【2025年】小規模事業者持続化補助金(一般型)のスケジュールや要件を解説

2025.05.07

小規模事業者持続化補助金2025

2025年3月、小規模事業者持続化補助金の一般型の第17回公募要領が公開されました。公募申請の受付は、5月1日に開始されます。

2024年度の一般型(第16回)では、申請が7,131件、そのうち2,741件が採択されています。採択率は約37%と簡単ではないため、申請するなら公募要領をしっかりと理解した上で準備しなくてはなりません。

この記事では、2025年の小規模事業者持続化補助金について、公表されている公募要領をもとに主に一般型・通常枠の対象者やスケジュール、要件をわかりやすく説明します。

小規模事業者持続化補助金とは

まずは制度の概要を簡単に見ておきましょう。

持続化補助金の概要

2025年小規模事業者持続化補助金の概要

小規模事業者持続化補助金(以下、「持続化補助金」)は、事業の維持・発展を目指し販路開拓に取り組む小規模事業者を支援する制度です。

チラシの制作費用やウェブ広告の費用、店舗をバリアフリーにするための改装費用など、販路開拓やそれと同時に取り組む生産性向上に要した経費の一部が補助されます。

ただし申請には、自ら作る経営計画にもとづいて販路開拓に取り組むこと、商工会・商工会議所の支援を受けることなど、さまざまな要件があります。

申請の大まかな流れ

持続化補助金の申請の流れ

補助金を受けるには、まずは取り組みを実施する前に申請書類を提出し、「採択」されることが必要です。

その後、見積書などを提出して「交付決定」を受けてから、取り組みを開始します。取り組みが終了したら実績報告書や経理書類を提出。その内容で補助金額が確定、交付されます。

補助金が交付された後、補助事業の終了後から1年後の状況について「事業効果報告書」を提出する必要もあります。

2025年度の申請枠・類型

2025年の持続化補助金の申請枠と類型

持続化補助金には、一般型・通常枠のほか、社会情勢などに合わせた特別枠、対象者を限定した類型が設けられています。

2025年度は、次の5つの枠・類型で申請が可能です。

申請枠・類型対象
一般型通常枠
(第17回)
販路の開拓や業務効率化に向けた取り組み
災害支援枠
(第6回)
能登半島地震・豪雨の被災事業者
創業型(第1回)創業3年以内の事業主
共同・協業型(第1回)複数の事業者が連携して行う取り組み
ビジネスコミュニティ型(第8回)地域の若手経営者または女性経営者グループ(商工会などの内部組織)

この記事では、この中から活用事例の多い一般型・通常枠について解説します。

このほか人気のものづくり補助金について解説した記事もあります。お役立てください。

ものづくり補助金2025(19次)の対象は?条件やスケジュールなどわかりやすく解説

通常枠の対象となる事業者・ならない事業者

まずは、通常枠の対象となる事業者の条件を見ておきましょう。

通常枠で補助対象となる事業者

持続化補助金の対象は「小規模事業者」です。この制度でいう小規模事業者とは、中小企業基本法に基づき区分された、従業員が5人以下(商業・サービス業)または20人以下(製造業その他の業種)の事業者を指します。

会社などいわゆる「営利法人」のほか、個人事業主(商工業者に限る)、税法上の収益事業を行うNPO法人なども対象です。

通常枠の補助対象とならない事業者

小規模であっても、次に当てはまる事業者は対象となりません。

  • 医師や歯科医師、助産師
  • 医療・宗教・学校法人など非営利の団体
  • 申請日時点で開業していない人

また、次のいずれかに当てはまる場合、小規模事業者とは見なされず対象外となります。

  • 資本金5億円以上の企業の100%子会社
  • 直近3年分の課税所得の平均が15億円超

このほか、過去の持続化補助金で「卒業枠」の採択を受けて補助事業を行った場合や、創業型の第1回公募に申請している場合も対象外です。

通常型の補助対象となる事業・ならない事業

持続化補助金の対象となる事業。ならない事業

販路開拓のための取り組みでも、補助対象となる場合とならない場合があるので注意が必要です。

通常型の補助対象となる事業

持続化補助金の対象となるには、次の3つすべてに当てはまる事業(取り組み)を行う必要があります。

  • 自ら立てた経営計画に基づいて行う販路開拓などの取り組み、もしくはそれに合わせて行う業務効率化の取り組み
  • 商工会・商工会議所の支援を受けて実施する取り組み
  • 補助事業実施期間内に終了する取り組み

