【2024年秋】個人事業主が使える助成金・補助金制度一覧

2021.03.17

2024.11.01

助成金を期待する個人事業主

事業には資金調達が不可欠です。経営者仲間からいろいろな助成金・補助金の話を耳にするものの、個人事業主にも使えるのかどうかがわからない、使える制度には何があるのか知りたい、という人も多いのではないでしょうか。

この記事では、個人事業主が受給できる国からのお金を、補助金と助成金とで分けて紹介し最後に、実はあまり知られていない「補助金と助成金の違い」や個人事業主が申請する場合の注意点、制度活用のポイントもお伝えします。

ただし情報は令和6年11月現在のものであり、制度や金額などが変わる可能性があります。申請の際は必ず最新情報を確認してください。

個人事業主が受給できる補助金一覧

個人事業主が使える補助金一覧リスト

個人事業主が受給できる補助金には、次のようなものがあります。

補助金の種類補助対象となる取り組み
ものづくり補助金生産性の向上につながる革新的なサービスや試作品の開発、生産プロセスの改善
IT導入補助金経営課題を解決するためのITツールの導入
小規模事業者持続化補助金持続的な経営のための販路開拓、業務効率化
事業再構築補助金ポストコロナに対応するための新市場への進出、事業転換な

それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。

ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は、正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という制度です。製造業でなくても申請できます。

働き方改革やインボイス制度の導入、最低賃金の引き上げなど、社会のさまざまな変化に対応すべく取り組む小規模事業者や中小企業事業主が補助の対象です。

この記事では最新の第18次締切分の内容を紹介します。

補助内容

補助率(支給対象経費の)
最大3分の2
補助上限額最大1億円

補助上限額は、申請する枠・類型や従業員数などにより異なります。

基本要件

補助を受けるための基本要件は、次のようなことです。

  • 革新的なサービスの開発や試作品の開発、生産プロセスの改善による、付加価値額や給与支給総額、事業内最低賃金の一定以上の引き上げ・増加を含めた事業計画の作成と実行

支援の枠・類型

次のいずれかの枠で応募します。

  • 省力化(オーダーメイド枠)
  • 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型/成長分野進出類型)
  • グローバル枠

補助対象となる経費

計画の実行にともない支払った、次のような経費が補助の対象です。

  • 機械装置・システム構築費や技術導入費、外注費など

IT導入補助金

IT導入の一例である非接触レジ

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が経営課題を解決するためのITツールを導入する場合に対象となる補助金です。
この記事では、IT導入補助金2024の内容を紹介します。

補助内容

補助率最大2分の1
補助上限額・1プロセス以上で5万円以上150万円未満
・4プロセス以上で150万円以上450万円以下

補助上限額は、導入するITツールが活用できる業務プロセスの数によって異なります。業務プロセスとは、たとえば「顧客対応・販売支援」や「決済・債権債務・資金回収管理」などを指します。

基本要件

次のような取り組みで補助が受けられます。

  • 事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入による、労働生産性の向上を含めた事業計画の作成と実行

支援の枠・類型

ITツール導入の目的に合う枠・類型で申請します。

  • 通常枠
  • インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • 複数社連携IT導入枠

ただし「複数社連携IT導入枠」は、商工会議所や商業活性化やまちづくりの団体や企業、複数企業が構成するコンソーシアム(共同体)などが補助対象です。個人事業主単独での申請はできません。

補助対象となる経費

次のような経費が補助の対象です。

  • ソフトウェアの購入費、クラウド利用料(最大2年)、機能拡張やデータ連携、セキュリティ関連のツール、導入コンサルティング、保守サポートなど

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、「持続化補助金」とも呼ばれ、その名の通り小規模事業者の持続的な経営を支援する補助金です。

