【2022年度版】 テレワーク助成金について詳しく解説します!

2022.09.07

2022年度版テレワーク助成金

コロナ禍で一気に普及したテレワーク。関心を持ちつつも「全社員分の機器を買うだけのお金がない」「前例がなくどう進めていいかわからない」という事業主の方も多いことでしょう。

そこで活用したいのが、国による「人材確保等支援助成金」のテレワークコースです。テレワークに必要な機器や制度などを整備することで助成金が受けられます。2022年4月、この助成金の支給要領が改正されました。

助成金を受け取るためには、支給要件を満たし、適正な申請をしなくてはなりません。この記事では、2022年度の改正点を踏まえた人材確保等支援助成金のテレワークコース(テレワーク助成金)について、最新の制度内容や申請のポイントなどを解説します。

人材確保等支援助成金とは?

人材確保等支援助成金とは

人材確保等支援助成金は、労働環境の改善などにより人材の確保・定着率の向上といった雇用管理の面で一定の成果を上げた中小企業主を対象とする助成金です。

取り組み内容などにより複数のコースがあり、2022年度の人材確保等支援助成金には次の9つのコースが用意されています。

  • (a)雇用管理制度助成コース
  • (b)介護福祉機器助成コース
  • (c)中小企業団体助成コース
  • (d)人事評価改善等助成コース
  • (e)建設キャリアアップシステム等普及促進コース
  • (f)若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
  • (g)作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
  • (h)外国人労働者就労環境整備助成コース
  • (i)テレワークコース

いずれも離職率の低下や賃金の上昇、生産性を向上する取り組みに対する助成であることが特徴です。支給の要件や金額(助成率)はコースにより異なります。
また(e)(f)(g)のコースは、主に建設事業主向けです。

一方、それまであった次のコースは廃止されました。

・雇用管理制度助成コース(建設分野)
・介護・保育雇用管理制度助成コース
・設備改善等支援コース
・働き方改革支援コース

「雇用管理制度助成コース(建設分野)」は2022年3月をもって廃止されましたが、4月からは上記(e)「建設キャリアアップシステム等普及促進コース」が新設されています。

【2022年度】テレワークコースが改正されました

人材確保等支援助成金の中でも、注目されているのがテレワークコースです。まずは2022年4月1日から改正された内容を含めたポイントを見ていきましょう。

【2022年度版】テレワークコースの概要

2022年テレワーク助成金が改正されました

2022年4月1日以降、事業主がテレワークを実施しやすい職場づくりに取り組むことが義務付けられました。具体的には次のような取り組みが必要です。

  • 企業トップからのメッセージ発信・社内への呼びかけ
  • テレワーク実施促進に向けた資料の配布と社内通知
  • テレワーク事例の情報収集と社内への周知

後の章で、取り組みの例などについて紹介します。

テレワークコースの助成対象となる事業主

テレワーク助成金の対象となる事業主

テレワーク助成金の対象となるのは、次のいずれかに当てはまる事業主です。

  • テレワークを新規に導入する
  • 試行的に導入する
  • 試行的に導入していた

本格的でなく試験的に導入していた場合も対象となりますが、すでに継続して実施している場合は対象外です。

助成の種類と支給までの流れ

テレワーク助成金には、次の2種類の助成が設けられています。

助成の種類 支給の対象要件
機器等導入助成 テレワークに必要な制度や機器の導入
目的達成助成 テレワーク実施後の離職率などの数値

機器等導入助成を受けるには、まずテレワーク実施計画を作成、管轄の労働局に提出し、認定を受けます。認定後、計画に基づいてテレワークに向けた機器導入などの取り組みを実施、評価期間内にテレワークを実施しなくてはなりません。

機器等導入助成の評価期間とは、計画の認定日から6カ月を過ぎる日までの期間のうち、事業主が設定する連続3カ月の間をいいます。

支給申請は、テレワーク実施後、計画認定日から7カ月以内に行います。

目標達成助成では、機器等導入助成の評価期間の初日より1年が過ぎた日から3カ月間を「目標達成助成の評価期間」としてテレワークを実施し、その後の離職率などを算定。終了日の翌日から1カ月以内に、支給申請を行う必要があります。