商工会または商工会議所に事業支援計画書を発行してもらうことや、取り組みに関してアドバイスをもらうことも要件の1つです。

とはいえ、商工会などの会員である必要はありません

補助事業実施期間とは、第17回の場合、交付決定がなされる2025年8月頃から2026年7月31日までの期間を指します。

通常型の補助対象とならない事業

次のうち1つでも当てはまる場合には、通常枠の対象になりません。

  • 国による他の補助金や保険制度が適用されている事業
  • 事業終了後、1年以内に売上につながる見込みがない事業
  • 公的な支援を行うのに不適切と見なされる事業
  • 新たな取り組みが1次産業に該当するもの

同一の取り組みについて、他の補助金などと重複して受け取ることはできません。たとえば、介護保険制度による介護報酬が適用となるデイサービスなども、補助の対象外です。

「1年以内に売上につながる見込みがない」とは、たとえば試作品を開発する段階であり、実際に商品を作って売上を得るまでに1年以上の期間がかかる場合などが当てはまります。

「公的な支援を行うのに不適切と見なされる事業」には、マージャンやパチンコ、ゲームセンターといった事業や、性風俗関連特殊営業などが含まれます。

一般企業が新たに1次産業である農業、林業、漁業に進出したり、農業法人が別の作物を作り始めたりするケースも、持続化補助金の交付対象となりません。

通常枠の補助対象となる経費・ならない経費

補助金の計算は、「補助対象となる経費 × 補助率」で算出します。

補助対象となる取り組み中に支払った費用でも、補助対象経費として認められないものがあるので注意が必要です。

補助対象となる経費

次のすべてに当てはまる経費が補助対象となります。

  • 経営計画」に基づいて実施する取り組みの経費
  • 補助対象事業への必要性を明確に特定できる経費
  • 交付決定日以降に発生した経費
  • 補助事業期間中に支払を完了した経費
  • 証憑などで支払金額が確認できる経費

交付決定前に契約したり支払ったりした経費、あるいはクレジットカードなど翌月払いで補助事業期間中に支払いが完了しなかった経費などは対象となりません。

補助対象となる経費の種類と具体例

対象経費は、次のいずれかに当てはまる必要もあります。

経費概要
機械装置等費事業に必要な機械装置などの購入費用
広報費パンフレットやポスターなどの作成費用、広報媒体の活用費用
例:チラシやカタログの外注費用、新聞広告の出稿、販促品の製作、デジタルサイネージへの掲載など
ウェブサイト関連費販路開拓のためのウェブサイトやECサイト、システムなどの開発、構築、更新、改修、運用経費
 
例:インターネット広告、バナー広告の実施、商品販売のための動画やウェブサイトの作成、SNSの運用にかかる経費など
展示会等出展費新商品を展示会に出展したり商談会に参加したりするための経費(オンラインによるものを含む)
 
例:出展料、通訳・翻訳料など
旅費販路開拓のための出張や移動のための経費
 
例:宿泊代、バス・電車・新幹線・航空券代、航空保険料、出入国税など
新商品開発費新商品の試作や包装パッケージの試作に伴う原材料、設計デザイン、製造、改良、加工の経費
 
例:試作品用の原材料費(使い切った分)、新たな包装パッケージのデザイン費用など
借料事業に必要な機器・設備などのリース・レンタル料
 
例:商品やサービスのPRイベントのために借りる会場の費用など
委託・外注費上記のいずれにも該当しない経費であり、事業に必要な業務の一部を第三者に委託するための費用
 
例:店舗の改装工事、トイレのバリアフリー工事、生産強化のためのガス・水道工事、移動販売のための車両の内装・改造など

ただし「ウェブサイト関連費」は他の経費と合わせての申請が必要です。単独での申請はできません。

補助対象とならない経費

次のような費用は支払ったとしても経費として認められず、補助の対象外となります。

  • 国による他の制度で助成を受けているもの
    (障害福祉サービス、介護報酬が適用されるサービス、保険診療で使う機械など)
  • 通常の事業活動に関する費用
    (老朽化した機械の買い替え、応接室や従業員用の備品など)
  • 販売や有償レンタルが目的の製品の生産・調達にかかる費用
    (塾で使う有料教材の制作、レンタル会社によるレンタル用機材の購入、電子書籍の出版費用など)
  • 他社のための費用
    (他社製品を宣伝するためのもの、他社への寄付や協賛など)
  • 自動車などの車両
    (フォークリフトやキッチンカー、除雪車などを含む)
  • 1取引あたり10万円(税抜)を超える現金での支払い
  • クラウドファンディングで発生する手数料(返礼品などを含む)