この記事では、第16回公募の内容について紹介します。

補助内容

補助率3分の2(赤字事業者は4分の3)
補助上限額50万円(通常枠)
または200万円(その他の枠)
インボイス特例で50万円上乗せ

基本要件

補助の基本要件は次のような取り組みです。

自社の経営を見直し、持続的な経営を可能にするための経営計画を立てた上での販路開拓や生産性向上の取り組み

支援の枠・類型

申請は取り組みに応じた枠で行います。

  • 通常枠
  • 賃金引上げ枠
  • 卒業枠
  • 後継者支援枠
  • 創業枠

補助対象となる経費

計画実行に要した次のような費用が補助の対象となります。

  • 機械装置などの購入費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出張費など

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、いまだ新型コロナの影響を受ける事業主が、ポストコロナに対応するために新たな市場に進出したり、事業や業種の転換を図ったりする場合に補助を受けられる制度です。

この記事では、第12回公募の内容を紹介します。

補助内容

補助率最大3分の2
補助上限額最大5億円

補助率は、企業規模や賃上げの状況により異なります。補助上限額は、申請する枠や類型によって異なります。

基本要件

基本となる要件は次のようなことです。

  • 新市場への進出や事業転換、事業再編などにより付加価値や年平均成長率をアップさせることを含めた事業計画の作成と実行

支援の枠・類型

次のような枠・類型があります。

  • 成長分野進出枠(通常類型)
  • 成長分野進出枠(GX進出類型)
  • コロナ回復加速化枠(通常類型/最低賃金類型)
  • サプライチェーン強靭化枠

補助対象となる経費

事業に要した次のような費用が補助されます。

  • 建物の建築・改修費、機械装置・システムの構築費、技術導入費、外注費 など

個人事業主が受給できる助成金一覧

個人事業主が受給できる助成金には、次のようなものがあります。

助成金の種類主な要件・取り組み
雇用調整助成金経済的な理由による事業活動の縮小
+雇用維持を図る休業や教育訓練の実施
キャリアアップ助成金非正規雇用の従業員を正社員化、あるいは処遇改善
人材開発支援助成金職務関連の専門知識を習得するための職業訓練
人材確保等支援助成金魅力ある職場づくりのための労働環境の向上
両立支援等助成金従業員が仕事と家庭を両立できる職場環境づくり
業務改善助成金生産性の向上につながる設備投資 + 事業所内最低賃金の引き上げ
トライアル雇用助成金無期雇用への転換を前提として未経験者などを試験的に雇用
特定求職者雇用開発助成金高齢者や障害者など就職困難者の継続雇用
地域雇用開発助成金就職先が少ない特定地域での事業所開設+居住者の雇い入れ
働き方改革推進支援助成金生産性の向上 + 時間外労働の削減や有給の取得促進などに向けた環境整備

★印の助成金以外は、雇用保険に加入している従業員(被保険者)がいなくては申請できません。

それぞれの制度をもう少し詳しく見ていきましょう。

雇用調整助成金

「雇用調整助成金」は、景気の悪化や競合の出現などにより売上などが大幅に減少したにもかかわらず、従業員の雇用維持を図った事業主を対象とする助成金です。

コロナ禍では特例措置が設けられ、多くの企業が利用しました。

主な要件

次のいずれにも当てはまる必要があります。

  • 経済的な理由により、売上や生産量が低下した
  • 従業員を解雇せず、休業または出向、教育訓練のいずれかを実施した

対象となる経費

  • 休業手当の額または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向元事業主の賃金負担額

これに下表の助成率をかけた額が受給額となります。

助成内容

助成率や助成の上限などは次のとおりです。

助成率最大3分の2
助成上限額1人1日あたり8,635円
(雇用保険基本手当日額の最高額)
支給限度日数1年間で100日分、3年で150日分
※出向は最長1年
※個人事業主(中小企業等)に対する助成内容のみを表示

助成率と加算額は、教育訓練の実施率により異なります。教育訓練を実施した場合には、支給額への加算もあります。

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期雇用や短時間労働の従業員、派遣社員などに対し、正社員への転換や処遇の改善を行った事業主を対象とする助成金です。

対象によって要件の異なる複数のコースが設けられています。

助成コースと主な要件

コースごとの主な要件は次の通りです。

コース名主な要件
(対象となる取り組み)
正社員化コース非正規雇用から正社員への転換
障害者正社員化コース障害のある非正規雇用労働者を正社員に転換
賃金規定等改定コース有期雇用の賃金規定を改定し、基本給を3%以上アップ
賃金規定等共通化コース非正規・正規に共通する賃金規定等を新たに規定、適用
賞与・退職金制度導入コース有期雇用もボーナスや退職金制度の対象にする制度の導入、支給または積立の開始
社会保険適用時処遇改善コース有期雇用の従業員を新たに社会保険に適用、かつ手当や賃上げなどにより収入を増加
もしくは、週の所定労働時間を延長して社会保険に適用