ここからは、機器等導入助成に絞って解説していきます。

助成対象となる取り組みと経費の範囲

テレワーク助成金の機器等導入助成では、取り組みにかかった経費の一部が支給されます。どのような取り組みと経費が対象となるのか説明します。

テレワーク助成金の対象となる取り組み

テレワーク助成金の対象となる取り組み

機器等導入助成の対象となるのは、次の5項目の取り組みです。

  • 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
  • 外部専門家によるコンサルティング
  • テレワーク用通信機器等の導入・運用
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 従業員に対する研修

また、2021年12月からは次のようなテレワーク用のサービスの利用料も助成対象となっています。

  • リモートアクセスおよびリモートデスクトップサービス
  • 仮想デスクトップサービス
  • クラウドPBXサービス
  • web会議等に用いるコミュニケーションサービス
  • ウイルス対策およびエンドポイントセキュリティサービス

ただし、取り組みにかかった費用であれば何でも助成されるわけではないので注意が必要です。

テレワーク助成金の対象経費とは

テレワーク助成金の対象経費の条件

テレワークに向けた取り組みなどのうち、経費として計上できるのは次の条件に当てはまるもののみです。

  • 計画認定日から支給申請書の提出日までに完了した取り組みにかかった費用である
  • 計画認定日以降、支給申請書の提出までに支払いが完了している

たとえテレワークのために必要とした費用であっても、計画認定日より前に実施したテレワークや費用負担分については対象外です。

また、不動産賃料や通信回線工事費用、継続的に支払っている顧問料などは対象外。用途や単価などが確認できないものも経費にはできません。
パソコンやタブレット、スマートフォンの購入・レンタルも対象外です。

さらに、支給額には上限もあります。次の項で見ていきましょう。

助成金の支給額と取り組み内容別の上限額

テレワーク助成金の支給上限額

テレワークコースの機器等導入助成では、評価期間内にテレワークを行うことで、支給対象経費の3割、最大100万円の助成を受けられます。ただし対象労働者数が4名以下の場合は、20万円×対象人数が上限です。

また、取り組み内容によってもそれぞれの上限額が定められています。

対象となる取り組み 支給上限額
労務管理担当者への研修 110,000円
従業員への研修 110,000円
外部専門家によるコンサルティング 330,000円
就業規則・労使協定等の作成・変更 110,000円

テレワーク用通信機器の導入・運用については、何を導入したかにより異なる上限があります。

対象となる機器 支給上限額
ネットワーク機器 165,000円
サーバー機器 550,000円
NAS機器 110,000円
セキュリティ機器 330,000円
web会議関係機器 11,000円 × 対象従業員数
サテライトオフィス利用料 330,000円
テレワーク用サービス利用料

初期費用:55,000円
利用料:385,000円

導入前に上限額を確認しておきましょう。

計画書の作成から取り組み、申請までの注意点

テレワーク助成金の取り組みにかかる注意点

取り組みを行う際は、特に次の4つの点に注意をしてください。

  • 要件を満たすテレワーク実施計画書を作成すること
  • 計画書は期日までに労働局に提出すること
  • 支給申請日の時点で経費の支払いを完了させておくこと
  • 計画認定日から6カ月以内に連続3カ月間の取り組みを実施すること

それぞれどういうことか説明します。

テレワーク実施計画書の作成について

テレワーク実施計画書の作成

テレワークを実施する前に、まず計画書を管轄の都道府県労働局に提出し、認定を受ける必要があります。認定を受けるには、次の9つの要件を満たさなくてはなりません。

1) テレワークを可能にする取り組みを1つ以上行う計画である
2) 取り組みがテレワーク実施に直結、かつ従業員の職場定着を促すものである
3) 経費の見込額が適正水準で、かつ適切に計算されている
4) テレワーク実施の対象従業員1名以上を適切に指定している
5) 計画書の提出時点で、どの事業所の就業規則にもテレワークの規定がない
6) テレワーク規定の整備を、計画書の認定日以降に新たに行う計画である
7) 過去に厚労省からのテレワークに関する助成金の受給歴がない
8) 同一の経費について過去に国や自治体等から助成されていない(予定もない)
9) 従業員の離職などに関する情報を記載し、計画時離職率を算出している

(1)の「テレワークを可能にする取り組み」とは、上の対象となる取り組みの章で紹介した通信機器等の導入・運用や、労務管理担当者に関する研修などのことです。テレワークに関係のない研修などは対象となりません。

