【男性社員の育休】助成金を活用して取得を促進しよう

2021.08.25

男性社員の育休取得

「イクメン」という言葉が広がりをみせる中、令和3年6月、男性社員も育児休業を取得しやすくする制度を定めた「育児・介護休業法」の改正法が衆議院本会議で成立。来春令和4年4月からは会社側から社員に育休の取得を働きかけることが義務づけられます。

雇う側が今まで以上に育休を取得しやすい職場環境を整備することが求められていますが、「他の社員の負担が増える」「社にメリットがない」などと二の足を踏む会社も少なくありません。

この記事では、男性社員が育休を取得することで会社側が受けるメリット、そして改正育児・介護休業法の内容や、男性社員による育休取得で使える助成金制度を紹介します。

男性の育休取得率が低い理由

現職の大臣が育児休業を取得することを公表して話題となるなど、日本でも男性の育休への関心は高まっています。仕事と生活の相乗効果を図るワーク・ライフ・バランスの取り組みも進んでいますが、まだまだ男性による育休の取得率は高いとはいえない状況です。

現状とその原因について掘り下げてみましょう。

男性の育児休業の取得状況について

統計結果のグラフ
画像はイメージです

育休の取得状況を調べると、平成21年度には1.72%だった男性の育休取得率は、令和2年度の調査では12.65%と過去最高を記録しています(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。

しかしながら、政府が目標とする「2025年までに30%」という数字にはまだ遠く、女性の育休取得率(81.6%/前述の調査)と比べても雲泥の差です。

こうした中「育児・介護休業法」が改正され、国が男性社員の育児休業取得に力を入れ始めたことで、各企業における育休制度の在り方も大きく変わろうとしています。

男性の育休取得率が低い理由について

男性の育休取得率が低い大きな理由に、日本の慣習的な役割分担の意識があります。2019年度の世論調査でも「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」との考え方、いわゆる固定的性別役割分担意識について「賛成」と答えた人の割合が35%と、まだまだ高い数字でした。

また社会的に男性の育休の取得率が低いことが影響して、「上司に言いづらい」「将来のキャリアに響く」「自分が休むと周囲に迷惑がかかる」などの考えから、育休を取りたくても取れない男性も多いのが現状です。さらに会社側も、男性社員が育休を取ることに後ろ向きな姿勢である職場がまだ多く見られます。

男性育休取得促進が盛り込まれた改正育児・介護休業法とは?

男性の育児休業の取得を促進するために改正されたのが「育児・介護休業法」です。その中から、男性の育休取得に焦点を当てて解説します。

男性の育休取得促進のための柔軟な育児休業の枠組みの創設

育児休業を取得した男性

子どもの生後8週間以内に4週間まで育児休業を取得することのできる制度が新しく作られました。これまでにも「パパ休暇」という名称で同じような制度はありましたが、利用されやすくするため、制度内容がより柔軟になっています。新制度の具体的な内容を見ていきましょう。

休業の申出期限

原則として1カ月前までだったのが、2週間前まで申請可能となりました。ただし職場環境の整備などの取り組みについて、今回の法改正による義務を上回る内容を労使協定で定めている、つまりより手厚い制度が整っている場合には、これまでどおり1カ月前とすることも可能です。

休業の分割

4週間までという育休取得期間を、2回に分けて取ることができます。

休業中の就業

これまでは育休期間中の就業は不可とされていましたが、労使協定を締結している場合に限り、休業中の就業も可能です。ただし、当該従業員の同意が必要であり、就業日や時間などの条件については当人が認めた範囲内でなければなりません。

また、就業可能日などの上限については、厚生労働省により休業期間中の労働日・所定労働時間の半分とすることが定められる予定です。この内容は、令和3年6月9日の交付から1年半以内に施行されます。

育休を取得しやすい雇用環境の整備と妊娠・出産の申出をした労働者への個別の周知・意向確認の義務付け

従業員への育休取得以降の確認

利用できる制度があっても、使いづらい環境であっては意味がありません。この法改正では、従業員が育休制度を活用しやすくする環境づくりを、雇用する側に義務付けることとなりました。

具体的には、事業主は次の2つを行う必要があります。

①従業員が育児休業を取得しやすい環境の整備

具体的な措置としては、育児休業制度についての研修の実施や相談窓口の設置など、いくつかの選択肢が設けられる予定です。また、1カ月以上の長期休業の取得を希望する従業員については、希望の期間に育休を取得できるよう配慮すべきことも求められます。

②妊娠・出産の申し出をした従業員に対する個別の制度説明・意向確認

従業員から、自身あるいは配偶者が妊娠・出産したことを告げられた場合、法に基づく育児休業制度のほか自社独自の制度があればそれについても知らせ、取得する意向があるかどうかを確認しなくてはなりません。

