【雇用調整助成金】手続きの方法について詳しく解説!

2021.06.29

雇調金の手続きを解説する女性

新型コロナウイルス感染症が事業成績に大きな影を落としている事業主にとって、雇用調整助成金は事業継続の手段の一つと言えます。従業員に支払った休業手当の一部または全額が支給されるため、申請しない手はありません。

しかし、申請したくてもその方法がよくわからないという事業主の方もたくさんいらっしゃいます。

この記事では、雇用調整助成金の手続き方法について、特例措置の内容や揃えるべき書類、申請時の注意点について解説していきます。迅速に手続きをするために、ぜひ読んでみてください。

雇用調整助成金の申請手続き

申請にはいくつかの書類が必要ですが、その必要書類は企業規模や判定基礎期間(休業の実績を判定する1カ月単位の期間)、利用する特例、教育訓練の有無などによって様式が異なります。

申請手続きの際に揃えるべき書類について、企業規模ごとに見ていきましょう。

おおむね20人以下の事業主(小規模事業主)

小規模事業所の事業主

各企業の状況(休業を行った期間や生産指標、営業時間短縮への協力状況など)や教育訓練の実施の有無などにより、申請書の様式が異なります。

まずは小規模事業主が手続きに必要な書類と内容、注意すべき事項などを紹介します。

作成する書類

申請には、次の(1)~(3)の書類を作成する必要があります。

  • (1)雇用調整助成金支給申請書
  • (2)実績一覧表
  • (3)支給要件確認申立書

それぞれに決められた様式があるので、それに記入していきます。それぞれどんな書類かなどを見ていきましょう。

(1)雇用調整助成金支給申請書

事業所の情報や休業規模、振込先などを記載する書類です。手書き(PDF)版と自動計算(Excel)版の2種類があり、自動計算の方が入力しやすいのでおすすめです。

この中で「対象期間(始期)」を記入する欄がありますが、これは事業主が指定した雇用調整の初日から1年を経過するまでの期間です。たとえば令和3年4月1日から休業を行い、その日以降の休業分の助成金を申請している場合、始期は令和3年4月1日となります。

雇用調整助成金支給申請書(一部)
(2)実績一覧表

休業や教育訓練の対象になった従業員の氏名と、休業・教育訓練などを実施した日数を記入します。

ちなみに、外国人技能実習生に教育訓練を行い助成金を申請する場合には、「技能実習実施困難時届出書」を提出していることが必須です。様式は「外国人技能実習機構」のホームページからダウンロードできます。

OTIT 外国人技能実習機構|様式ダウンロードページ

(3)支給要件確認申立書

雇用調整助成金の支給要件に該当するかどうかを確認する書類です。「はい」か「いいえ」の2択で回答しましょう。

様式についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

添付する書類

上記の申請書類のほか、さらに添付書類として次の5点の資料が必要です。

  • (1)比較する月の売り上げなどがわかる書類
  • (2)休業させた日や時間がわかる書類
  • (3)休業手当や賃金の額がわかる書類
  • (4)役員名簿(役員がいる場合のみ)
  • (5)通帳またはキャッシュカードのコピー

順番に詳しく見ていきましょう。

(1)比較した月の売り上げなどがわかる書類

売上簿、レジの月次集計、収入簿などです。「休業などをした月の1カ月分」と、「1年前の同月分あるいは2年前の同月、もしくは前年同月~休業月前日の間のいずれかの1カ月分」の提出が必要です。

生産指標について、最近3カ月の月平均で前年または前々年の同期比の30%以上減少している場合には、業況特例に該当します。特例を受けるには、最近3カ月と前年または前々年の同期の売上がわかる書類を提出しなくてはなりません。

(2)休業させた日や時間がわかる書類

休業日や休業時間(勤務時間の一部のみの休業の場合)を確認できる、タイムカードや出勤簿、シフト表などを提出します。

(3)休業手当や賃金の額がわかる書類

休業手当を実際に支払っていることが支給の要件となるため、給与明細の写しや控え、賃金台帳などが必要です。

(4)役員名簿(役員がいる場合のみ)

役員の性別や生年月日が記入されたものが必要です。ただしこれは、事業主本人以外に役員がいない場合や個人事業主である場合には不要です。

(5)通帳またはキャッシュカードのコピー

助成金を振り込んでもらう先の口座番号やフリガナの確認ができる部分のコピーを用意しましょう。

教育訓練を実施した場合

教育訓練を実施した場合には、追加で必要となる書類もあります。

次に紹介するうち(1)についてはどのような場合でも必須の書類です。その他は、訓練を事業所内で行ったかどうかで要・不要が異なります。

ケース 必要書類 概要
共通 (1)受講を証明する書類 受講者本人の作成したレポート等
事業所内訓練 (2)教育訓練の計画内容が確認できる書類 対象者や科目、講師やカリキュラムなどの記載があるもの
(3)指導員や講師が確認できる書類 必要な知識や経験が確認可能なもの
事業所外訓練 (4)受講料の支払いを証明する書類 ※支払いがなければ不要
(5)支給申請合意書 教育訓練機関による記入が必要