助成内容

助成額や支給方法はコースによって大きく異なります。この記事では、キャリアアップ助成金で最も活用されている「正社員化コース」の助成内容を紹介します。

助成額は1人あたり一律の額で、次のとおり決まっています。

対象となる取り組み助成額
有期雇用→正規雇用最大80万円
無期雇用→正規雇用最大40万円
※個人事業主(中小企業等)に対する助成内容のみを表示

この他、対象者に応じた加算もあります。たとえば派遣労働者を正社員として直接雇用した場合、1人あたり28.5万円の加算です。

人材開発支援助成金

「人材開発支援助成金」は、従業員の育成やスキルアップにつながる職業訓練を実施し、訓練費用や期間中の賃金を負担した事業主を対象とする助成金です。

対象によって要件の異なる複数のコースが設けられています。

助成コースと主な要件

コースごとの主な要件は次のとおりです。

コース名主な要件
(対象となる取り組み・訓練)
人材育成支援コース・職務に関連した10時間以上のOFF-JT
・厚労省の認定を受けたOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
・正社員化を目的とするOJTとOFF-JTの組み合わせ訓練
教育訓練休暇等付与コース有給での教育訓練等のための休暇制度を導入、休暇の取得と訓練の受講
人への投資促進コース・デジタル人材、高度人材を育成する訓練
・労働者が自発的に受講した訓練
・定額制(サブスクリプション型)の訓練
事業展開等リスキリング支援コース新規事業立ち上げなどに伴い、新たな分野で必要となる知識・技能習得のための訓練
建設労働者認定訓練コース・建設関連の認定職業訓練または指導員訓練を実施
・建設労働者に有給で受講させる認定訓練
建設労働者技能実習コース雇用する建設労働者に有給で受講させる技能向上の実習

障害者に対して職業訓練を行うための施設の設置やその能力開発訓練事業を行う場合には、この助成金のコースから独立行政法人に制度を移管した「障害者能力開発助成金」を申請できる可能性があります。

助成内容

訓練にかかった費用と、訓練期間中に従業員に支払った賃金額の一部が助成されます。この記事では、個人事業主が活用しやすい「人材育成支援コース」について紹介します。

助成の種類助成額・助成率
賃金助成額
(1人1時間あたり)
760円
経費助成率最大70%
OJT実施助成額
(1人1コースあたり)
最大20万円
(人材育成訓練は除く)
※個人事業主(中小企業等)に対する助成内容のみを表示

賃金について一定の要件を満たす場合、あるいは資格等手当を支払った場合には、加算も受けられます。ただし、支給には次のとおり限度もあります。

支給上限・賃金助成:1人1訓練あたり1,200時間分
・経費助成:1人あたり最大50万円
・訓練受講回数:1人あたり1年度に3回
・受給限度額: 1年度1000万円

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、人材の確保・定着を目的とし、魅力ある職場づくりを行った事業主を助成の対象としています。

対象によって要件が異なる、複数のコースがあります。

助成コースと主な要件

9つあるコースのうち、個人事業主が対象となるのは次の7つです。

コース名主な要件
(対象となる取り組み)
雇用管理制度助成コース
※令和4年度より受付停止中
諸手当・研修などの雇用管理制度の導入・実施、離職率の低下
人事評価改善等助成コース人事評価制度と賃金制度を整備、生産性の向上、賃金の引き上げ、離職率の低下
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)建設事業主による、若者や女性の入職・定着を図るための現場見学会や教育訓練などの実施
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)・建設事業主による、施工管理する建設工事現場への女性専用トイレや更衣室などの設置
・もしくは、被災4県での作業員宿舎・賃貸住宅等の設置
外国人労働者就労環境整備助成コース外国人に配慮した就労環境の整備(就業規則の多言語化)、離職率目標の達成
テレワークコーステレワークのための機器の導入、対象労働者全によるテレワークの実施、離職率目標の達成
派遣元特例コース派遣元事業主による、雇用する派遣労働者への新たな賃金制度の整備または改善