これまでは個別周知の努力義務のみとなっていましたが、新制度についての説明とともに、新たに「取得したいかどうか」の確認も必要となりました。制度周知の方法には、面談での説明や書面による情報提供などの選択肢から選ぶことになります。

また、取得推進が目的のため、取得を妨げる、あるいは当人が取得しづらくなるような方法・状況での周知や意向確認は認められません。この環境整備や意向確認の義務化については、令和4年4月1日に施行されます。

育児休業の取得状況の公表の義務付け

育休取得率の公表

今回の改正育児・介護休業法では、男性の育休取得率を高めるために、従業員数が1,000人を超える企業に対し育児休業の取得の状況を公表することが義務づけられます。この義務化については、令和5年4月1日が施行日です。

男性の育休の取得率、あるいは育休とそれに準ずる休暇制度の取得率が公表対象となる予定です。取得状況の公表を義務化することで、男性社員の育休取得に対して会社側が積極的に取り組むことを促進する狙いがあります。

その他の改正点

改正育休法その他の改善点

今回の改正では、前述の新制度とは別で育児休業を2回に分割して取得できるようになりました。また、保育所に入所できないなどの理由で育休を1歳以降に延長する場合は開始日を限定せず、各期間の開始時点だけでなく途中でも夫婦で交代することが可能になります。
施行は令和3年6月9日の交付から1年半以内にされる予定です。

また、有期雇用労働者についてはこれまで、育児・介護休業の取得には継続雇用期間が1年以上あることが要件でした。しかしこの改正で、この要件は原則廃止されました。令和4年4月1日に施行されます。

これらの改正点についての詳細は、改めて厚生労働省による省令などで定められることとなっています。施行日までに確認しておきましょう。

男性の育休取得によるメリットとは

男性社員が育児休業を取得することについて、社員側のメリットはあっても会社側にはないのでは?と思う人もいるかもしれません。この章では、男性社員の育休取得は本人や家族だけでなく会社側にもメリットがあることを説明します。

育休取得で男性社員が得られるメリット

男性社員が育休を取るメリット

男性社員にとって、育休を取得するメリットは数多くあります。中でも大きいのは、家族と一緒の時間を長く過ごせることでしょう。出産後は配偶者の体調もメンタルも不安定です。男性も育休を取って家事や子育てを共有することで配偶者の負担が軽くなり、夫婦の絆も強くなっていきます。また、生まれたばかりの子どもに愛情を注ぎ、スキンシップを図る時間が十分にあることで父親としての自覚や責任感の醸成にもつながるでしょう。子育てにはたくさんの発見があるので、人としての幅も広がっていきます。

仕事の面でも、育休の取得がプラスとなることは多いです。まず育休の取得に向けては、代替の社員への引き継ぎなどのため、これまでの業務の棚卸しが必要となります。不要な業務の洗い出しなど、仕事の整理や見直しができれば、育休後の業務の効率化も図れます。

男性社員の育休取得で会社が得られるメリット

男性社員の育休による企業のメリット

男性社員に育休を取らせることは、当人だけでなく企業側にもメリットがあります。何より大きいのは、自社が「ワーク・ライフ・バランス」を重視し、社員を大切にする会社であることを、社員や社会に対してアピールできることでしょう。

社員からの信頼度が高まることは、離職率の低下にもつながります。企業イメージが高まれば、新たな顧客や取引先とのつながりも生まれやすくなります。求人の募集要項に男性の育休取得の実績を掲載すれば、優秀な人材の確保に一役買ってくれるかもしれません。

育休中には残った社員が協力し合うことによるコミュニケーションの円滑化や仲間意識の高まりも期待できます。今後も同じケースを想定した協力体制を作っておけば、育休以外の場合にもスムーズに対応できるでしょう。

助成金を活用して男性の育休取得を促進しよう!

助成金活用のポジティブイメージ

男性社員が育児休業を取得しやすい職場づくりに取り組み、実際に育児休業や育児目的休暇を取得した男性社員がいる企業には、国から助成金が支給されます。それが「両立支援等助成金(出生時両立支援コース)」です。

助成金の目的

両立支援等助成金は、仕事と家庭との両立支援や女性の活躍推進に取り組む企業を支援する制度です。国は、この助成金の支給によって雇用を安定させることを目的としています。優秀な人材が家庭の事情で離職するのを防ぐことができるだけでなく、助成金を受け取ることもできるのは企業にとっても大きなメリットでしょう。

両立支援等助成金のなかでも、男性社員による育休取得を対象としているのが「出生時両立支援コース」です。子どもの出生後8週間以内に男性社員に育児休業を取らせた事業主に、助成金が支給されます。

助成金の支給額

育児休業の支給額は、中小企業か中小企業以外かの区分と、育休を取得した男性社員の人数によって異なります。また、育休を取得した人が2人目以降となる場合は、育休を取得した日数によっても支給額は異なります。

