リモートワーク導入で活用できる助成金を解説!

2021.06.30

リモートワークで活用できる助成金

2020年7月実施のテレワークに関する調査結果によると、テレワークを導入している企業の従業員のうち、テレワークについて「満足」「やや満足」と答えた人は合わせて約8割に上りました(デル テクノロジーズ株式会社による調査/全国の中小企業対象)。

取引先や同業他社のテレワーク導入事例を耳にし、自社でもテレワークを導入すべきか迷っている事業主様も少なくないでしょう。

この記事では、テレワーク(リモートワーク)の具体的なメリット・デメリットと、導入・継続に役立つ助成金について解説します。

リモートワークとは?

リモートワークの定義

リモートワーク(remote work)は、「remote=遠隔・遠い」、「work=働く」の2つをあわせた造語です。ICT(情報通信技術)を活用して、会社のオフィス以外で仕事をする働き方を指します。

似た言葉にテレワークがあります。こちらはtele(離れた所)とwork(働く)をあわせた造語で、意味はテレワークとほぼ同じです。

傾向としては、「リモートワーク」はIT業界で、「テレワーク」は国や自治体で多く使われています。この記事では、これ以降「テレワーク」に統一して説明します。

テレワークの種類について

「テレワーク」というと「自宅で仕事をする」というイメージが強いですが、(一社)日本テレワーク協会によると、テレワークは仕事を行う場所によって次の4種類に大別されています。

在宅勤務 自宅で仕事をすること
モバイルワーク 交通機関での移動中やカフェなどで仕事をすること
サテライト/コワーキング 企業のサテライトオフィスやレンタルオフィス、コワーキングスペースで仕事をすること
ワーケーション ワークとバケーションをあわせた造語。観光地などで、休暇を楽しみつつ仕事をすること

次の章では、テレワークのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

テレワークのメリット・デメリット

テレワークのメリットとデメリット

テレワークの導入によって、会社側・労働者側のそれぞれに、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

こちらも導入企業への実態調査から紹介します。参考にしたのは東京都による「テレワーク導入実態調査(2020年6月実施)」および厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会(第4回)」(2020年11月)の資料です。

テレワークのメリット

テレワークのメリット

まずは会社側のメリットを見てみましょう。

会社側のメリット
  • 管理職や経営層にテレワークの利用が進んだ・理解が深まった
  • Web会議システムを活用し、遠隔地での採用活動がしやすくなった
  • 働き方に制約がある従業員が、より長い時間で働いてくれるようになった

企業側では、採用活動や働き方に関して柔軟な対応ができたことをメリットと感じた企業が数多く見られました。

また、コロナ禍において「(テレワークに対しての)元請け企業や周囲の理解が得られやすくなった」といった意見もありました。

では労働者側はどうでしょうか。

【労働者側のメリット】
  • 通勤時間分、自由に使える時間が増えた
  • 通勤時のストレスがなくなった
  • 担当業務に集中できる
  • 育児・介護と仕事の両立がしやすい

労働者の側では、通勤の必要がなくなったことで時間的にも精神的にも負担がなくなったことが大きなメリットとなっています。

仕事と家族のケアを両立している人には、自宅にいることで双方に目を配ることができるメリットもあるようです。

このほかにも、上司や苦手な先輩社員と顔を合わせずに済むことで人間関係のストレスが減ったなど、さまざまなメリットを感じている人がいます。

テレワークのデメリット

次に、テレワークのデメリットを見てみましょう。

会社側のデメリット
  • コミュニケーションが取りにくい
  • 労働時間の確認など勤怠管理が難しい
  • テレワークができない従業員との間に不公平感が生じる

労働者側にもデメリットはあります。

労働者側のデメリット
  • コミュニケーションが取りにくい
  • 仕事と仕事以外の時間の区別が難しい
  • 仕事環境(机・椅子・プリンターなど)が揃っていない

会社側・労働者側の双方に共通して、コミュニケーションの課題が挙げられました。

また、企業側は勤務中の状況が目に見えないことで勤怠管理に課題を感じ、従業員側では仕事とプライベートの境目があいまいになりがちなことをデメリットと感じています。

このようなデメリットを解消するためには、テレワークでも円滑なコミュニケーションを取るためのチャットツールやweb会議ツールなどの導入も不可欠でしょう。

そのため国や自治体は、テレワークに関する助成金を設けています。次の章でわかりやすく解説します。

テレワークを導入する際に活用できる助成金

テレワークに関する3つの助成金を説明

中小企業がテレワークを導入する際に活用できる主な助成金は、3つあります。

厚労省|人材確保等支援助成金(テレワークコース)