建設事業主や派遣事業主でないと対象にならないコースがあるので注意が必要です。

また、受付中止中の雇用管理制度コースについては、令和7年度より再開が予定されています。その際、人事評価改善等助成コースが当コースに統合される予定です。

助成内容

支給額や支給の方法は、各コースによって異なります。

コース助成額・助成率
雇用管理制度助成コース57万円
人事評価改善等助成コース80万円
若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース・5分の3
・研修1人1日8,550円
(最大200万円) 
作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)<女性専用施設>5分の3
(最大90万円) 
<岩手・宮城・福島>3分の2
<石川>
・作業員宿舎:建設労働者数×25万円
・賃貸住宅・作業員施設:3分の2
(被災4県の上限:賃貸住宅は月3万円、1事業年度200万円)
外国人労働者就労環境整備助成コース2分の1
(最大57万円) 
テレワークコース・機器の導入:50%
・目標達成助成:15%
(上限:1事業主100万円
または1人20万円の低い方) 
派遣元特例コース5万円+「派遣労働者数×1万円」の合計
※個人事業主(中小企業等)に対する助成内容のみを表示

コースによっては、賃金要件を満たした場合に加算も受けられます。

両立支援等助成金

「両立支援等助成金」では、仕事と育児・介護などが両立しやすい職場環境を作った場合に助成が受けられます。

支給要件の異なる複数のコースがあります。

助成コースと主な要件

コースごとの主な要件は次のとおりです。

コース名主な要件(対象となる取り組み)
出生時両立支援コース
(子育てパパ支援助成金)
男性労働者が育児休業を取りやすくする環境・体制の整備、育休取得率のアップ
介護離職防止支援コーススムーズな介護休業の取得と職場復帰のための制度導入や体制の整備
育児休業等支援コーススムーズな育休の取得と職場復帰のための体制の整備
育休中等業務代替支援コース業務を代替する労働者への手当支給や新規雇用の実施
柔軟な働き方選択制度等支援コース育児中の柔軟な働き方を可能にする複数の制度の導入
不妊治療両立支援コース不妊治療のための休暇制度、両立支援制度の導入

いずれのコースも、制度の導入や体制の整備を行うだけでなく、実際に制度が利用されることも要件となっています。

助成内容

助成額や支給の方法は各コースによって異なります。

コース名助成率・助成額
出生時両立支援コース
(子育てパパ支援助成金)
育休取得:最大20万円
育休率アップ:最大60万円
介護離職防止支援コース介護休業取得:30万円
職場復帰:30万円 など
育児休業等支援コース育休取得時:30万円
職場復帰時:30万円
育休中等業務代替支援コース最大125万円
柔軟な働き方選択制度等支援コース最大25万円
不妊治療両立支援コース30万円

コースによっては、取り組み内容に応じた加算も設けられています。

業務改善助成金

「業務改善助成金」は、事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、かつ設備投資を行い、生産性の向上を図った事業主を助成する制度です。

ただし、もともとの事業場内最低賃金と地域別最低賃金との差額が50円以内でなくては対象となりません。

主な要件

助成を受けるには、次の両方を満たすことが必要です。

  • 機械設備や教育訓練、コンサルティングの導入など生産性向上につながる取り組みの実行
  • 事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げ

助成内容

助成額は、設備投資やコンサルティングにかかった費用に対し、引き上げ後の最低賃金額に応じた助成率をかけて計算します。

事業場内最低賃金の額助成率
900円未満10分の9
900円以上950円未満5分の4
950円以上4分の3

900円以上で生産性要件を満たした場合には、助成率の引き上げもあります。

トライアル雇用助成金

「トライアル雇用助成金」は、経験やスキルなどの不足で就職困難な人を受け入れる事業主を対象とする助成金です。

主な要件

助成には次のような要件があります。

  • 次のような人の試験的な雇い入れ
    • 過去2年以内で2回以上離転職を繰り返している
    • 離職期間が1年以上
    • 母子家庭の母、父子家庭の父、生活保護受給者 など
  • 無期雇用契約への移行を前提とした3カ月間の試験的な雇い入れ
  • ハローワークの紹介による雇い入れ