育休取得種別 中小企業の支給額 左記以外の支給額
1人目の子の育休 57万円 28.5万円
2人目の子の育休 育休 5日以上:14.25万円
育休14日以上:23.75万円
育休1カ月以上:33.25万円
育休14日以上:14.25万円
育休1カ月以上:23.75万円
育休2カ月以上:33.25万円

また、売上などの生産性を向上させ、指定の生産性要件を満たした場合には支給額が増額されます。このほか、男性労働者の育児休業取得前に個別面談を行うなど、育児休業の取得を後押しする取り組みを実施した場合には、個別支援加算として助成金が上積みされます。

助成金の支給要領

この助成金を受給するには、次の3つをまず満たす必要があります。

  • 雇用保険適用事業所の事業主である
  • 支給のための審査に協力する
  • 申請期間内に申請を行う

その上で、次のすべての要件に該当する事業主が対象です。

  • 男性が育児休業を取得しやすい職場風土作りに取り組んだ

具体的には、男性の育休取得に関する研修の実施や利用促進のための資料の配布、事業主からの社内への呼びかけなどが該当します。これらは全従業員を対象とした全社的な取り組みでなくてはならず、全員に周知されている必要があります。

  • 男性従業員に連続14日以上(中小企業は連続5日以上)の育児休業を取得させた

当該の男性労働者が雇用保険の被保険者であること、子どもの出生後57日間(出生日当日を含む)以内に休業を開始していることも条件となっています。

  • 助成金の支給申請日において有効な育児・介護休業法の基準を満たす内容の育児休業および短時間勤務制度を、労働協約または就業規則に規定している
  • 育児休業取得の直前および職場復帰時に在宅勤務をさせている場合は、在宅勤務規定を整備し、勤務実態が確認可能な状態である

この規定は対象従業員との個別の取り決めではなく、全社的に適用されるものでなくてはなりません。また勤務実態は、勤務日や始業・終業の時刻などが業務日報等に記録されている必要があります。

  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出た上、公表して労働者にも周知している

「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」とは、仕事と子育ての両立を図る従業員のための環境整備や、それ以外の従業員も含めた多様な労働条件の整備について目標や期間を定めるものです。この助成金の申請有無に関わらず、従業員が101人以上の企業には策定や届け出、公表や周知が義務付けられています。

助成金申請手続きの流れ

助成金申請手続きの項目

育児休業にかかる助成金の申請手続きの主な流れは、次のとおりです。

  • ① 男性が育児休業を取得しやすい職場づくりの取り組みを実施
  • ② 育児休業の制度や育児のための短時間勤務制度について就業規則や労働協約に規定
  • ③ 子の出生日から8週間以内に男性社員に育休を付与
  • ④ 必要書類を揃えて助成金の支給を申請
  • ⑤ 助成金の入金

助成金の支給申請には、決まった様式での申請書のほか就業規則や取り組みの実施がわかる書類、育休取得の事実が確認できる書類などの提出が必要です。申請の期限は育休の取得開始日や取得期間、企業規模などによって異なります。

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)の申請もBricks&UKにおまかせ

助成金申請手続き代行による安心感イメージ

男性社員の育児休業取得を推進する「育児・介護休業法」の改正法を機に、企業側にもますます育休取得率の向上に向けた取り組みが求められています。

重要な戦力となる社員の休暇取得には不安も大きいかもしれませんが、男性社員が育休を取ることには、会社にも多くのメリットがあります。国も助成金を用意して後押ししている今、積極的に活用してさらなる会社の発展につなげましょう。

ただし助成金の申請手続きは書類の準備などに予想以上に手間がかかるものです。忙しくて時間が取れない、本業に専念したい、という場合には、専門家に一任することを視野に入れてみてはいかがでしょうか。

当社Bricks&UKでは、豊富な知識と経験を持つ社会保険労務士が最適な助成金のスムーズな受給を全面的にサポートいたします。無料相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

社労士からのコメント 両立支援等助成金の出生時両立支援コースは、中小企業であれば男性社員が5日以上の育児休業を取得した場合、57万円を受給できる可能性があります。 助成金の受給をきっかけに、男性社員の育児休業取得を実現してみませんか? この記事でも取り上げているように、男性社員の育児休業の取得率低迷は、取得しづらい雰囲気が原因の一つであると思います。その中で企業からの働きかけは大きなインパクトがあるのではないでしょうか。 助成金の申請サポートは、弊社にお任せください!

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四宮寛子

この記事の監修この記事の監修 社会保険労務士事務所Bricks&UK 特定社会保険労務士 四宮寛子

特定社会保険労務士。2004年南山大学外国語学部英米学科卒業、2007年社会保険労務士登録、同年開業。
これまでに申請・受給した助成金は1200件超。助成金の申請を通じて就業規則の作成をはじめとした労働環境の整備にも積極的にアドバイスを行っている。

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