その他、見積書や領収書など証拠資料が提出できないものや、自社内あるいはフランチャイズ本部からの購入品、開業していない個人からの買い取り、銀行の振込手数料や人件費なども対象外です。

一般型・通常枠(第17回)の補助率・補助上限額

第17回公募の補助内容は、次のとおりです。特例の要件を満たせば、最大250万円が補助されます。

補助率補助対象経費の3分の2
※下記の賃金引上げ特例のうち
赤字事業者の場合は4分の3
補助上限50万円
インボイス特例50万円を上乗せ
賃金引上げ特例150万円を上乗せ
上記特例要件を共に満たす場合200万円を上乗せ

補助対象となる経費に補助率をかけた額が、補助金額となります。

特例についても見ていきましょう。

インボイス特例とは

インボイス特例とは、次のいずれかに当てはまる場合に補助額が50万円上乗せされる特例です。

  • 2021年9月30日~2023年9月30日の課税期間で、一度でも免税事業者だったこと、または免税事業者であることが見込まれる事業者
  • 2023年10月1日以降に創業し、インボイス登録を受けた事業者

ただし、インボイス特例を申請し、要件を満たさないと見なされた場合、上乗せがなくなるだけでなく、補助金自体が対象外となるので注意が必要です。

賃金引上げ特例とは

賃金引上げ特例は、次のどちらにも当てはまる場合に150万円が上乗せされる特例です。

  • 補助事業の終了時点で、事業場内最低賃金が申請時の事業内最低賃金より50円以上高い
  • 申請時点および補助事業終了時点で、支給する事業場内最低賃金の額が地域別最低賃金以上であること

ただしこの特例も、要件を満たさなければ上乗せ分だけでなく補助金全体が対象外となります。

赤字事業者に対する補助率の優遇

賃金引上げ特例に申請する事業主のうち、直近の1期または1年間の課税所得がゼロ以下の場合は、補助率3分の2のところ、4分の3と優遇されます。

通常枠の公募スケジュールと申請の流れ

補助金は、決まった段階を経て申請などを行う必要があり、締切を守れなかったり書類を提出しなかったりすると交付されないので注意が必要です。

通常枠の公募スケジュールと、申請の流れを説明します。

一般型・通常枠の公募スケジュール

一般型・通常枠の公募期間は、次のとおりです。

申請受付開始2025年5月1日(木)
事業支援計画書発行の受付締切
(※)
2025年6月3日(火)
申請受付締切2025年6月13日(金)
17:00
※商工会または商工会議所への発行依頼が必要

申請の流れは次に紹介しますが、商工会や商工会議所への「事業支援計画書」の発行依頼は、申請受付の締切日以降は一切認められないので要注意です。

一般型の申請の流れ

持続化補助金(一般型)の申請は、次のように進めます。受付は電子申請システムのみで行われるため、まずはそれに必要な行政サービス「Gビズ」のアカウント取得から始める必要があります。

  • 1)「GビズIDプライム」のアカウントを取得
  • 2)管轄の商工会または商工会議所に「事業支援計画書」の発行を依頼
  • 3)補助金事務局に申請書類を送付(電子申請)
  • 4)事務局による審査→採択または不採択の決定

採択の結果は、受付締切から約2~3カ月後に公表・通知されます。

  • 5)見積書などの提出
  • 6)事務局による審査→交付決定

採択の決定後、さらに見積書等の審査を経て、補助金の交付決定がなされます。事務局より交付決定通知が届いてから、補助対象となる取り組みを始めます。

  • 7)補助事業の実施
  • 8)実績報告書の提出
  • 9)事務局による確認→補助金額の確定

補助金額が決定したら、改めて交付申請を行います。

  • 10)補助金の請求→交付
  • 11)事業効果報告書の提出

補助金を受け取った後も事業効果報告書を提出しなくてはならないことに注意が必要です。補助事業を終えて1年後の状況について、期限までに報告書を出さねばなりません。

知らないとまずい!持続化補助金の基本ルール

持続化補助金の申請時に押さえておくべき基本ルール

最後に、持続化補助金を申請するなら知っておくべき基本的なルールを解説します。知らないと補助金の対象とならなかったり、返還が必要となったりするので押さえておきましょう。