助成内容

支給額・助成期間
月額最大4万円
最長3カ月

対象者が母子家庭の母等や父子家庭の父の場合は、月額最大5万円に引き上げられます。

特定求職者雇用開発助成金

「特定求職者雇用開発助成金」は、高齢や障害など特定の事情により就職が困難な人を雇い入れる事業主を支援する助成金です。

対象者によって異なる複数のコースがあります。

助成コースと主な要件

各コースとも、対象となる労働者をハローワーク等の紹介で雇い入れた場合に対象となります。コースごとの対象者は次のとおりです。

コース名雇い入れの対象など
特定就職困難者コース高年齢者、障害者、母子家庭の母など
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース発達障害者または難治性疾患の患者
就職氷河期世代安定雇用実現コース十分なキャリア形成ができず正規雇用が困難となっている氷河期世代
生活保護受給者等雇用開発コース自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者
成長分野等人材確保・育成コース上記の対象者を成長分野等の業務に就かせる、または未経験の業務に雇い入れ、訓練を実施

助成内容

各コースの助成額は次のとおりです。

コース名助成額など
特定就職困難者コース最大240万円
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース最大120万円
就職氷河期世代安定雇用実現コース60万円
生活保護受給者等雇用開発コース最大60万円
成長分野等人材確保・育成コース最大360万円
※個人事業主(中小企業等)に対する助成内容のみを表示

助成額は、雇い入れる労働者の区分や、短時間労働か否かによって異なります。

地域雇用開発助成金

「地域雇用開発助成金」は、雇用機会が特に少ない地域に事業所を設置または整備し、地域に住む人を雇用した事業主を対象とする助成金です。

主な要件

この助成金は、最大3回受給ができます。主な要件は次のとおりです。

【1回目】
  • 対象となる地域にて事業所の施設・設備を設置・整備
    (1点あたり20万円以上、合計300万円以上)
  • ハローワークからの紹介による地域居住の求職者の雇い入れ
  • 取り組み完了日における被保険者の増加

雇い入れの人数、増加人数は、いずれも3人以上(創業時は2人以上)が必要です。

【2回目・3回目】
  • 被保険者数の維持
  • 対象労働者数の維持
  • 対象労働者の職場への定着
    (離職者の数が対象労働者数の半分または3人以下)

助成内容

受給額は、事業所の設置・整備にかかった費用の額と労働者の増加人数に応じて異なります。

助成額1回目:最大1200万円
(創業時は最大1600万円)
2・3回目:最大800万円
支給回数最大3回

働き方改革推進支援助成金

「働き方改革推進支援助成金」は、生産性を高めつつ労働時間の削減などを図る事業主を支援するものです。対象となる取り組みに応じて、複数のコースがあります。

助成コース・主な要件

働き方改革推進支援助成金で個人事業主が対象となるのは、次の3つのコースです。

コース名主な要件(対象となる取り組み)
業種別課題対応コース生産性の向上と時間外労働の削減や週休2日制の推進、勤務間インターバル制度の導入など
※対象業種:建設業、運送業、病院等、鹿児島・沖縄の砂糖製造業
労働時間短縮・年休促進支援コース生産性の向上と、時間外労働の削減、有休・特別休暇の取得がしやすい環境の整備
勤務間インターバル導入コース勤務終了後に一定以上の休息時間を設け、労働者の生活や睡眠の時間を確保する「勤務間インターバル制度」を導入

助成内容

各コースの助成内容は次のとおりです。

コース名助成内容
業種別課題対応コース次のうちいずれか低い方の額
・成果目標の上限額+賃金加算額
・対象経費×補助率4分の3または5分の4
労働時間短縮・年休促進支援コース次のうちいずれか低い方の額
・成果目標の上限額+賃金加算額
・対象経費×助成率4分の3または5分の4
勤務間インターバル導入コース補助率4分の3または5分の4
(上限あり)