計画書の提出期限について

計画書の提出期限

計画書の提出期限は、次のうち早い方の日の1カ月前の前日までです。

提出期限は、以下のうち早いほうの日の1カ月前の前日までです。

  • テレワーク導入のための取り組みのうち最初に行うもの(専門家によるコンサルティングなど)の開始日
  • 機器等導入助成の評価期間の開始予定日

たとえばテレワーク導入に向けて初めて行うのが専門家によるコンサルティングの受講だとします。

9月10日にコンサルティングを受け、9月25日に通信機器を購入、10月1日からテレワークを開始するという予定であれば、9月9日までに計画書など必要な書類を提出しなくてはなりません

この日が労働局の休業日であれば、直前の営業日が締め切り日です。

支給申請日と費用の支払日について

テレワーク助成金の支給申請日と費用の支払日

助成金の支給申請は、労働局の認定を受けた日(計画認定日)から7カ月以内に行わなくてはなりません。また、申請には次の2つを満たす必要があります。

  • 機器の購入や納品、支払いの完了
  • テレワークの取り組みを実施し、所定の基準を満たす

支給申請日には、機器などの導入を済ませるだけでなく、支払いまで完了している必要もあるということに注意が必要です。

そして、経費の支払いは銀行振込が原則です。現金での支払いは、即時払いで10万円以下の場合のみ認められますが、領収書が必須です。

クレジットカードなど後払いの場合は、口座からの引き落としが支給申請書の提出日までに完了しなければ助成の対象になりません。

評価期間の設定と取り組み期間について

機器等購入助成を受けるには、計画認定日から6カ月間のうち連続した3カ月間を取り組み実施状況の評価期間として設定し、その間にテレワークを実行しなくてはなりません。

評価期間中に、次のどちらかの要件を満たせば申請可能です。

  • 対象労働者の全員が1回以上テレワークを行った
  • 対象労働者がテレワークを実施した回数の週平均が1回以上である

対象労働者とは、テレワークの実施計画において事業主が指定、名簿に記載した従業員のことです。

評価期間の開始日は事業主の任意で設定することができます。余裕をもったスケジュールを組みましょう。

テレワーク就業規則の規定を作成しましょう

テレワーク助成金の対象となる取り組みの1つに、「就業規則・労使協定等の作成・変更」があります。作成の際は次の点にも注意してください。

テレワーク規定の作成と施行期限

テレワーク規定の作成

テレワークに関する就業規則の整備は、計画認定日から機器等導入助成の支給申請日までの間に行わなければなりません。

計画認定日以前・支給申請後にテレワークの規定を設けたとしても助成の対象外となることに注意が必要です。

また就業規則は、評価期間(機器等導入助成)の開始日から起算して12カ月が経過するまでに施行する必要があります。

整備しただけでなく効力がある状態にする、つまり実質的な運用をしていなくてはなりません。変更・施行の日付も就業規則に記しておきましょう。

規定に盛り込むべき内容

テレワーク助成金の規定に盛り込むべき内容

機器等導入助成の助成金を受け取るためには、就業規則に「テレワーク規程」などの名称で次のような内容を規定する必要があります。

  • テレワークの定義
  • テレワーク勤務の対象者の範囲
  • テレワーク勤務を行う際の手続き
  • テレワーク勤務を行う際の留意事項

たとえば、テレワークとは具体的にどのような勤務形態を指すのか、在宅なのかサテライトオフィスを設置してそこに勤務させるのかなどを明らかにしておく必要があります。

テレワークを指示するあるいは認める従業員の条件や、その場合、申請書の提出などどういった手続きをする必要があるのか。テレワークが認められないケースなどについても記載し、トラブルが発生しないよう整備してください。

また、テレワークを実施した際に次の点で通常の勤務と異なる扱いをする場合は、どのように取り扱うのかも記載しておきます。

  • 労働時間
  • 人事評価
  • 人材育成
  • 費用負担
  • 手当

費用負担については、テレワークの実施に必要な費用を会社か当人のどちらが負担するかを明記する必要があります。当人負担とする場合は、具体的な取扱内容の明示も必要です。
通常勤務と同等の扱いならば、その旨を記載します。

就業規則の整備は専門家への依頼がおすすめ

就業規則の整備は専門家に依頼がおすすめ

決められた期間内に、就業規則の整備をするのは簡単ではありません。新たな規定を追加するだけではなく、それに伴って別の部分で変更が必要となる可能性もあります。

単に新しく記載を追加するというだけでなく、助成金の支給要件を満たす内容での規定の作成・変更が不可欠であり、同時に自社の実状に沿ったものにする必要があります。
もちろん、各種法令を遵守すべきことは言うまでもありません。