  • 補助金がおりるのは経費の支払い後
  • 交付決定前の発注・支払いは対象外
  • 期限を過ぎた支払いも対象外
  • 経費は他と明確に分けて処理
  • 経費は銀行振込での支払いが原則
  • 100万円超は相見積もりが必須
  • 交付後は状況報告書の提出が必須

それぞれ説明します。

補助金がおりるのは経費の支払い後

持続化補助金に限らず、補助金や助成金はいわゆる「後払い」です。補助金を使って事業を行うというのではなく、まずは自社で必要な額を支出する必要があります。

また、受け取れるのは対象経費に補助率をかけた額であり、支払った経費の全額が補助金でまかなえるわけではないことにも注意が必要です。

交付決定前の発注・支払いは対象外

持続化補助金の申請時の注意点

補助対象となる経費に含まれるものでも、交付決定より前に発注や契約、支払いなどをしてしまうと補助の対象外となるので注意が必要です。

「納品までに時間がかかるから、あらかじめ発注しておきたい」というケースでも、発注は交付決定通知に記載された「交付決定日」以降にしなくてはなりません。

期間を過ぎた支払いも対象外

持続化補助金の申請時の注意点

経費の支払いについては、「補助事業実施期限」までに完了している必要もあります。

第17回の事業実施期限は2026年7月31日です。たとえばクレジットカードで支払い、翌月の引き落としが期限を過ぎている場合には、補助対象から外れてしまいます。分割払いやリボ払いも同様です。

経費は他と明確に分けて処理

補助事業に要した経費は、見積書や請求書、領収書などすべての証拠書類と帳簿を揃えるほか、他の事業とは明確に区分して経理処理(区分経理)する必要があります。

補助事業のためだけに必要とした経費であることが証明できないと、補助対象にはなりません。

経費の支払いは「銀行振込」が原則

持続化補助金の申請時の注意点

補助対象経費の支払いは、原則として銀行振込でなくてはなりません。小切手や手形、相殺による支払いは補助の対象外です。

また、1取引につき10万円を超える現金支払いは不可となっています。

クレジットカードでの支払いは、事業者名義のカード、かつ前述のように補助事業期間内に支払いが完了している場合のみ対象となります。

100万円超の支払いは相見積もりが必須

持続化補助金の注意事項

発注総額が100万円を超えるものについては。2者以上から見積もりを取り、より安い発注先を選ぶこととされています。

見積もりを取るのが性質上難しい場合は、その発注先と契約する理由を書いた文書を、採択の発表後・交付決定までの間に提出する必要があります。

ちなみに、中古品の購入は金額にかかわらず2者以上からの見積もりが必須です。
理由書があっても、相見積もり以外は対象外となります。

補助金交付後の状況報告書の提出も必須

持続化補助金申請の注意点

補助金が交付されればそれで終わったような気もしますが、補助金を交付されたその後の状況や効果についても報告する義務があります。

この報告書を出さないと、交付決定が取り消しとなり、補助金の全部または一部の返還が必要となるだけでなく、加算金も支払うことになります。

また、未提出の場合、別の補助金を申請する際に大幅な減点とされてしまいます。

持続化補助金のご相談もBricks&UKが承ります!

持続化補助金のご相談もBricks&UKが承ります!

持続化補助金は、直近の採択率が30~40%ほどとなっています。採択されてからも審査などがあり、簡単には受け取れません。

そのため、経営計画を立てたり補助事業の内容を決めたりといった準備は入念にする必要があります。スケジュール管理を徹底し、必要書類を不備なく揃えることも重要です。

これらすべてを抜かりなく行うには、商工会・商工会議所に相談するだけでなく、補助金に精通した専門家にサポートしてもらうのがおすすめです。


当サイトを運営する「社会保険労務士事務所Bricks&UK」は、グループ企業であり補助金申請の実績も多い「税理士法人Bricks&UK」と提携し、補助金申請に関するご相談も承っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修者からのコメント 持続化補助金は、創業したばかりの事業者様にも使いやすい補助金の1つとなっています。
他の補助金と比べて補助金額が大きい訳ではございませんが、要件が比較的簡易なため、人気は高いです。

初めて補助金を申請するという方にもオススメの制度ですので、申請をお考えの方はぜひご相談ください。

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