テレワークシステムの導入イメージ

令和3年度から始まった新しい助成金で、通年の申請が可能です。

初めてテレワークを導入する中小企業が、社内制度についてコンサルを受ける、テレワーク用通信機器を導入する、といった環境の整備に活用できます。

この助成金は、テレワーク導入の取り組みに対して、「機器等導入助成」と「目標達成助成」の2段階の助成が設定されています。

  機器等導入助成 目標達成助成
支給率 支給対象となる経費の30% 支給対象となる経費の(生産性要件を満たすと35%)

支給上限額
(いずれか低い方)

・20万円 × 対象労働者数
・1企業当たり100万円

「目標達成助成」があることで、よりテレワークの導入に前向きになれる仕組みとなっています。

厚労省|働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

勤務間インターバルのイメージ

長時間労働や過重労働になりがちな企業の労務管理として、「勤務間インターバル制度」を導入した企業への助成です。

「勤務感インターバル」とは、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることをいいます。

対象は中小企業で、申請受付期間は令和3年11月30日(火)までです。

この助成金では、成果目標の達成状況に応じて、取り組みの実施に要した経費の4分の3または5分の4が支給されます。一企業あたりの上限額は下表のとおりです。

休息時間数 勤務間インターバルの「新規導入」に該当するものがある場合 適用範囲の拡大または時間延長のみの場合
9時間以上11時間未満 80万円 40万円
11時間以上 100万円 50万円

さらに賃金額の引き上げも成果目標に加えた場合は、その成果に応じて上限額に加算があります。

東京しごと財団テレワーク促進助成金

助成金の対象となる東京都

東京都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等が対象の助成金です。

テレワークの活用推進が目的で、情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備に対して、助成金が支給されます。

申請受付期間は、令和3年5月10日(月)~12月24日(金)(締切日消印有効)です。

事業者の規模(労働者数) 30人以上999人以下 2人以上30人未満
助成金の上限 250万円 150万円
助成率 2分の1 3分の2

テレワーク促進助成金ほか東京都で実施されているテレワーク関連の助成金については、こちらの記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてください。


次の章からは、このうち人材確保等支援助成金(テレワークコース)と、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)について、より詳しく解説していきます。

人材確保等支援助成金(テレワークコース)

サテライトオフィスでの勤務の様子

人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、中小企業の事業主を対象に、在宅またはサテライトオフィスで働く「テレワーク勤務」の導入と、そのテレワーク勤務の継続を支援する助成金です。

申請受付期間通年

支給対象となる経費の範囲

助成金の支給対象範囲

この助成金の受給にはまず、「テレワーク実施計画」を作成し、管轄の労働局に提出して認定を受ける必要があります。

認定を受けたテレワーク実施計画に基づいて実施する、以下5つの取り組みに要した費用が支給対象です。

  • 1)就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • 2)外部専門家によるコンサルティング
  • 3)テレワーク用通信機器の導入・運用
  • 4)労務管理担当者への研修
  • 5)労働者への研修

支給金額など

助成金の支給金額の計算

テレワーク導入の取り組みに対して、「機器等導入助成」と「目標達成助成」の2段階の助成があります。それぞれの支給率と上限金額を表にしました。

  機器等導入助成 目標達成助成
支給率 支給対象となる経費の30% 支給対象となる経費の20%
(生産性要件を満たすと35%)
支給上限額
(いずれか低い方)
・20万円 × 対象労働者数
・1企業あたり100万円

機器導入助成、目標達成助成それぞれの、主な支給要件を説明します。

機器等導入助成の主な支給要件

助成金の支給要件リスト

機器等導入助成では、テレワークの導入・推進に向けた環境整備に対して助成金が支給されます。主な支給要件を見てみましょう。

  • テレワークに関する制度を規定した労働協約または就業規則を新たに整備すること
  • 計画認定日以降、機器等導入助成の支給申請日までに、助成対象となる取り組みを1つ以上行うこと
  • 評価期間(機器等導入助成)中の対象労働者のテレワーク実績が、次のいずれかを満たすこと

 1.対象者全員がテレワークを1回以上実施する
 2.テレワーク実施の週平均回数が1回以上である  

なお、テレワーク実績の評価期間は、実施計画認定日から起算して6カ月以内の中から、連続する3カ月を事業主が設定できます。

目標達成助成の主な支給要件

目標達成のイメージ

目標達成助成では、テレワークの定着や離職率の改善に対して助成金が支給されます。主な支給要件をまとめました。

  • 評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率以下である
  • 評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率以下である
  • 目標達成助成の評価期間中にテレワークを1回以上実施した人の数が、「機器等導入助成の評価期間初日から1年後の日の労働者数 × 計画認定時点の労働者全体に占める対象労働者の割合」以上である

