識を要するケースも多いため、専門家である社会保険労務士に依頼するのがおすすめです。

当社Bricks&UKでは、こうした助成金の書類作成の代行を行っています。助成金が申請できるかどうかの相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

社労士からのコメント 現在、緊急雇用安定助成金を除いて、雇用保険未加入者が対象となる助成金はありません。 外国人の雇用保険加入手続きを取る際に、在留資格の確認が求められますので、助成金の対象となるかどうかはその時点で判明します。 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

就業規則を無料で診断します

労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。

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四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

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