補助率や上限額は、従業員数や取り組みの内容・数、要した経費の額や賃金引き上げ率などによって異なります。

実はあいまい?補助金・助成金の違いとは

補助金と助成金の違い

ここで改めて、補助金と助成金の違いを見ておきましょう。

事業主が国からお金を受け取れる制度には、「補助金」や「助成金」など複数の名称があります。しかし、法などの明確な定義はありません

そのため、大まかな違いはあるものの、区別なく使われているケースもあります。
共通する特徴と、それぞれの違いを解説します。

共通する特徴

補助金、助成金とも、国や地方自治体などからもらえるお金です。

融資やローンなどと異なり、返済の必要はありません。とはいえ、申請や受給には要件があり、誰もが受け取れるものでもありません。

受けるにはまず、各制度の要件を満たす必要があります。制度の目的に応じた事業の計画を立てた上で、設備投資や賃金引き上げといった補助・支給要件を満たす取り組みを実施する必要があります。

その取り組みにかかった費用や支払った賃金などに応じて、申請した事業主に補助金・助成金が支払われる仕組みです。

どちらも後払いのため、いったんは自己負担が必要です。全額がカバーされるわけではなく、あくまで補助・助成であることにも注意が必要です。

それぞれの特徴を比較

補助金と助成金には、次のような違いもあります。

項目補助金助成金
対象となる取り組み事業展開、事業拡大
など
雇用・労働環境の改善
など
所轄省庁経済産業省厚生労働省
申請受付期間一定の公募期間内通年(予算終了まで)
受給の難易度
※申請要件を満たした上で、採択されなくてはならない
低~中
※申請要件を満たせば、高い確率で受給できる
申請代行できる専門家税理士、行政書士など社会保険労務士のみ

あくまで大まかな区分であり、該当しないケースもあります。また、支給(補助)の要件や申請から受給までの手続きの流れなどは、各制度で大きく異なります。

国から支給されるお金には「給付金」もありますが、補助金や助成金のように「要した費用に対する補助」という性質のものではなく、個人向けの生活支援等に多く用いられる傾向です。

個人事業主における注意点

補助金・助成金で個人事業主が注意すべきこと

多くの補助金・助成金は、中小企業や小規模事業者を対象としています。個人事業主もその中に入ります。しかし助成金に関しては、注意しておきたいことが2つあります。

  • 助成金は家族以外の従業員がいないと対象外
  • 助成金の受給には就業規則等の作成・整備が必要

それぞれ詳しく説明します。

従業員がいないと対象外

助成金を受け取るには従業員がいる必要がある

厚 労省の助成金は、労働保険(労災保険・雇用保険)に加入していないと受給できません。労働保険は、従業員を1人でも雇うと加入義務が生じます。

つまり受給には、従業員を1人以上雇っていることが必須です。また、支給対象となる従業員は、雇用保険の被保険者に限ります。

同居の親族は、原則として従業員には該当せず、雇用保険の被保険者とはなりません。個人事業主自身も同様です。

従業員がいても、学生や勤務が週20時間未満の人などは雇用保険の適用対象外であることに注意が必要です。

就業規則等の作成・整備が必要

助成金の受給には就業規則の整備が必要

助成金の受給には、就業規則等(就業規則または労働協約)が作成してあること、新たに導入した制度や改定した制度内容を明記していることも要件となっています。

労働基準法では、従業員が常時10人以上いる場合のみ、就業規則の作成と労基署への届出が義務付けられています。しかし助成金の申請では、10人未満であっても作成が必須です(届出は不要)。

就業規則の内容は、助成金の要件を満たすだけでなく、最新の法に則し、自身の状況にも合っていなくてはなりません。

インターネット上のひな形を真似ただけでは不備がある可能性も高いので、社会保険労務士の手を借りるのが得策です。

補助金や助成金の申請で押さえておくべきポイント

助成金申請思案イメージ

補助金や助成金を受給するためには、押さえておくべきポイントがあります。中でも重要なのが次の6つの項目です。

  • 最新の支給要領をしっかりと確認する
  • 補助金:事業計画書を入念に作成する
  • 助成金:就業規則等の規定を見直す
  • 期日を厳守する
  • 補助金・助成金の専門家に依頼する
  • 悪徳業者に気を付ける