なお、目標達成助成では、所定の生産性要件を満たした場合に、支給率が20%から35%にアップします。

厚労省|働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)

勤務間インターバル導入のタクシー業界

テレワークのデメリットでも述べたとおり、すでにテレワークを導入した企業で、テレワーク勤務者の労働管理に悩むケースは少なくありません。

テレワーク勤務者からも「仕事とプライベートの切り分けが難しい」という声が挙がっています。

そこで活用したいのが、出社・テレワーク問わず、従業員の労働時間管理に必要な機器等の購入に活用できる、働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)です。

この助成金では、勤務終了後から次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設ける「勤務間インターバル制度」の導入・拡充への取り組みに対して、助成金が支給されます。

申請受付期間令和3年11月30日(火)まで
事業実施期間交付決定の日から令和4年1月31日(月)まで

ただし支給対象となる事業主の数は国の予算により制限されるため、申請受付は11月30日以前に締め切られる場合もあります。

支給対象となる事業主

助成金の支給対象となる事業主

勤務間インターバル導入コースの支給対象は、以下のすべてに該当する事業主です。

  • 労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主
  • 36協定を締結しており、原則として、過去2年間に月45時間を超える時間外労働の実態がある
  • 年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備している
  • ①~③のいずれかに該当する事業場(支店など)がある

 ①勤務間インターバル制度を導入していない
 ②すでに休息時間数が9時間以上の勤務間インターバル制度を導入してるが、対象労働者数がその事業場の半数以下である
 ③すでに勤務間インターバル制度を導入しているが、休息時間数が9時間未満である

支給対象となる取り組み

助成金の支給対象となる研修の様子

勤務間インターバル導入コースは、「9時間以上11時間未満の休息」または「11時間以上」の勤務間インターバルの「新規導入」「適用範囲の拡大」「時間の延長」いずれかの達成を目指すものです。

その際、支給対象となる9つの取り組みの中から、いずれか1つ以上の実施が必要になります。

  • 労務管理担当者への研修
  • 従業員に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社労士や中小企業診断士など)によるコンサルティング
  • 就業規則、労使協定等の作成・改定
  • 人材確保への取り組み
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 労務管理用機器の導入・更新
  • デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
  • 労働効率を上げる設備・機器等の導入・更新 

ただしパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどの購入などは対象外です。

支給金額など

助成金の支給対象となる経費の領収書

この助成金では、取り組みの実施に要した経費の一部が、成果目標の達成状況に応じて支給されます。

補助率は原則4分の3ですが、1企業あたりの上限額があります。以下の表にまとめました。

勤務間インターバルの「新規導入」に該当するものがある場合

休息時間数 1企業あたりの上限額
9時間以上11時間未満 80万円
11時間以上 100万円

勤務間インターバルの休息時間数は、事業実施計画で指定した時間数の中で最も短いものを指します。

勤務間インターバルの「新規導入」なし、適用範囲の拡大・時間延長のみの場合

休息時間数 1企業あたりの上限額
9時間以上11時間未満 40万円
11時間以上 50万円

例外として、次の3つを満たす場合は補助率が5分の4になります。

  • 常時使用する労働者数が30名以下
  • 支給対象の取り組みで6から9を実施
  • 取り組みの所要額が30万円超

また、賃金額の引き上げを成果目標に加えた場合、賃金引き上げ人数の合計に応じて上限額に加算があります。

詳しい要件は、労働局か社会保険労務士に確認してください。

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社労士との提携イメージ

労働者の多くがメリットを感じているテレワークですが、実際問題として社内に詳しい人材がおらず、「何から手を付ければいいのかわからない」という企業も珍しくありません。そのようなときは、思い切ってITや労務の専門家にサポートを依頼するのも一つの手です。

今なら助成金を活用して費用面の負担を軽くできるため、テレワークの導入を検討するにはベストなタイミングです。実際に当社が担当した企業様では、助成金を活用して働く環境を整備した結果、労使関係の改善や従業員のモチベーションアップに繋がった事例があります。

当社Bricks&UKには、助成金申請のノウハウが豊富な社会保険労務士が複数在籍しています。ぜひお気軽にご相談ください。

社労士からのコメント テレワークの導入に伴い、テレワーク用通信機器の購入や在宅勤務規程の整備などハード面での整備も重要ですが、従業員の勤怠管理や評価方法など運用面での課題を抱えている企業様からの相談も寄せらせています。 弊社Bricks&UKでは、テレワークの運用においてのアドバイスも行っております。 お気軽にご相談ください。

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四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

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