また、テレワークについては、非正規雇用だというだけで対象外とすることは避けるべき、といったガイドラインもあり、あらゆる面での配慮が必要です。

そのため、就業規則を適切に作成・変更するには外部の専門家、助成金のプロである社会保険労務士または、申請実績を持つコンサルタントのサポートを受けるのが得策です。

外部専門家による就業規則作成は、コンサルティング料として助成対象経費となります。ぜひ活用してください。

2022年度版ならではの必須事項と取り組みの例

はじめの章で触れたとおり、2022年度のテレワーク助成金では、「労働者にとってテレワークがしやすい職場風土作りの取り組みを会社が行うこと」が必須となりました。

2022年度に必須となった事項

2022年に必須となったテレワークの取り組み

具体的には、次のようなことを行う必要があります。

  • テレワーク勤務に関する社長など企業トップからのメッセージの発信や社内への呼びかけ
  • テレワークを促進するための資料の配布や社内への周知
  • テレワーク導入または実施について他社などの事例収集と社内への周知

これらは、機器等導入助成の支給申請書を労働局に提出する前日までに行っていなくてはなりません。また、一部だけでなく全従業員に対して行っている必要があります。

トップからのメッセージや社内への周知などを義務化した理由として、制度を整えても実施する労働者が少なかったという背景があります。形だけでなく、利用を促す環境づくりの取り組みが必要とされているのです。

現に、環境づくりによってテレワークをする人が急増した徳島県のケースを紹介します。

テレワークに成功した徳島県の事例

徳島県のテレワークの取り組み

徳島県庁では2020年度、在宅勤務をする人が25倍以上にも増えたと言います。コロナ禍という特殊な事情もありますが、県では急増の原因はそれだけではなく、次の2点がカギとなったと考えています。

  • 自宅のPCでも職場内LANへの接続を可能にするなど「ハード面の整備」
  • テレワーク・トライアル月間の実施などによる「職員の意識改革」

県からPCを借りなくても在宅勤務ができるようになったことや、トライアルで在宅勤務を実施した職員からメリットなどが広まったことから、在宅勤務をする人が急激に増えました。

徳島県では以前から、屋外活動の為にiPad端末を貸し出す「モバイルワーク」、出張時にも使える業務用PCを整備した「サテライトオフィス」、子育てや介護の必要な職員に向けた「在宅勤務」の枠組みを整備。

多様な働き方を受け入れるためのこうした地道な取り組みも、急速な普及につながったと考えられます。

助成金の申請ならBricks&UKにおまかせ

2022年4月、人材確保等支援助成金のテレワークコース、いわゆるテレワーク助成金が改定されました。事業主に新たに求められるのは、テレワークを可能とする枠組みづくりと同時に、自らがテレワークの推進に向けて全社員に呼びかけすることです。

テレワーク助成金の申請は、まずテレワークの導入・実施に向けた計画書を作成し、認定を受けることから始まります。就業規則に新たな規定を設けるには、表現など記載事項にも注意する必要があります。

また、助成金の申請には対象となる経費・ならない経費の把握や、取り組みの実施・支給申請期間の期日の厳守など、気を付けるべき点がいくつもあります。

テレワーク実施へ向けた準備と申請に向けた準備、どちらも行っていくには、雇用関連と助成金のプロである社会保険労務士の手を借りることが最善策と言えるでしょう。

当サイトを運営する 社労士法人Bricks&UKでは、助成金の申請実績や就業規則の整備などの実績も多く、丁寧なヒアリングをもとに手続きしてまいります。ぜひご相談ください。

監修者からのコメント 2022年度改正により、テレワークを試行的に導入している、または導入していた事業主様も申請の対象となりました。また助成対象となる経費も範囲が拡大していますので、導入をご検討されている場合はこの機会にぜひ活用いただければと思います。 テレワーク助成金の受給に必須となる就業規則の整備についても、個別の事情を踏まえたうえで最適な規定の作成をご提案いたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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労働基準法等の法律は頻繁に改正が行われており、その都度就業規則を見直し、必要に応じて変更が必要となります。就業規則は、単に助成金の受給のためではなく、思わぬ人事労務トラブルを引き起こさないようにするためにも大変重要となります。

こんな方は、まずは就業規則診断をすることをおすすめします

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