(3)については、指導員や講師による訓練でない場合には必要ありません。

(5)については、厚生労働省のホームページからダウンロードが可能です。

雇用調整助成金の様式ダウンロード|厚生労働省

雇用保険の被保険者でない従業員に休業手当を支払った場合

雇用保険の被保険者以外(短時間勤務の学生アルバイトなど)の従業員に対して休業手当を支払った場合には、「緊急雇用安定助成金」の助成対象となります。

緊急雇用安定助成金の申請には、次の(1)~(3)の書類を提出します。添付書類は雇用調整助成金の場合と同様です。

  • (1)実績一覧表
  • (2)緊急雇用安定助成金支給申請書
  • (3)支給要件確認申立書

(3)の支給要件確認申立書は、雇用調整助成金と同時に申請する場合は不要です。助成内容やその他の条件などは雇用調整助成金と同様です。

緊急雇用安定助成金についてはこちらの記事もぜひ参考にしてください。

小規模事業主以外の事業主

小規模事業所以外

中小企業・大企業の場合は教育訓練の実施の有無にかかわらず、共通の様式を使用します。

中小企業の定義は業種によって次表のように定められています。

小売業(飲食店を含む)資本金5000万円以下または従業員50人以下
サービス業資本金5000万円以下または従業員100人以下
卸売業資本金1億円以下または従業員100人以下
その他の業種資本金3億円以下または従業員300人以下

作成する書類

書類作成の様子

提出に際して作成する書類は次の5点です。

  • (1)雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書
  • (2)支給要件確認申立・役員等一覧
  • (3)休業・教育訓練実績一覧表
  • (4)助成額算定書
  • (5)(休業等)支給申請書

これらはそれぞれ決められた様式があり、それに記入していく形です。どんな内容なのか解説していきます。

(1) 雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書

「新型コロナウイルス感染症の影響で、どれくらい事業が縮小したのか」という状況を記載する書類です。毎年繰り返される季節的な売り上げの変動や、自然災害で設備に被害を受けたなどの理由による生産量の減少は対象外なので注意しましょう。

記述欄には、事業内容の詳細と感染症の影響との関係性を記入します。

記入例)

製造に必要な資材の一部がマレーシアのロックダウンにより輸入できなくなり、製造が困難になった。そのため売り上げが前年比で〇%減少した。結果、事業活動を縮小せざるを得なくなった。

(2) 支給要件確認申立・役員等一覧

雇用調整助成金の支給要件に該当するかどうかを確認する書類です。表・裏面と役員等一覧のページがあるので、記入漏れに注意しましょう。

(3) 休業・教育訓練実績一覧表

休業や教育訓練の対象になった従業員の所定労働日や一日休業、教育訓練などの日数を記入します。

外国人技能実習生に助成金の対象となる教育訓練を行う場合、「技能実習実施困難時届出書」を提出していることが必須です。「外国人技能実習機構」のホームページからダウンロードできます。

OTIT 外国人技能実習機構|様式ダウンロードページ

(4) 助成額算定書
助成額算定イメージ

賃金総額や従業員(被保険者)の人数、所定労働日数などをもとに助成額を算出します。

この中に「休業手当の支払い率」を記入する欄があります。従業員によって支払い率が異なる場合には、次のA~Cのいずれかの方法で記入してください。

  • A)対象の労働者数が最も多い支払い率を選択
  • B)単純平均の支払い率を選択
  • C)加重平均の支払い率を選択

たとえば100%での支払いが3名、80%が2名、60%が5名いたとしましょう。

Aの場合は、もっとも人数の多い支払い率の「60」を記入します。

Bの場合は、(100+80+60)÷ 3 =80 (%)と計算し、「80」と記入します。

Cの場合は、次のように計算します。

{(3名×100)+(2名×80)+(5名 × 60)}÷10名=76(%)

このパーセンテージの数字「76」を記入します。

(5)(休業等)支給申請書

事業所の情報や休業規模、振込先などを記載する書類です。

「対象労働者数」には、雇用保険の被保険者の人数を記入してください(それ以外の人の場合は後述)。

「対象期間」とは事業主が指定した雇用調整の初日から起算して1年を経過する日までの期間です。たとえば令和3年4月1日から休業を行っていて、その日以降の休業分の助成金を申請している場合、始期は「令和3年4月1日」となります。

添付する書類

上記の申請様式のほか、添付書類として次のような書類が必要です。

  • (1)休業協定書
  • (2)比較した月の売上などがわかる書類
  • (3)事業所の規模を確認する書類
  • (4)労働・休日の実績に関する書類
  • (5)休業手当・賃金の実績に関する書類
  • (6)通帳またはキャッシュカードのコピー