最新の支給要綱をしっかりと確認する

補助金も助成金も、支給の要件を満たさなければ受給できません。また、不支給の要件に当てはまっていても支給されません。

そのため、申請にはまず支給要領を細かいところまでしっかりと確認し、自身が活用できる補助金・助成金なのか、受給には何をすべきかを把握しましょう。

また、補助金・助成金の制度は公募回や年度によって内容が改正されます。最新の情報を確認することも重要です。

【補助金】事業計画書を入念に作成する

事業計画書の作成

補助金の場合、まず取り組みに対する事業計画書を提出し、採択される必要があります。提出された数多くの事業計画書のうち、優秀な事業計画書が補助金交付の候補者として選ばれる流れです。

そのため、計画は入念に、これまでの傾向を踏まえて具体的に作成する必要があります。

個人では難しいので、税理士や中小企業診断士、金融機関などに相談するのがおすすめです。

【助成金】就業規則の規程を見直す

助成金の場合、要件を満たせば原則として受給可能です。しかし、就業規則の不備などで不支給となるケースもあるので注意が必要です。

たとえば作成当初のまま法改正に沿った改定をしていなかったり、実際にはルール化されていたものの、就業規則への明確な記載がなかったり、規程の表現が不十分だったりすると、要件を満たせず対象外となる恐れがあります。

期日を厳守する

補助金・助成金の申請の注意点

補助金も助成金も、手続きの期限は厳守しなくてはなりません。1日でも遅れると受け付けてもらえず、要件を満たしていても受給はできません。

申請の締切だけでなく、計画書の提出締切、取り組み完了や報告の締切など、段階によって期限が決められているので要注意です。

補助金・助成金の専門家に依頼する

補助金・助成金の専門家に依頼する

補助金については認定支援機関、助成金については社会保険労務士にそれぞれ依頼してサポートを受けるのが、受給への一番の近道です。

補助金の中には、認定支援機関との連携が必要な制度があります。「認定支援機関」とは、税理士や金融機関などのうち、中小企業の経営知識に長けていると認定を受けた専門家です。また、優れた事業計画書の作成にも、専門家のサポートは欠かせません。

助成金の申請でも、就業規則を整備する、計画書を作成する、すべての要件を満たす、期日を厳守するなど、やるべきことは多数あります。本業のかたわらで正確に進めるのは大変で、骨折り損にもなりかねません。

悪徳業者・不正受給に気を付ける

悪徳業者・不正受給に気を付ける

最近問題となっているのが、補助金や助成金の不正受給です。虚偽の申請をすすめる悪徳業者もいるため、だまされないように注意してください。

補助金や助成金は、国民の税金や雇用保険料などを財源に、健全な経営に取り組む事業主を支援するものです。不正受給は絶対に許されません。

不正受給の横行により、過去にさかのぼった厳しい審査が行われています。事業主名が公表されれば、信用は落ち、融資も難しくなるでしょう。支給停止や返還命令、課徴金・延滞金の処分が下るほか、悪質な場合は詐欺罪で告発されます。

個人事業主も補助金・助成金を有効活用しよう

信頼できる社会保険労務士

補助金や助成金の多くが、法人だけでなく個人事業主をも対象としています。とはいえ、申請や受給には数々の要件があり、個人で申請するのは簡単ではありません。補助金の中には、専門家との連携が必須なものも。

補助金の申請は、公募期間が決まっています。公式サイトでスケジュールをチェックするか、税理士などの専門家に相談し、最新情報を把握しておきましょう。

助成金の場合は、通年で募集していますが、秋頃には予算がなくなって終了することも。就業規則の作成・整備を含め、申請には社会保険労務士に相談することをおすすめします。

当サイトを運営する社会保険労務士事務所Bricks&UKでは、税理士法人とも提携し、補助金・助成金の申請代行やサポートが可能です。実績が豊富なため、申請のコツも心得ています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

監修者からのコメント 助成金は受給要件を満たせば、個人事業主でも受給することができます。 Bricks&UKでは個人事業主の助成金申請代行も多数実績がございます。 個人事業主の助成金申請はBricks&UKにおまかせください。

就業規則を無料で診断します

労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。

こんな方は、まずは就業規則診断をすることをおすすめします

  • 就業規則を作成してから数年たっている
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