順番にどのようなものか見ていきましょう。

(1) 休業協定書
休業に関する協定書

下記A・Bの両方が必要です。ただしBは前述の「実績一覧表」に事業主および協定した労働者代表の氏名があれば、添付を省略できます。

  • A)休業等の実施につき労働組合等と締結した協定書
  • B)事業所における労働者代表であることを確認するための書類

Aについては、労働組合などとの確約書でも代用可能です。

Bについては、労働組合があれば組合員名簿、労働組合がない場合には労働者代表選任書を提出します。

(2)比較した月の売り上げなどがわかる書類

売上簿、レジの月次集計、収入簿などです。「休業等した月の1カ月分」と、「1年前の同月分あるいは2年前の同月、もしくは前年同月~休業月前日の間のいずれかの1カ月分」を準備しましょう。

(3) 事業所の規模を確認する書類

事業所の従業員数や資本額がわかる書類です。既存の労働者名簿や役員名簿でも問題ありません。

中小企業の場合、人数要件を満たしていれば資本額がわかる書類は不要です。

(4) 労働・休日の実績に関する書類
タイムカード

出勤簿、タイムカードの写し、シフト表など、休業させた日や時間がわかる書類です。

(5) 休業手当・賃金の実績に関する書類

賃金台帳や給与明細の写しなど、休業手当や賃金額がわかる書類です。

(6) 通帳またはキャッシュカードのコピー

口座番号やフリガナの確認ができる部分をコピーしてください。

その他、特例などケースに応じて次のような書類が必要となります。

ケース 添付書類
業況特例に該当する場合 生産指標が30%以上減少したことがわかる書類
地域特例に該当する場合 要請等対象施設の所在地・労働者を確認できるもの
催物の開催縮小にかかわる場合 ・開催施設の所在地
・緊急事態措置を実施すべき期間中に催物を開催した、あるいは開催を予定していたこと

生産指標が減少したことを示す書類とは、売上簿、レジの月次集計、収入簿などです。最近の3カ月分と前年または前々年の同期分を用意します。

雇用保険被保険者以外の従業員に休業手当を支払った場合

小規模事業主の場合と同様に「緊急雇用安定助成金」で助成されます。以下5点の書類を用意しましょう。添付書類は雇用調整助成金と同じものを揃えます。

  • (1)休業実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
  • (2)助成額算定書
  • (3)緊急雇用安定助成金支給申請書
  • (4)休業実績一覧表
  • (5)支給要件確認申立書

(5)の支給要件確認申立書は、雇用調整助成金と同時に申請する場合には提出不要です。

雇用調整助成金 申請時の注意点

助成金申請の注意点

助成金の手続きには、気を付けておきたいこともあります。主な3つの注意点を見ておきましょう。

念入りな事前チェックを

助成金申請前の入念なチェックの様子

どれだけ事前に必要事項をチェックできているかが、助成金の最短入金への近道です。

雇用契約書や就業規則、給与明細、タイムカードなど事実確認のための書類に記載漏れや間違いがいないか、必ず確認してから提出しましょう。内容の整合性がとれていない場合は不支給になる可能性があります。

書類内容に不足や記入ミスがあると、窓口で返されてやり直しになるなどし、それだけ支給決定までに時間がかかってしまいます。

最新情報を入手

最新情報の入手

新型コロナウイルス感染拡大により、特例措置の内容も状況に応じて変更されています。申請様式や要件が変わる場合もあります。

「せっかく時間をかけて書類を作成したのに、新しい要件に該当しなかった」と貴重な時間を無駄にしないよう、厚労省のホームページ等で常に最新の情報を入手してください。社労士を利用すると情報収集の手間も省けます。

準備は早めに

申請スケジュール確認のカレンダー

必要な書類は早めに揃えておき、すぐに申請できる体制にしておきましょう。

雇用調整助成金の申請期限は、判定基礎期間の末日の翌日から数えて2カ月以内です。助成金の受給前に従業員に休業手当を支払わなければならないため、受給時期が遅れると資金繰りが困難になる可能性もあります。

雇用調整助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

おまかせイメージ

雇用調整助成金は、支給した休業手当が最大で100%助成される有益な助成金です。解雇という選択肢を取らずに従業員の生活を守り、優秀な人材の流出を防ぐことができます。

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当社Bricks&UKは蓄積した知識や経験をもとに確実で迅速な受給を目指します。LINEやビデオ通話を使った打ち合わせも可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

社労士からのコメント 令和3年6月17日に、雇用調整助成金は5月以降の特例措置を8月末まで延長する予定であることが公表されました。 緊急事態宣言は沖縄県を除いて解除され、飲食店での酒類の提供も始まりましたが、まだまだ時短要請により休業を余儀なくされている事業者は多数です。 雇用調整助成金の申請なら、Bricks&UKにお任せください。

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四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

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